災害に備える

震度8以上の地震がない理由とは?震度別の揺れの大きさも詳しく解説

「震度8以上の地震がない理由は?」
「震度7はどのくらい揺れる?」


地震が発生した際に、揺れの強さや被害について不安に感じる方もいるのではないでしょうか。気象庁が定める震度階級は震度0から震度7までの10段階で、震度7の地震では甚大な被害が発生する可能性があります。地震への備えを万全にするためには、震度や揺れの強さについて理解することが大切です。

本記事では、震度8以上の地震がない理由を詳しく解説するとともに、震度ごとの揺れの特徴についても詳しく紹介します。万が一の地震に備えたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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目次

震度とマグニチュードの違い

震災被害

震度とマグニチュードは、地震の異なる側面を表す指標です。ある場所における地震の揺れの強弱の程度を表すのが震度で、震度0から7までの10段階で表されます。一方で、マグニチュードは地震そのものの規模を示す指標です。

地震の大きさとマグニチュードの関係は以下の通りです。

地震の大きさマグニチュード
極微小地震1以下
微小地震1~3
小地震3~5
中地震5~7
大地震7以上
巨大地震8クラス
出典:国土交通省四国地方整備局|マグニチュードと震度の違いは?

マグニチュードが1大きくなると、地震のエネルギーは約32倍になります。震度とマグニチュードの違いを理解することで、地震発生時に適切な対策や行動が取りやすくなります。

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震度8以上がない理由とは

震度8以上が設定されていない理由は、防災上区分する必要がないためです。気象庁が定める震度階級では、最大の震度7で建物の倒壊や地盤の崩壊など、大きな被害をもたらすことが想定されています。

仮に震度8以上を作ったとしても、被害内容が震度7とほとんど同じであるため、防災の役に立つ区分とはいえません。そのため、現在の震度階級では最も強い揺れを表す震度として震度7が採用されています。

震度別の揺れの大きさ・被害

次に、揺れの特徴や被害について震度別に紹介します。それぞれの震度でどのくらいの被害が出るのかを理解し、自分や周囲の方の命を守る備えにつなげましょう。

震度0~震度4

震度0~震度4の揺れの大きさは以下の通りです。

震度0人は揺れを感じない
震度1屋内で静かにしていると揺れを感じる方が稀にいる
震度2屋内で静かにしている方の大半が揺れを感じる
震度3屋内にいる方のほとんどが揺れを感じる
震度4ほとんどの方が揺れに驚く
吊り下げているものが大きく揺れ、座りの悪い置物が倒れることがある
出典:気象庁|震度について

震度0は揺れを感じないものの、地震計には記録される揺れと定義されています。震度4の地震では、物が落下して怪我をする可能性があります。

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震度5弱・震度5強

次に、震度5弱・震度5強の揺れの大きさや被害予想は以下の通りです。

震度5弱大半の方が恐怖を感じ、物につかまりたいと感じるほど揺れる
棚の食器や固定していない家具が落下・移動する可能性がある
震度5強物につかまらないと歩くことが難しい
棚の食器や固定していない家具が落下・移動するものが増える
補強されていないブロック塀が崩れることがある
出典:気象庁|震度について

震度5弱・震度5強では多くの方が恐怖を感じ、家具の落下や移動などの被害が出る可能性があります。被害を最小限に抑えるためには、事前に家具の固定や危険な場所の点検をおこなうことが大切です。

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震度6弱・震度6強

震度6弱・震度6強の揺れの大きさや被害予想は以下の通りです。

震度6弱立っていることが難しくなる
固定していない家具の大半が移動し、倒れるものが増える
ドアが開かなくなることがある
耐震性の低い木造建物は破損する可能性がある
震度6強這わないと動けず、飛ばされることもある
固定していない家具の大半が移動し、倒れるものがさらに増える
耐震性の低い木造建物は破損する可能性がある
大きな地割れや地すべりが起こる可能性がある
出典:気象庁|震度について

震度6弱・震度6強の地震は震度5よりもさらに揺れが強く、地震による被害も大きくなる可能性があります。家の中にいる場合は家具の下敷きにならないように、安全な場所に移動して揺れがおさまるまで待ちましょう。

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震度7

震度7は最も強い揺れを表し、這わないと動けないほどの激しい揺れが発生します。家の中では家具が転倒・落下し、大きな被害が生じるほか、建物自体にも損傷の可能性があるため対策が重要です。

耐震性の低い建物では傾いたり倒壊したりするケースが多く、耐震性が高い木造建物でも稀に傾くことがあります。近年では、2024年の石川県能登半島地震や2016年の熊本地震などで最大震度7が観測されています。

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南海トラフ地震で想定される最大震度は?

