南海トラフ地震は、南海トラフを震源域として発生するとされるマグニチュード8から9クラスの巨大地震です。大阪府では最大5.7mの津波や震度6弱の激しい揺れが想定されており、十分な備えが必要です。
この記事では、南海トラフ地震が来た場合の大阪府への影響について解説します。ほかにも、想定される津波の影響や被害規模について触れています。
この記事を読めば、実際に地震が発生したときどのような行動が必要なのか理解できるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
- そもそも南海トラフ地震とは?
- 南海トラフ地震が来たら大阪はどうなる?
- マグニチュード9クラス・震度5強~6弱の地震が発生
- 一部地域で液状化する可能性あり
- 最大5.7mの巨大な津波が発生
- 甚大な人的・建物被害
- 大阪府の南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村
- 南海トラフ地震に備えてやるべき対策5つ
- 対策1. 南海トラフ地震臨時情報に注意する
- 対策2. 室内の地震対策を進める
- 対策3. 食料・生活必需品を備える
- 対策4. ハザードマップで避難経路・避難場所を把握する
- 対策5. 家族と防災について話し合う
- 地震が起きたときに取るべき行動マニュアル
- 津波が発生した際の行動マニュアル
- 停電・ガスの停止が発生したら?
- ガスが停止したときの対策
- 停電から復旧までの過ごし方
- 停電でトイレが使えない場合の対策
- 南海トラフによる大阪での影響についてよくある質問
- 南海トラフで津波が来たらどこに逃げる?
- 南海トラフが来たら大阪ではどこが危ない?
- 南海トラフ地震に備えて今日から対策しよう
そもそも南海トラフ地震とは?

南海トラフ地震とは、南海トラフと呼ばれる海底の溝(海溝)で発生するとされる大規模な地震です。南海トラフは、静岡県の駿河湾から日向灘にかけて広がる海溝を指します。
政府の発表では、今後30年以内に80%程度の確率で南海トラフ地震が起こるとされています。
出典:政府広報オンライン|南海トラフ地震に備えよう!南海トラフ地震臨時情報が発表されたら?
いつ大規模な揺れが起きてもおかしくないとされており、日頃から十分な備えが必要です。
【あわせて読みたい】南海トラフはいつ来る?政府の被害想定と今すぐできる防災対策を解説
南海トラフ地震が来たら大阪はどうなる?

南海トラフ地震が発生した場合、大阪府内でも大きな被害が発生すると想定されています。
ただし、実際の被害は事前の想定と異なる場合や、想定を上回る場合もあります。各被害の想定を参考に、いつでも避難できるよう、日頃から備えておきましょう。
ここからは、大阪府が2013年に公表した被害想定をもとに解説します。なお、2023年から被害想定の見直しが始まっており、ここで紹介する情報は今後、内容が更新される可能性があります。
マグニチュード9クラス・震度5強~6弱の地震が発生
南海トラフ地震は、マグニチュード9クラスの巨大地震となると想定されています。大阪府内の揺れは、震度5強から6弱の強い揺れとなる想定です。
震度6弱の揺れでは立っているのが困難になり、固定していない家具の大半が移動したり倒れたりします。耐震性の低い木造の建物は傾く場合もあるため、建物の補強や家具の固定が早急に求められます。
【あわせて読みたい】震度6弱はどれくらい揺れる?マンションは倒壊するの?
