災害に備える

首都直下地震・南海トラフ地震で東京に津波はどこまで来る?被害想定を解説

首都直下地震や南海トラフ地震などの大地震が発生すると、東京でも津波が発生する可能性があります。東京湾に津波が到達した場合、浸水や交通機関の停止、ライフラインの混乱などが発生し、生活に深刻な影響を及ぼすことが考えられます。

災害時でも最低限の生活を守るためには、あらかじめ被害の想定を知り、適切な行動や備えをしておくことが欠かせません。

本記事では、大地震が発生した際に、津波が東京のどこまで到達するのかについて詳しく解説します。過去の事例や津波発生時に取るべき行動も解説するので、津波対策を進めたい方はぜひ最後までお読みください。

目次

大地震が発生したら東京湾の津波はどこまで来る?

日本海

東京周辺は複数のプレートが重なり合う複雑な構造をしており、大地震が発生するリスクが指摘されています。ただし、地震の種類によって、東京湾に到達する津波の高さや影響範囲が異なります。ここでは特に今後注意が必要とされる地震について見ていきましょう。

南海トラフ地震

南海トラフ地震発生時の津波シミュレーションでは、東京湾沿岸では最大で2mを超える津波が到達すると想定されています。中央区や港区、江東区などの湾岸エリアでは特に注意が必要です。

ただし、津波が発生したとしても、地震発生後に速やかに避難できれば、被害を最小限に抑えられる可能性があります。南海トラフ地震の発生時期や想定される影響、備えについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

【あわせて読みたい】南海トラフはいつ来る?政府の被害想定と今すぐできる防災対策を解説
【あわせて読みたい】南海トラフ地震に備えてできること7選!地震発生時の行動もわかりやすく解説
【あわせて読みたい】南海トラフ地震が来たら東京はどうなる?想定される震度・津波の被害も解説

首都直下地震

首都直下地震が起きた場合、東京湾の津波は1m以下と想定されており、南海トラフ地震と比べると津波による影響は小さいとされています。一方で、強い揺れによる建物被害やライフラインの寸断など、大きな影響が出るおそれもあります。

今後30年以内の発生確率は約70%と高く、都心南部直下地震では震度6強以上の揺れに見舞われる地域が約6割に及ぶ想定です。

首都直下地震についての備えを万全にしておきたい方は、以下の記事も参考にして対策を進めておきましょう。

【あわせて読みたい】首都直下地震はいつ来る?津波の被害は?助かるための対策も解説
【あわせて読みたい】首都直下型地震で安全な県はどこ?危険地域と今すぐできる対策を解説

大正関東地震クラスの海溝型地震

大正関東地震のような海溝型地震が発生した場合、東京湾では最大で約2mの津波が到達すると想定されています。2m程度の津波でも、木造家屋が流されたり漁船が被災したりするなど、沿岸部に大きな被害をもたらすおそれがあります。

相模トラフ沿いのM8クラスのプレート境界地震の発生確率は、今後30年以内で0〜6%ほどとされていますが、いつ起きるかは予測できません。特に東京湾沿岸に住む方や通勤・通学で沿岸部を利用する方は、津波を想定した備えを日頃から進めておくことが重要です。

東京で津波が発生した場合に想定される主な被害

東京湾で津波が発生した場合、私たちの暮らしはさまざまな形で影響を受けると考えられます。浸水による直接的な被害だけでなく、日常を支える仕組みにも大きな影響が出る可能性があります。ここでは、東京で津波が起きた場合に想定される主な被害について見ていきましょう。

1. 交通機関に乱れが生じる

東京で津波が発生すると、交通機関に大きな影響を与える可能性があります。東京湾岸エリアを通る首都高速道路は浸水によって通行止めになるおそれがあり、物流や支援物資の輸送にも支障が出ると考えられます。

また、鉄道も線路の冠水や設備の損傷によって運休が発生し、多くの帰宅困難者が出る可能性も少なくありません。交通の混乱は、避難や救援の遅れにつながる要因にもなります。

2. 沿岸部の施設に被害が出る

東京の沿岸部では、津波によって重要な施設に被害が及ぶことが考えられます。湾岸エリアには、石油コンビナートや発電所、大型商業施設などが立地しています。そこで津波による浸水が起きると、火災や設備の停止などの二次被害につながりかねません。

