夏に地震が起こると、停電や断水によって熱中症のリスクが高まります。また、衛生環境の悪化や、複合災害のリスクも無視できません。
この記事では、夏に地震が来たら起こりうる問題と、対策について解説します。また、過去に起こった地震や体験談についても触れています。
この記事を読めば、夏に備えた具体的な地震対策を進められるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
- 夏に地震が来たら起こりうる特有の問題
- 問題1. 熱中症のリスクが高まる
- 問題2. 衛生環境が悪化する
- 問題3. 複合災害のリスクが高まる
- 夏に起こった過去の大地震
- 日向灘地震(2024年)
- 新潟県中越沖地震(2007年)
- 正平南海地震(1361年)
- 体験談から学ぶ!災害時になくて困ったこと
- 夏の地震への備え
- 備え1. 家具を固定する
- 備え2. 非常用持ち出し袋を用意する
- 備え3. 暑さをしのぐためのグッズを用意する
- 備え4. 家族との連絡手段・避難経路を確認する
- 備え5. 通電火災のリスクや対策を把握する
- 夏の地震で停電が起こったときの暑さ対策4選
- 対策1. 窓を開ける
- 対策2. 水風呂に入る
- 対策3. 保冷剤で体を冷やす
- 対策4. できるだけ涼しい場所に避難する
- 夏の地震に関するよくある質問
- 地震で避難する際の判断基準はある?
- 地震が来たらガスの元栓はどうする?
- 地震で水道が止まるケースはある?
- 夏の地震のリスクを把握して前もって備えておこう
夏に地震が来たら起こりうる特有の問題

夏に地震が発生した場合、以下のような問題が起こりうると考えられます。
あらかじめこれらの問題を理解しておくと、どのような対策が必要になるかイメージしやすいでしょう。ここでは、それぞれの問題について解説します。
問題1. 熱中症のリスクが高まる
夏の地震で建物が倒壊し、水道や電気などのライフラインが寸断された場合、熱中症のリスクが高まります。
夏場は気温が高く室温が上昇しますが、停電するとエアコンが使えないため、室温を調整できません。政府は適切な室温の目安を28℃としていますが、冷房機器が使えないとそれを超え、室内で熱中症になる恐れがあります。
また、断水した場合、水分補給ができず健康リスクが増大します。水はスーパーやコンビニでも調達できますが、被害が広範囲に及ぶと、売り切れる場合もあるでしょう。
問題2. 衛生環境が悪化する
停電すると冷蔵庫が機能しなくなり、衛生環境が悪化する可能性があります。
本来冷蔵庫は24時間稼働させておく家電ですが、停電すると庫内を適切な温度で管理できません。庫内の温度は停電後すぐ常温になるわけではありませんが、約2〜3時間を超えると食品が傷みやすくなります。
万が一傷んでいることに気付かず口にすると、食中毒のリスクが増加します。なかでも肉や魚などの生ものや、温度変化に弱い乳製品は注意が必要です。
問題3. 複合災害のリスクが高まる
夏は台風が起こりやすい時期で、地震と同時に発生して複合災害につながる可能性があります。
台風は8〜9月頃にかけて上陸しやすく、川が氾濫したり、土砂災害を引き起こしたりします。大雨が降ると短時間で洪水被害が発生するケースもあるでしょう。
万が一、地震と台風が同時に発生した場合、被害がさらに拡大するおそれがあります。
夏に起こった過去の大地震
| 地震 | 発生日時 | 規模・震度 |
|---|---|---|
| 日向灘地震 | 2024年8月8日 | マグニチュード7.1 最大震度6弱 |
| 新潟県中越沖地震 | 2007年7月16日 | マグニチュード6.8 震度6強 |
| 正平南海地震 | 1361年8月3日 | マグニチュード8.25~8.5 |
日本では、7~8月にかけて、上記のような大地震が発生した例があります。ここでは、夏に起こった過去の大地震について解説します。
日向灘地震(2024年)
| 日向灘地震 | 概要 |
|---|---|
| 発生日時 | 2024年8月8日16時42分 |
| 規模・震度 | マグニチュード7.1 最大震度6弱 |
| 震源 | 日向灘(宮崎の東南東30km付近) |
| 被害 | 水道管の破損、停電 |
日向灘地震は、2024年8月8日に宮崎の東南東30km付近で発生した地震です。マグニチュード7.1、宮崎県の日南市では最大震度6弱を記録しました。
この地震により、宮崎県日南市、宮崎市、串間市、鹿児島県大崎町では、水道管の破損が確認され、その後復旧しました。また九州地方の一部地域では停電が発生しましたが、のちに復旧したことも報告されています。
新潟県中越沖地震(2007年)
| 新潟県中越沖地震 | 概要 |
|---|---|
| 発生日時 | 2007年7月16日10時13分 |
| 規模・震度 | マグニチュード6.8 震度6強 |
| 震源 | 新潟県上中越沖 |
| 被害 | 津波、断水、停電、都市ガスの停止 |
新潟県中越沖地震は、2007年7月16日に新潟県上中越沖で発生した地震です。マグニチュード6.8、最大震度6強が記録されました。
地震発生後、新潟県を中心に津波注意報が発表され、上中下越で32cm、柏崎港では1mの津波が観測されています。また、新潟県と長野県で計58,961戸が断水しました。
さらに東北電力管内で計35,344戸が停電し、新潟県内の計31,179戸で都市ガスの供給が停止したことも記録されています。
正平南海地震(1361年)
| 正平南海地震 | 概要 |
|---|---|
| 発生日時 | 1361年8月3日 |
| 規模 | マグニチュード8.25~8.5(推定) |
| 震源 | 南海トラフ |
| 被害 | 一部地域が壊滅、家屋の流出、死亡事故 |
正平南海地震は、1361年8月3日に南海トラフで発生した地震です。地震規模は、後世の研究によりマグニチュード8.25~8.5程度と推定されています。
現在の徳島県や高知県にあたる地域では、甚大な津波被害が発生しました。一部地域は壊滅し、家屋1,700軒が流失、死者は60人以上にのぼったと記録されています。
体験談から学ぶ!災害時になくて困ったこと
防災エナジー編集部が独自に調査した被災者の体験談によると、生活インフラの停止で困ったという声が多く寄せられています。
たとえば、断水が1週間近く続き、水の確保に苦労したケースがありました。また、計画停電によってエアコンが使えず、室温調整ができなかったといった声も見られます。
さらに、食料や物資が不足した体験談もありました。
スーパーの売り場から食料品が消え、底知れない不安を感じた方もいました。ほかにも、物資の買い占めが起こり、トイレットペーパーが入手困難になったという声も上がっています。
詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてお読みください。
【あわせて読みたい】【被災者の体験談】困ったこと・役立つ防災グッズ・後悔したことを紹介
夏の地震への備え

