「震度5強の地震はどれくらい被害が出るの?」
「マンションが倒壊することはある?」
「ほかの震度との違いは?」
地震について、このような疑問があるのではないでしょうか。震度5強は何かに掴まっていないと歩行が難しく、棚からものが落ちることもあるような揺れです。
この記事では、震度5強の地震の揺れについて解説します。ほかにも、被害予想やほかの震度の違いについても触れていきます。
この記事を読むことで、震度ごとの揺れや地震が発生した際の行動を理解できるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
震度5強の地震はどれくらい揺れる?
気象庁では、体感や屋内・屋外の状況について、以下のようにまとめています。
震度5強 | 状況 |
---|---|
感覚・行動 | 歩行が難しい |
屋内 | 棚の食器や本が落下することがある テレビが台から落ちることがある 転倒対策していない家具が倒れることがある |
屋外 | 窓ガラスが割れて散乱することがある 補強されていない塀が崩れ落ちることがある 設置が不十分な自動販売機が倒れることがある 自動車の運転が難しくなり、停止する車が出ることがある |
震度5強の揺れでは、難なく歩行することは難しいです。
屋内にいる場合、棚にある食器や本が落ちることがあります。屋外にいる場合は、窓ガラスが割れて落ちたり、塀が崩れたりすることもあるため危険です。
震度5強の被害予想

被害予想について、建物、ライフライン、地盤・斜面の3点から解説します。
建物
耐震性 | 木造建築(住宅) | 鉄筋コンクリート建築 |
---|---|---|
高い | - | - |
低い | 壁や梁、柱に亀裂やひび割れ | 壁や梁、柱に亀裂やひび割れ |
耐震性が高い建物には影響が少ないですが、耐震性が低い建物は要注意です。場合によっては、壁や梁、柱などにひび割れや亀裂が生じることがあります。
ライフライン
ライフライン | 状況 |
---|---|
ガス | 安全装置によって供給が停止することがある |
水道・電気 | 断水・停電が発生することがある |
鉄道・高速道路 | 安全確認のため、運転見合わせ・速度規制・通行規制がおこなわれることがある |
電話・通信 | 通信が集中し、つながりにくくなる |
エレベーター | 自動停止する 安全確認後に再開するため時間がかかる |
ガスや水道、電気は状況によって供給が停止することがあります。
鉄道や高速道路は、各事業者の判断によって安全確認のために運転見合わせ・速度規制・通行規制がおこなわれます。
電話やインターネットなどの通信では、アクセスが集中するためつながりにくいです。
地震管制装置が付いているエレベーターでは、安全のために自動的に停止されます。
地盤・斜面
地盤の状況 | 斜面の状況 |
---|---|
亀裂・液状化が生じることがある | 落石・がけ崩れが発生することがある |
地盤に、規模の小さい地割れや液状化が生じることがあります。また、がけ崩れや地すべりが起こることもあります。
ほかの震度との違い
ここからは、ほかの震度の地震が発生した場合の状況を紹介します。
震度5弱
震度5弱 | 状況 |
---|---|
感覚・行動 | 多くの人が「何かに掴まっていたい」と感じる |
屋内 | 電灯などのつり下げ物が激しく揺れる 棚にある食器・本が落ちることがある 不安定なものは倒れることがある |
屋外 | まれに窓ガラスが割れて落ちる 電柱が揺れるのがわかる 道路に影響が出ることがある |
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震度6弱
震度6弱 | 状況 |
---|---|
感覚・行動 | 立っていることが難しい |
屋内 | 固定していない家具の移動・転倒がある ドアが開かないことがある |
屋外 | タイル・窓ガラスが損傷して落下することがある |
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震度6強
東北を中心に最大震度6強の地震 地震発生時の朝日新聞仙台総局の様子
震度6強 | 状況 |
---|---|
感覚・行動 | 這わないと動けない 吹き飛ばされることがある |
屋内 | 転倒対策していない家具の大半が動いたり倒れたりする |
屋外 | タイルや窓ガラスが破損・落下する 補強されていない塀が崩れる |
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震度7
リモートワーク時に震度7 襲いかかる本棚、世界最大規模施設で実験
震度7 | 状況 |
---|---|
感覚・行動 | 這わないと動けない 吹き飛ばされることもある |
屋内 | 転倒対策していない家具の大半が動いたり倒れたりする 固定していない家具が飛ぶこともある |
屋外 | タイルや窓ガラスが破損・落下する 補強されていない塀が崩れる |
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震度5強の地震が発生した際に必要な行動