さらに、物流拠点や空港が浸水すれば、物資の流通や航空便の運航に支障が出て、首都圏全体の経済活動にも影響が広がります。

3. 長時間の停電や断水などが発生する

津波が発生すると、電気や水道などのライフラインが長時間使えなくなることがあります。特に真夏や真冬にライフラインが停止すると、暑さや寒さによる体調悪化のリスクが高まり、命に関わる事態にもつながります。

実際に2011年の東日本大震災では、一部地域で長期間にわたって断水状態が続き、地域住民の生活に大きな影響を与えました。

このように、津波は浸水被害だけでなく、日常生活に大きな影響を及ぼす災害であることがわかります。

出典:国土交通省│断水状況とその要因

過去に東京湾で発生した津波の事例

過去に東京湾では、元禄地震や東日本大震災によって津波が発生した記録があります。元禄地震は、1703年に発生したプレート境界付近を震源とする海溝型の地震です。研究によると、東京湾沿岸部でも津波が観測されたと推定されています。

また、2011年の東日本大震災では、震源から離れていたにもかかわらず、東京湾で約1.5mの津波が記録されました。地震の揺れや液状化によって防波堤や水門が機能しなくなれば、都内に津波が侵入するおそれもあります。想定を超える事態に備え、日頃からの備えや避難行動を確認しておくことが重要です。

出典:東京大学地震研究所│1703年元禄関東地震における東京湾内の津波被害
出典:平成23年度 日本大学理工学部 学術講演会論文集│東日本大震災において発生した東京湾の津波被害に関する研究

東京で津波が発生した際に取るべき3つの行動

東京で津波が発生した場合、落ち着いて行動できるかどうかが安全を左右します。突然の揺れや警報に驚いてしまうと、冷静な判断が難しくなることも少なくありません。

ここでは、東京で津波が発生した際に取るべき3つの行動を紹介します。災害時に備え、あらかじめ取るべき行動を知っておくことで被害を抑えやすくなるでしょう。

1. 避難経路をチェックする

津波が発生した際に安全に避難するためには、あらかじめ避難経路を確認しておくことが重要です。避難所へ向かう場合でも、普段使っている道が使えなくなることがあるため、複数のルートを把握しておく必要があります。

災害発生時には、ハザードマップを参考にして、浸水しにくい安全な経路で避難所へ向かいましょう。事前の確認が落ち着いた行動につながります。

2. 海や川から離れて高台に避難する

津波の危険がある場合は、できるだけ早く海や川から離れ、高台へ避難することが最優先です。津波警報や大津波警報が発表されたときは、ためらわずに高い場所へ移動しましょう。

特に沿岸部にいる場合は、強い揺れを感じた時点で、情報を待たずに避難を開始することが重要です。少しでも早く標高の高い場所へ避難することで、自分や大切な人の命を守れる可能性が高まります。

3. 津波避難ビル・津波避難タワーに避難する

高台まで避難する時間がない場合は、津波避難ビルや津波避難タワーへの避難も選択肢となります。津波避難ビルは、津波浸水が想定される地域で一時的に命を守るための避難場所として指定されている建物です。津波避難タワーも同様に、緊急時の避難場所として設けられています。

津波の危険がある地域や津波避難ビル・タワーなどの施設には、避難場所を示す標識が設置されています。沿岸部に住んでいる方は、これらの避難施設の場所を事前に確認しておくことで、緊急時に迷わず行動できるでしょう。

【あわせて読みたい】津波避難タワーはどこにある?設備・高さ・問題点もわかりやすく解説

東京で津波に備えてできる3つの対策

東京で津波による被害を最小限に抑えるためには、日頃からの備えが欠かせません。ここでは、東京で暮らす方が意識しておきたい3つの対策を紹介します。

地震や津波への対策について、より詳しい内容を知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

【あわせて読みたい】地震の備えは何が必要?家の安全対策から備蓄までチェックリストつきで解説!
【あわせて読みたい】津波対策は何をすればよい?日本での取り組みや基礎知識を解説

対策1. ハザードマップで地域の危険性を把握する

まずは、自分の住む地域の危険性をハザードマップで把握しておきましょう。災害発生時は気が動転しやすく、初めてハザードマップを確認しようとしても、見方がわからずに逃げ遅れる可能性があります。