地震そのものへの備えに加え、夏に被災するケースを見据えて暑さをしのぐためのグッズも必要です。具体的には、以下のような備えが求められます。
ここでは、それぞれの備えについて解説します。
備え1. 家具を固定する

地震で家具が転倒するのを防ぐため、ネジを使って壁に固定しましょう。特に、L型金具でネジ止めする方法がおすすめです。
賃貸住宅に住んでいるなどの理由でネジ止めが難しい場合は、突っ張り棒やストッパー式など、壁に穴を開けずに設置できるアイテムが適しています。
ほかにも、キャスターつきの家具はロックし、テーブルや椅子には滑り止めをつけるなどの工夫も、転倒防止に有効です。
備え2. 非常用持ち出し袋を用意する
迅速に避難できるよう、非常用持ち出し袋を用意しましょう。両手が空くよう、リュックサックに入れるのが望ましいです。
上記のチェックリストでは、子どもがいる家庭や女性、高齢者がいる家庭など、状況ごとに必要なアイテムもまとめています。リストを参考にしながら準備しましょう。
備え3. 暑さをしのぐためのグッズを用意する
停電してエアコンや扇風機などの家電が使えなくなるケースを想定し、以下のようなグッズを用意しましょう。
- 飲料水
- ポータブル電源
- 充電式扇風機
- 冷感ボディシート
- 冷却スプレー
まず、飲料水は、1人あたり1日約3リットルが目安とされています。最低3日分、できれば1週間分あるのが望ましいでしょう。
さらに、電源の確保も重要です。ポータブル電源があれば、停電しても一部の家電を使用できます。扇風機や小型家電に電力を供給できるほか、容量に余裕のあるポータブル電源であれば冷蔵庫を一時的に稼働させることも可能です。これにより、食品の傷みを抑えたり、体感温度の上昇を防いだりできます。
また、充電式扇風機は、停電時も使えるアイテムです。部屋全体を冷やすことはできませんが、風に当たって体感温度を下げられます。
そのほか、電力に頼らない暑さ対策として、冷感の強い汗拭きシートがあると、メントールやハッカ油によって清涼感を得られるでしょう。消臭効果のある製品なら、べたつきを抑えて清潔感も保てます。
同様に、冷却スプレーも体の一部分を一時的に冷やせる便利なアイテムです。消臭効果があるタイプを選ぶと、汗の臭い対策にもなります。
備え4. 家族との連絡手段・避難経路を確認する
地震が発生したときに家族の安否を確認できるよう、事前に連絡手段を決めておきましょう。災害用伝言ダイヤル(171)の使い方や、公衆電話で伝言を登録する方法を確認しておくと安心です。
【あわせて読みたい】災害時の連絡手段5選!スマホ以外の方法や緊急連絡先カードも解説
また、ハザードマップを用いて具体的な避難経路を確認するのも重要です。ハザードマップを見れば、浸水想定区域や土砂災害警戒区域などを把握できるため、安全な避難ルートを検討できます。
万が一家族が離れ離れになった場合を想定し、集合場所を事前に話し合っておくとよいでしょう。
備え5. 通電火災のリスクや対策を把握する
地震による通電火災のリスクを知り、対策をおこなうことも重要です。通電火災とは、停電後に電気が復旧した際に、転倒した家電やショートによって発生する火災(二次災害)のことです。
たとえば、地震でヒーターが転倒し、近くにある可燃物に引火して火事になるケースがあります。また、浸水や雨漏りにより家電の基板が破損して、通電時にショートして出火するケースも見られます。
通電火災を防ぐには、感震ブレーカーの設置が有効です。感震ブレーカーがあると、地震の揺れを感知して自動的にブレーカーが落ちるため、自宅にいなくても通電火災のリスクを抑えられます。
【あわせて読みたい】通電火災とは?原因や防ぐにはどうすればよいか簡単に解説!
夏の地震で停電が起こったときの暑さ対策4選