倒壊した家

今後、発生が想定されているのが南海トラフ地震です。政府の中央防災会議が発表した被害想定は以下の通りです。

南海トラフ地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部で震度7を観測する可能性があります。また、それ以外の地域でも震度6強・震度6弱の揺れになることが想定されています。

地震が発生すると、家の中だけではなく建物やライフラインにも影響を与えるため、事前の防災対策が大切です。地震が発生した際の行動をあらかじめ確認して、自分や大切な人の命を守りましょう。

地震発生時に取るべき行動3選

突然の揺れに冷静に対応するためには、事前に取るべき行動を知っておくことが大切です。ここでは、地震が発生した際に取るべき行動を3つご紹介します。

身の安全を確保し、被害を最小限に抑えるためのポイントを確認しましょう。

1. 自分の身を守る

地震が発生したら自分の身を守ることを最優先しましょう。シチュエーション別に取るべき行動を以下にまとめました。

自宅丈夫なテーブルなどの下にもぐり、頭を保護して揺れがおさまるのを待つ
トイレ・浴室ドアを開けて廊下や玄関など安全な場所に避難する
屋外ブロック塀や看板などに注意し、慌てずに身を守る
丈夫なビルが近くにあれば中に避難する

地震発生時は落ち着いて冷静に行動することが大切です。揺れがおさまるまでは安全な場所に移動し、自分の身を守りましょう。

2. 出口・避難経路を確保する

地震発生時には、速やかに出口や避難経路を確保しましょう。地震の揺れによって建物が傾くと、ドアが開かなくなる可能性があります。

また余震が続く場合、さらに避難が難しくなることも考えられます。避難の妨げになりそうなものは避難経路には置かないようにし、危険を感じたらすぐに逃げられるように準備することが大切です。

3. 速やかに複数人で避難する

地震発生時は、複数人で協力しながら速やかに避難することが大切です。周囲に助けを必要としている方がいる場合、声をかけて協力することで命を救える可能性もあります。また、逃げ遅れている方がいれば声をかけて避難を促してください。

避難する際は落下物に注意し、ブロック塀や建物から離れて速やかに安全な場所へ移動しましょう。近隣住民同士の助け合いが、被害を抑えるポイントとなります。

大地震に備えて個人でできる対策3選

防災グッズ

大地震はいつ起こるかわからないからこそ、事前の備えが命を守る鍵となります。ここでは、個人でできる基本的な地震対策を3つご紹介します。

家族や自分自身の安全を守るため、今すぐ実践できるポイントを確認しましょう。

1. 家具類の置き方を工夫する

家の中の安全対策を見直し、家具の配置を工夫することで地震時のリスクを軽減できます。過去の地震では、倒れた家具の下敷きになって怪我をしたり命を落としたりするケースが多く報告されています。

特に、寝室や子ども部屋では、被害を最小限に抑えるために家具を置かないことが理想です。家具を置く場合は、転倒防止金具を使ってしっかりと固定しましょう。また、それぞれの部屋ごとに家具が倒れる危険性を確認し、対策しておくことが大切です。

2. 緊急時に備えて備蓄する

非常時に必要な飲料水や食品を備蓄しておくことも重要です。地震発生後はライフラインが停止する可能性が高く、食料や水の確保が困難になる場合があります。

具体的には、1人1日3リットルの飲料水と食料を最低3日分備蓄します。また懐中電灯、乾電池、救急用品など避難に必要なものも準備し、非常持ち出し品はリュックサックにまとめましょう。家族全員が安全に過ごせるように必要なものをリストアップし、少しずつ備蓄を進めておくと安心です。

3. 連絡方法・避難場所を家族で話し合う

地震が発生した際の連絡手段や避難場所を事前に家族で確認しておくことも大切です。地震発生時は、家族が別々の場所にいる可能性があります。連絡手段や避難場所を決めておくことで、冷静に行動できます。

携帯電話の回線がつながりにくい場合は、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板を活用するのがおすすめです。話し合いの際に災害用伝言サービスの使い方をあらかじめ確認しておきましょう。

震度に関するよくある質問

ここでは、震度に関するよくある質問についてまとめました。

震度階級やマグニチュードとの違いについてより詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

なぜ震度5と6には強・弱があるのか?

地震での被害状況をより正確に把握するために震度5と震度6には強弱を設けています。従来は震度0〜7の8段階でした。しかし、阪神淡路大震災で、同じ震度5や震度6でも地域によって被害に差があることが明らかになりました。

そこで、1996年10月から震度5と6に強と弱の区分が追加され、現在では被害状況をより正確に把握できる体制が整っています。

震度が同じでもマグニチュードが違うのはなぜ?

震度が特定の地点での揺れの強さを示すのに対し、マグニチュードは地震全体のエネルギーの大きさを表しているためです。震度は震源からの距離や地盤の状況によって変わります。

そのため、震源に近い場所では小さなマグニチュードの地震でも震度が大きくなることがあります。一方、震源が遠い場合は、マグニチュードは大きくても震度が小さいこともあるでしょう。

地震に備えてできる対策から始めよう!

本記事では、震度8以上がない理由について解説しました。震度8以上を設定しても被害内容が震度7と類似するため、現在の震度階級では最も強い揺れを表す震度に震度7が採用されています。

さらに、地震発生時の適切な行動や個人でできる備えについても紹介しました。具体的な対策としては、家具の固定や非常用備蓄品の用意、家族での避難計画の共有などが挙げられます。自分や大切な人の命を守るため、まずは取り組みやすい対策から始めてみましょう。