津波の高さは、長期にわたり潮汐の観測を行う検潮所で実際に観測された平常潮位を基準とした高さです。わずか20cmから人命に影響を及ぼし、1mを超えると家屋が部分的に破壊されるリスクがあります。津波が来た際は警報や注意報をこまめにチェックし、指示に従うことが重要です。
この記事では、津波の測り方や高さ別の危険度について解説します。また、過去の地震で起こった津波の高さについても触れています。
この記事を読めばニュースや速報で報じられる津波の高さを理解し、危機感を持って行動できるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
- 津波の高さはどこから?定義と測り方
- 1. 津波の高さ(津波高)
- 2. 浸水の深さ(浸水深)
- 3. 遡上高(そじょうこう)
- 津波の高さと危険度
- 人命への影響(20cm~)
- 家屋への影響(1m~)
- 過去の地震から学ぶ!日本で観測した津波の高さ
- 関東大震災(最大12m)
- 東日本大震災(9.3m以上)
- 能登半島地震(最大80cm)
- 阪神・淡路大震災(34cm)
- 南海トラフ地震の津波は10m超えが予想される
- 津波から身を守るための行動
- 1. とにかく高いところへ逃げる
- 2. 正確な情報を入手する
- 3. 日頃から備える
- 4. 警報や注意報が解除されるまで気を緩めない
- 津波が発生した際の行動マニュアル
- 地震が起きたときに取るべき行動マニュアル
- 津波の高さに関するよくある質問
- 5メートルの津波はどれくらいの被害が想定される?
- 3メートルの津波はどれくらいの被害が想定される?
- 地震や津波に備えて用意したほうがよいものは何?
- 津波の高さと危険度を知って対策しよう
津波の高さはどこから?定義と測り方
| 津波の高さ | 定義 |
|---|---|
| 津波の高さ(津波高) | 検潮所で観測した潮位のうち、津波によって上昇した高さ(平常潮位からの差) |
| 浸水の深さ(浸水深) | 地盤面(地面)から水面までの高さ |
| 遡上高(そじょうこう) | 平常潮位面を基準に、津波が陸地を駆け上がった最高到達点の高さ |
津波の高さは、「どこで、何を基準に測るか」によって、定義が使い分けられています。これは、波の高さを知る目的が場所や状況によって異なるためです。
たとえば、避難の際は「どれくらいの高さまで波が来るか」が極めて重要ですが、建物を復旧する際は「建物がどれだけ浸水したか」が重要です。
それぞれの違いを知ると、どれくらいの高さが危険なのか理解しやすいでしょう。ここでは、津波の高さについて、定義と測り方を解説します。
1. 津波の高さ(津波高)
津波の高さ(津波高)とは、「検潮所」と呼ばれる施設で実際に観測された潮位のうち、平常潮位からの変化量を指します。検潮所は気象庁などが設置する施設で、海岸付近に井戸を掘り、その井戸を通じて海水を引き入れ、潮位を測定します。
気象庁が津波情報で発表する「予想される津波の高さ」は、主に沿岸部で想定される津波高です。
2. 浸水の深さ(浸水深)

浸水深は、津波が陸地に押し寄せた際、その地点の地面から水面までの高さです。
浸水深が50cmになると床上浸水の恐れがあり、3mになると建物の1階部分がほぼ水没し、2階床面付近まで浸水する可能性があります。5mでは2階部分まで水没する可能性があり、建物の構造によっては屋根付近まで浸水する場合もあります。
人の場合は、30cmの時点で歩行が困難となり、50cmになると車が浮き始めます。
70cm程度では成人でも流される危険性が高く、1mに達すると立っていることはほぼ不可能といえる状態です。
3. 遡上高(そじょうこう)
遡上高とは、津波が海岸に到達して陸地や斜面を駆け上がった際に、平常潮位面を基準として到達した最高標高を指します。
海岸付近での津波の高さと比較して、遡上高は2倍〜4倍に達することが多く、V字谷のような地形では、さらに増幅するケースもあります。
津波の高さと危険度