夏に地震が起こって停電した場合、以下の工夫で暑さを緩和できます。
ここでは、それぞれの対策を解説します。
対策1. 窓を開ける
室温が外気温よりも高い場合は、窓を開けて換気しましょう。室内の熱い空気と外気が入れ替わり、室温の上昇を抑えられます。
もしサーキュレーターや扇風機があれば、風上から風下に向けて設置するとより効率的に換気できます。
対策2. 水風呂に入る
冷水シャワーを浴びたり、水風呂に入ったりするのも、暑さを和らげる方法のひとつです。
冷水とはいえ、体温より少し低い温度で問題ありません。夏は水道水がぬるく感じることも多く、そのままでも心地よく浴びられるでしょう。
ただし、冷水シャワーや水風呂は体に負担がかかる場合があるため、体調がすぐれないときや高齢者・持病のある方は特に注意しましょう。
対策3. 保冷剤で体を冷やす
冷凍庫に保冷剤を常備しておけば、停電時も直接体を冷やせます。
複数の保冷剤のストックがある場合は、クーラーボックスに移しましょう。停電で冷蔵庫が使えなくなっても、クーラーボックスに入れておくことで保冷剤が溶けるまでの時間を延ばせるため、冷却効果をより長く保てます。
対策4. できるだけ涼しい場所に避難する
暑い場所を離れ、できるだけ涼しい場所に避難しましょう。たとえば、車内は短時間で気温が上昇しやすいため、熱中症のリスクが高まります。
停電の影響を受けていない公共施設や宿泊施設など、比較的涼しい場所を選ぶことで、安全かつ快適に過ごしやすくなるでしょう。
夏の地震に関するよくある質問
最後に、夏の地震に関するよくある質問にお答えします。疑問がある場合は、あらかじめ解消して地震に備えましょう。
地震で避難する際の判断基準はある?

自宅の安全が確保できている場合、原則として在宅避難が推奨されています。しかし、以下の場合は、迅速な避難が必要です。
- 津波・土砂災害の危険がある地域にいる
- 自宅が倒壊するおそれ・大規模な火災が迫っている
- 自治体から避難指示が発令されている
上記のうち、どれかひとつでも当てはまる場合は、速やかに避難しましょう。
以下の記事では、避難が必要な場面やシーン別に取るべき行動を解説しています。こちらもあわせてご確認ください。
【あわせて読む】地震で避難するのはどんなとき?シーン別取るべき行動や判断基準を解説
地震が来たらガスの元栓はどうする?
地震発生時にガスを使用していても、まずは机の下に隠れるなど、身の安全を確保するのが最優先です。火を消そうとして火元に近寄ると、やけどを負う危険性があります。
揺れが止まったのを確認したら、落ち着いて火を消し、ガスの元栓を閉めましょう。マイコンメーターは一般的に震度5相当以上の揺れを感知すると自動的にガスを遮断しますが、念のため元栓も閉めると安心です。
以下の記事では、ガスの復帰方法についても解説しています。
【あわせて読む】地震のときガスの元栓は閉めるべき?復帰方法や対処法について解説
地震で水道が止まるケースはある?

地震で水道管が破損したり、停電で給水ポンプが停止したりすると、水道が止まる可能性があります。
水道復旧までの日数は地震の規模や地域によって異なり、過去の事例では10日で復旧したケースや、6カ月以上かかったケースもあります。地震による断水に備え、飲料水をローリングストックしたり、浴槽に水を貯めたりする習慣をつけましょう。
夏の地震のリスクを把握して前もって備えておこう
夏に地震が起こると、停電や断水によって熱中症になる恐れがあります。冷蔵庫が機能しなくなるため、食材が傷んで衛生環境が悪化するリスクもあります。さらに、夏は台風が発生しやすい時期でもあり、地震と台風が重なって複合災害に転じるケースもあるでしょう。
どの季節にも備えは必要ですが、夏は特に飲料水の確保が重要です。また、ポータブル電源を用意して電力を確保したり、停電時にも使える充電式扇風機で体感温度を下げたりする工夫も有効です。
日頃の備えはもちろん、発災時にはその場の状況に応じた行動も求められます。室内が暑いときは換気したり、保冷剤を活用したりすると、暑さを緩和できます。また、車内を避け、できるだけ涼しい場所へ避難するのもひとつの方法です。
夏の地震のリスクを正しく理解し、いつ起きても冷静に対応できるよう今から備えましょう。