一部地域で液状化する可能性あり
大阪府内の沿岸部や河川沿いの地域では、液状化による被害が発生するおそれがあります。液状化現象とは、地震の強い揺れにより、地下水で満たされた砂の地盤が一時的に液体のようにドロドロになる現象です。
地盤が液状化すると、住宅や建物が沈下したり傾いたりします。地中の水道管やガス管が破損し、ライフラインが長期間寸断される危険性もあります。
最大5.7mの巨大な津波が発生
以下の表は、大阪府の各市における南海トラフの津波被害想定をまとめたものです。
| 代表地点 | 市区町 | 最大水位津波 | 1m到達時間 | 20cm到達時間 |
|---|---|---|---|---|
| 安治川水門 | 大阪市此花区 | 5.0m | 121分 | 62分 |
| 天保山 | 大阪市港区 | 5.0m | 117分 | 72分 |
| 尻無川水門 | 大阪市大正区 | 5.0m | 124分 | 61分 |
| 淀川河口 | 大阪市西淀川区 | 5.2m | 118分 | 66分 |
| 木津川水門 | 大阪市住之江区 | 4.9m | 127分 | 65分 |
| 咲洲沖 | 大阪市住之江区 | 4.3m | 113分 | 68分 |
| 堅川水門 | 堺市堺区 | 4.9m | 122分 | 66分 |
| 石津川河口 | 堺市西区 | 5.7m | 106分 | 67分 |
| 大津泊地口 | 高石市 | 5.0m | 104分 | 56分 |
| 汐見沖 | 泉大津市 | 4.1m | 98分 | 58分 |
| 大津川河口 | 忠岡町 | 5.2m | 98分 | 55分 |
| 岸和田水門 | 岸和田市 | 4.9m | 97分 | 56分 |
| 二色浜海水浴場 | 貝塚市 | 4.6m | 90分 | 31分 |
| りんくう公園前 | 泉佐野市 | 4.0m | 83分 | 31分 |
| 田尻川水門 | 田尻町 | 4.2m | 83分 | 28分 |
| 岡田漁港 | 泉南市 | 3.8m | 82分 | 29分 |
| 関空Ⅱ期南 | 泉南市 | 3.9m | 75分 | 34分 |
| 尾崎港 | 阪南市 | 4.2m | 77分 | 28分 |
| 深日漁港 | 岬町 | 3.8m | 64分 | 35分 |
| 小島漁港 | 岬町 | 4.4m | 58分 | 26分 |
出典:大阪府│津波浸水想定について(解説)
南海トラフ地震が発生すると、大阪府にも津波が到達すると考えられています。
たとえば、堺市西区では最大で約5.7mの津波が到達すると見込まれており、岬町では最短で26分程度で20cmの津波が到達する可能性があります。
大阪府にお住まいの方は、お住まいの市区町村で想定されている津波の最大水位と到達時間を確認しておきましょう。
甚大な人的・建物被害
大阪府が公表しているデータでは、南海トラフ地震によって約13万人の死者が発生すると想定されています。死者の多くは津波によるものとされています。
| 項目 | 死者数 | 負傷者数 |
|---|---|---|
| 建物倒壊 | 735人 | 21,972人 |
| 火災 | 176人 | 3,526人 |
| 急傾斜地 | 2人 | 2人 |
| ブロック塀等転倒 | 11人 | 1,155人 |
| 津波 | 132,967人 | 63,945人 |
| 合計 | 133,891人 | 90,600人 |
負傷者は約9万人にのぼり、津波による負傷が約6万人、建物倒壊による負傷が約2万人です。
| 項目 | 倒壊数 |
|---|---|
| 液状化 | 71,091棟 |
| 揺れ | 15,375棟 |
| 津波 | 31,135棟 |
| 地震火災 | 61,473棟 |
| 急傾斜地 | 79棟 |
| 合計 | 179,153棟 |
建物被害については、約18万棟に及ぶと想定されています。そのうち7万棟が液状化によるもので、約6万棟が地震火災によるものです。
以上のデータから、津波により甚大な人的被害や建物被害が出ると考えられます。
※これらの数値は、発生時刻や気象条件によって大きく変動する可能性があります。
大阪府の南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村
| 大阪府の南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村 |
|---|
| 大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、池田市、吹田市、泉大津市、高槻市、貝塚市、守口市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、富田林市、寝屋川市、河内長野市、松原市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、東大阪市、泉南市、四條畷市、交野市、大阪狭山市、阪南市、三島郡島本町、豊能郡豊能町、泉北郡忠岡町、泉南郡熊取町、同郡田尻町、同郡岬町、南河内郡太子町、同郡河南町、同郡千早赤阪村 |
大阪府内では、多くの市町村が南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されています。指定されている地域に住んでいる方はもちろん、指定地域以外にお住まいの方も油断せず、日頃から備えておきましょう。