あらかじめ避難場所や避難経路、浸水想定などを確認しておけば、落ち着いて行動しやすくなります。ハザードマップには津波だけでなく、土砂災害や高潮などの情報も掲載されており、複合的なリスクを把握可能です。詳しい種類や見方については、以下の記事でも解説しています。

【あわせて読みたい】ハザードマップの種類をわかりやすく解説!マップ別の特徴と使い方も紹介

対策2. 非常用持ち出し袋を準備する

津波の危険がある場合にすぐ行動できるように、非常持ち出し袋をあらかじめ準備し、取り出しやすい場所に置いておきましょう。以下のチェックリストを参考に、備えを見直してみてください。

非常用持ち出し袋 チェックリスト

チェックリストのダウンロードはこちら

非常持ち出し袋の中身は、家族構成や生活スタイルによって適したものが異なります。また、食品や電池などは時間の経過とともに使えなくなることもあるため、定期的な見直しも欠かせません。どんな防災グッズをそろえておくべきか迷う場合は、以下の記事も参考にしてください。

【あわせて読みたい】【体験者の声付き】防災グッズで本当に必要なものリスト!準備のポイントや進め方も紹介
【あわせて読みたい】【チェックリストつき】緊急持ち出し品で本当に必要なものは何?ほかの備えも解説

対策3. 地震や津波発生時の連絡手段を確認する

災害時に家族や大切な人と連絡を取り合えるようにしておくことも、重要な備えのひとつです。地震や津波が発生すると、電話やインターネットがつながらなくなることがあり、普段通りの連絡手段が使えない場合があります。

そのため、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板など、非常時に利用できるサービスの使い方を家族で事前に確認しておくと安心です。どのような連絡手段を使うかを家族と決めておくだけでも、災害時の混乱を減らすことにつながるでしょう。災害時の連絡方法については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

【あわせて読みたい】災害時の連絡手段5選!スマホ以外の方法や緊急連絡先カードも解説

津波避難・日頃の備えチェックリスト

津波はわずかな高さでも人が歩けなくなったり、建物を破壊したりするほどの威力があります。そのため、状況に応じて適切な行動を取ることが重要です。ここでは、津波発生の可能性がある場合と日頃からの備えについて、以下のチェックリストにまとめました。

津波避難・日頃の備えチェックリスト

チェックリストのダウンロードはこちら

チェックリストの内容を確認し、まずは日頃の備えから少しずつ進めていくことがおすすめです。万が一、津波の危険がある場合には、津波からの避難チェックリストを参考にして、落ち着いて行動しましょう。

東京の津波に関するよくある質問

防災グッズ

最後に、東京の津波に関するよくある質問に回答します。

南海トラフ地震での東京23区の被害や国が実施している津波対策について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

南海トラフ地震での東京23区の被害はどれくらい?

南海トラフ地震が発生した場合、東京23区では一部地域で震度6弱、その他多くの地域で震度5強以下の揺れになると想定されています。首都直下地震と比べると、最大震度の想定は相対的に低いとされています。

ただし、震源の位置や地震の規模によっては、想定を超える被害が生じる可能性も否定できません。震度5強程度の地震でも、歩行が難しくなったり、固定していない家具が倒れたりする強い揺れが発生します。油断せずに日頃から十分な備えをしておくことが重要です。

出典:東京都防災ホームページ│南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定について

国や自治体が実施している津波対策はある?

国や自治体では、津波による被害を軽減するためのさまざまな対策が進められています。具体的には、防波堤や河川堤防の整備、排水機場の設置や強化などです。

これらの取り組みは、津波や高潮による浸水被害を軽減する役割を担っています。国や自治体による対策が進められているとはいえ、すべての被害を防げるわけではありません。個人でも日頃から備えをしておくことで、自分や家族の命を守ることにつながります。

津波対策を進めて、自分や家族の命を守ろう!

東京では、南海トラフ地震や大正関東地震クラスの海溝型地震などによって、東京湾に津波が到達する可能性があります。想定では2mを超える津波が発生するケースもあり、沿岸部や湾岸エリアでは特に注意が必要です。

津波は交通機関やライフラインなどに影響を及ぼしますが、備えをしておくことで被害は抑えやすくなります。ハザードマップの確認や非常持ち出し袋の準備、連絡手段の共有など、できることから対策を進めておくことが重要です。自分や家族の安心と命を守るためにも、今日から少しずつ備えを見直し、できることから行動に移していきましょう。