地震が発生した際に必要な行動は、以下の通りです。
ここからは、それぞれの行動について解説します。
家にいる場合は安全スペースに避難する
自宅にいて地震が発生した場合、安全を確保することが最優先です。まず、頭を保護できる場所へ避難しましょう。丈夫な机の下に隠れ、ものが落下してきた場合に備えて身を守ることが大切です。
火を使っていても、無理に消火しようとする必要はありません。危険性がないことを確認できるまで、身の安全を確保することが大切です。
また、地震が発生しても慌てて外に出ないようにしましょう。外に出ることで、倒壊した建物や飛散物で負傷する危険性があります。
屋外にいる場合は建物の倒壊に注意する
屋外にいる場合は、周囲の建物に注意しましょう。特に、古い塀やガードレール、看板などは倒壊する恐れがあり危険です。破片が飛散する可能性があるため、近くにある場合は速やかに安全な場所に避難します。
ビル街にいる場合は、ガラスが割れて落下する可能性もあります。これらの建物の近くを歩く際には注意が必要です。丈夫なビルがある場合は、建物の中に避難します。
また、山間部や崖付近にいる場合は、落石やがけ崩れに気をつけましょう。
施設にいる際は係員の指示に従う
施設内にいる場合は、まず施設の係員の指示に従うことが重要です。施設内ではほかの人たちも一緒に避難しなければならないため、混乱を避けるためにも冷静な行動が求められます。
急いで出口に駆け寄ると、ほかの人々と衝突するなどのトラブルが発生するかもしれません。慌てず、係員の指示に従って避難場所や行動指針に従いましょう。
エレベーターに乗っている際は、最寄りの階で停止し、すぐに降りましょう。指定された方法に従って、安全な避難経路を確保します。
震度・地震に関するよくある質問

ここでは、震度・地震に関するよくある質問についてまとめました。
それぞれの質問に回答していきます。
震度7以上がない理由は?
震度7以上の地震が存在しない理由は、主に2つあります。
まず、過去に日本で震度7を超える揺れが観測されたことがないためです。全国に設置された震度計で揺れを計測していますが、震度7以上は記録されていません。
そのため、気象庁は震度8や震度10を発表することはなく、震度7が最大となっています。
もう一つの理由は、防災の観点から震度7以上を区分する意味がないためです。震度7の揺れはすでに壊滅的な被害を引き起こすため、それ以上の震度に分ける必要はありません。
実際、震度8や震度10を想定しても、被害の規模や揺れ方は震度7と同じです。区別する意味がないため、震度8や震度10は存在しません。
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震度5強の地震で建物は倒壊する?
多くの建物で倒壊は起こりません。しかし、耐震性が低い建物の場合は、壁にひび割れが生じることがあります。
震度5弱と5強があるのはなぜ?
震度5弱と5強があるのは、同じ震度5でも揺れ方や被害の程度に幅があるためです。震度は地面の揺れの強さを示しますが、揺れの強さが同じでも場所や状況によって影響が異なるため、細かく分類されています。
たとえば震度5の場合、5弱は「何かに掴まりたい」と思う程度の揺れですが、5強は歩行が難しいやや強い揺れです。
こうした事情から、揺れの強さと被害状況の幅をより正確に伝えるために、震度を10段階に分類しています。このような細かい区分をすることで、災害時により適切に対応できます。
南海トラフ地震で想定される震度は?
震度 | 最大震度7 |
死者・行方不明者数 | 23万人以上 |
住宅全壊戸数 | 200万棟以上 |
被害想定区域 | 茨城、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
南海トラフ地震が発生した場合、静岡県から宮崎県にかけての一部地域では震度7が予想されています。これに隣接する広い地域では、震度6弱~6強の強い揺れが想定されています。予想されるマグニチュードは8〜9です。
政府によると、23万人以上が命を落とし、建物の全壊や焼失が200万棟以上に及ぶ可能性があるとされています。経済損失は東日本大震災の10倍以上、220兆円を超える想定です。
震度5弱・5強で津波が発生する可能性はある?
震度5弱や5強の地震でも、津波が発生する可能性はあります。
たとえば2012年12月7日に発生した三陸沖の地震(マグニチュード7.3)では、震度5弱を観測した地域で津波が確認されました。最大で98cmの津波が石巻市鮎川に到達し、ほかの地域でも30cm以上の津波が観測されています。
このように、発生場所や深さ、海底の変動によって津波が発生することがあります。地震後は速やかに津波警報に注意し、安全確保をおこなうことが重要です。
震度5強の地震が起こっても落ち着いて行動しよう
地震が発生した場合、強い揺れによる建物の倒壊やライフラインの寸断、津波の発生など、さまざまな危険が伴います。その際は、パニックにならず、冷静に行動することが最も重要です。
家にいる場合は安全な場所に避難し、屋外にいる場合は倒壊の恐れがある建物から離れることが必要です。また、施設にいる際は慌てて出口に駆け込まず、従業員の指示に従います。
この記事で紹介したポイントを参考に、万が一地震が発生したときに備えておきましょう。