南海トラフ地震に備えてやるべき対策5つ
地震による被害を最小限に抑えるには、以下のような準備が必要です。
ここでは、今日から取り組める5つの防災対策を紹介します。
【あわせて読みたい】南海トラフ地震に備えてできること7選!地震発生時の行動もわかりやすく解説
対策1. 南海トラフ地震臨時情報に注意する
日頃から、気象庁から発表される南海トラフ地震臨時情報に注意しましょう。南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、大規模な地震発生の可能性が高まった場合に発表されます。
| 区分 | 概要 |
|---|---|
| 調査中 | 監視領域内でのM6.8以上の地震や、想定震源域内で通常と異なる地殻変動が観測された場合などに発表される |
| 巨大地震警戒 | 想定震源域内でモーメントマグニチュード8.0以上の巨大地震が発生したと評価された場合に発表される |
| 巨大地震注意 | 監視領域内でのモーメントマグニチュード7.0以上の地震や、想定震源域内で通常と異なる地殻変動が発生したと評価された場合に発表される |
| 調査終了 | 観測された現象が、巨大地震警戒や巨大地震注意の基準に当てはまらないと評価された場合に発表される |
発表の区分は「調査中」「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」の4種類です。臨時情報が出た際は、速やかに内容を確認しましょう。
対策2. 室内の地震対策を進める

南海トラフ地震に備えて、室内の地震対策を進めましょう。過去の巨大地震では、家具や家電の転倒・落下により負傷した人の割合が3割から5割に達しています。
背の高い本棚や食器棚は、L字金具を使用して壁に直接ネジで固定する方法がおすすめです。壁に穴を開けられない賃貸住宅の場合は、天井との間に突っ張り棒を設置したり、家具の下に粘着マットを敷いたりすると対策できます。
就寝中に家具が倒れてこないよう、寝室の家具の配置も見直しましょう。
対策3. 食料・生活必需品を備える

突然の避難指示にもすぐ対応できるよう、非常用持ち出し袋を準備しましょう。
飲料水や携帯食料、救急用品、懐中電灯などをリュックにまとめ、玄関や寝室に置きます。上記のチェックリストを参考に、家族の人数や年齢にあわせて乳幼児用のミルクや持病の薬なども追加してください。
在宅避難を想定した備蓄も不可欠です。電気やガスが止まった状態でも食べられるレトルト食品や缶詰、飲料水を余裕をもって備蓄しておきましょう。最低でも3日分、できれば1週間分の食料と飲料水を備えておくと安心です。
【あわせて読みたい】【チェックリストつき】緊急持ち出し品で本当に必要なものは何?ほかの備えも解説
対策4. ハザードマップで避難経路・避難場所を把握する
自治体が公表しているハザードマップで、避難経路や避難場所を把握しましょう。ハザードマップには、津波の浸水想定区域や土砂災害の危険箇所が詳細に記載されています。
自宅や職場、子どもの学校周辺にある危険な場所をあらかじめ把握しておきましょう。自宅から最も近い指定避難所や、高い場所にある津波避難ビルへのルートを複数確認すると安心です。
また、実際に避難経路を歩いてみるのも有効です。倒壊の恐れがある古いブロック塀など、危険箇所もあわせて確認できます。
【あわせて読みたい】ハザードマップの種類をわかりやすく解説!マップ別の特徴と使い方も紹介
対策5. 家族と防災について話し合う
家族と防災について話し合うことも、南海トラフ地震対策として重要です。
災害はいつ起きるかわからないため、日中の仕事や学校に出かけているタイミングで大規模な地震が発生するおそれもあります。家族がバラバラの場所にいる状態を想定し、事前に話し合っておきましょう。
災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板、SNSなど複数の連絡手段を共有しておくと安心です。あらかじめ合流する避難場所や、親戚の家などを具体的な集合地点として定めておくと、連絡が取れなくても安否を確認できる可能性が高まります。
【あわせて読みたい】災害時の連絡手段5選!スマホ以外の方法や緊急連絡先カードも解説
地震が起きたときに取るべき行動マニュアル

地震が起こった際に求められる行動は、その場の状況によって異なります。
自宅にいる場合は、丈夫な机やテーブルの下に身を隠し、頭部を守りましょう。調理中で火を使用している場合でも、やけどの恐れがあるため、揺れが収まるまでは火元に近づかないでください。
屋外にいる場合は、倒れる危険性のあるブロック塀や看板などから離れましょう。カバンなどで落下物から頭を守る必要があります。
車の運転中は、ハザードランプを点灯してゆっくりと道路の左側に停車します。揺れが収まった後、ラジオやスマートフォンで被害情報を収集しましょう。
津波が発生した際の行動マニュアル

強い揺れを感じた場合や、津波警報が発表された場合は、一刻も早く高台や津波避難ビルなどの安全な場所へ避難しましょう。
津波から避難する際は、遠くへ逃げるよりも、できるだけ高い場所を目指します。警報が解除されるまでは、絶対に自宅や海岸付近へ戻らないでください。
日頃からハザードマップを確認し、浸水想定区域や避難場所を把握しておきましょう。あわせて、チェックリストを活用しながら必要な備えを進めておくと安心です。
停電・ガスの停止が発生したら?
大規模な地震の直後は、電気やガス、水道などのライフラインが長期間停止するおそれがあります。復旧までに時間がかかるケースも考慮し、インフラ停止時の具体的な対処法を把握しておきましょう。
ガスが停止したときの対策
震度5相当以上の揺れを感知すると、ガスメーターの安全装置が作動して自動的に供給が停止します。まずは周囲でガス漏れのにおいがしないか安全を確認し、ガス臭いときは窓を開けて換気し、火気は使用しないでください。
異常がなければ、ガスメーターの復帰ボタンを押して復旧を待ちます。ガス供給の停止が長期化した場合に備え、カセットコンロと専用のガスボンベを用意しておくと便利です。
停電から復旧までの過ごし方
電気が止まった直後は、近所も停電しているのか、自宅のみ停電しているのか確認しましょう。近所も停電している場合は、電力会社の公式サイトから停電情報を確認します。自宅のみ停電している場合は、落ちているブレーカーの種類を確認します。
災害による停電で復旧のタイミングがわからない場合は、以下の対応が必要です。
- すべての家電のプラグを抜く
- ブレーカーをオフにする
- 非常用電源を活用する
停電でトイレが使えない場合の対策
停電が発生すると、マンションの給水ポンプが停止し、水道や水洗トイレが使用できなくなる場合があります。また、配管が破損している可能性もあり、無理に水を流すと汚水が逆流する恐れがあるため注意しましょう。
対策として、便器に被せて使用する非常用トイレを用意しましょう。自宅での避難生活を続けるなら、便座に設置できる簡易トイレのほうが負担なく使用できます。
南海トラフによる大阪での影響についてよくある質問
最後に、南海トラフによる大阪での影響についてよくある質問に回答します。
南海トラフで津波が来たらどこに逃げる?
津波が来た際は、できるだけ高い場所を目指して逃げましょう。近くの山や高台、頑丈な鉄筋コンクリート造の建物の上階を目指します。
たとえば大阪市なら、以下の地域に津波避難ビルがあります。
- 福島区
- 此花区
- 西区
- 港区
- 大正区
- 浪速区
- 西淀川区
- 淀川区
- 住之江区
- 西成区
- 北区
- 都島区
また、津波浸水想定区域ではなくても、河川氾濫(洪水)のおそれがある地域には水害時避難ビルが確保されています。あらかじめどこにあるのか把握しておくと安心です。
南海トラフが来たら大阪ではどこが危ない?
| 大阪府の南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村 |
|---|
| 大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、池田市、吹田市、泉大津市、高槻市、貝塚市、守口市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、富田林市、寝屋川市、河内長野市、松原市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、東大阪市、泉南市、四條畷市、交野市、大阪狭山市、阪南市、三島郡島本町、豊能郡豊能町、泉北郡忠岡町、泉南郡熊取町、同郡田尻町、同郡岬町、南河内郡太子町、同郡河南町、同郡千早赤阪村 |
南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されている市町村は、強い揺れや津波の被害が大きくなるおそれがあるため、特に注意が必要です。
ただし、指定地域に含まれていない内陸部であっても、建物の倒壊や土砂災害、インフラ停止の被害が発生する可能性があります。大阪府に住んでいる方は、日頃から地震対策をおこないましょう。
南海トラフ地震に備えて今日から対策しよう
南海トラフ地震が発生すると、大阪府内でも最大震度6弱の強い揺れや、最大で約5mを超える巨大な津波の到達が想定されています。広範囲での家屋倒壊やインフラの長期停止など、大きな被害が発生する可能性があります。過去の周期や現在の発生確率を考慮すると、将来発生する可能性が高い災害として、備えていかなければなりません。
被害から身を守るために、家具の固定や非常用持ち出し袋の準備、水や食料の備蓄をすぐに進めましょう。さらに、自治体が公表しているハザードマップを確認し、自宅や職場周辺の避難経路を家族で共有しておくことも不可欠です。
万が一の事態に直面しても冷静に行動できるよう、今日からできる防災対策を実践していきましょう。