津波はわずか20cm程度でも人が流される危険があり、1mを超えると家屋にも被害が出始めます。津波の高さと危険度を理解すると、いざというときに適切な対応を取れるでしょう。
ここからは、人命への影響が出る高さと、家屋への影響が出る高さについて解説します。
人命への影響(20cm~)
| 津波警報・注意報の種類 | 発表される津波の高さ | 想定される被害 |
|---|---|---|
| 大津波警報 | 5m以上 | 巨大な津波により家屋や人が巻き込まれる |
| 津波警報 | 1m~3m | 高い津波に人が巻き込まれる |
| 津波注意報 | 20cm~1m | 海中では速い流れに人が巻き込まれる |
津波は20~30cm程度でも歩行が困難になり、流される危険があります。大人の場合ひざより下程度の高さですが、海水全体が動くエネルギーの大きな波で、速い流れに巻き込まれる危険があります。
また、災害時は単に速い流れの波が来るだけではありません。津波は建物を破壊し、瓦礫などの固形物を交えて押し寄せてきます。
実際に、気象庁では20cm以上の津波が予想されると、津波注意報を発表します。
家屋への影響(1m~)
| 家屋 | 津波の高さ | 被害 |
|---|---|---|
| 木造 | 1m~ | 部分的に破壊 |
| 2m~ | 全壊 | |
| 石造 | 4m~ | 部分的に破壊 |
| 8m~ | 全壊 | |
| 鉄筋コンクリート(一般住宅) | 5m~ | 部分的に破壊 |
| 丈夫な鉄筋コンクリートビル | 10m~ | 部分的に破壊 |
| 16m~ | 全壊 |
津波は1mの高さから家屋にも影響を与え、被害の度合いは建材によって異なります。
木造家屋は被害に遭いやすく、1m程度から部分的に破壊され、2m以上では全壊の危険性が高まるとされています。石造家屋の場合、倒壊し始める高さは4m以上、全壊する高さは8m以上です。
鉄筋コンクリートやビルは丈夫ですが、津波の高さが16mを超えると全壊に至る可能性があると考えられています。
過去の地震から学ぶ!日本で観測した津波の高さ
| 過去の地震 | 津波の高さ |
|---|---|
| 関東大震災(1923年) | 最大12m |
| 東日本大震災(2011年) | 9.3m以上 |
| 能登半島地震(2024年) | 最大80cm |
| 阪神・淡路大震災(1995年) | 34cm |
過去の地震で観測された津波の高さや被害状況を知ると、より津波の危険性を理解できるでしょう。ここでは、過去の地震と日本で観測された津波の高さを解説します。
関東大震災(最大12m)
1923年に発生した関東大震災では、静岡県熱海市で最大12mの津波が観測されました。この規模の津波では人的被害が発生する危険性が高く、木造や石造の家屋は全壊に至る可能性があるとされています。
出典:内閣府 防災情報のページ|特集 関東大震災から100年①
津波の人的被害は推定200~300人程度と報告されており、神奈川県を中心に被害を及ぼしたと記録されています。
【あわせて読みたい】関東大震災で津波は発生した?高さや到達範囲・被害規模について解説
東日本大震災(9.3m以上)
2011年に発生した東日本大震災で観測された津波の高さは、福島県の相馬で9.3m以上でした。
観測津波高のみを比較すると関東大震災の最大値(12m)より低いものの、遡上高は国内観測史上最大となる40.5mでした。
実際に、東日本大震災では死者が1万9,747人、行方不明者が2,556人にのぼります。全壊・半壊・一部損壊も合わせると、被害に遭った建物は115万4,893棟でした。
このように、遡上高の高さが被害の大きさを物語っています。
【あわせて読みたい】東日本大震災の津波の高さはどれくらい?浸水範囲や到達時刻も詳しく解説
能登半島地震(最大80cm)
2024年に発生した能登半島地震では、石川県の金沢や山形県の酒田で最大80cmの津波が観測されました。
能登半島地震の津波は、発生してから沿岸に到達するまでの時間が短かった点が特徴です。津波は短時間で沿岸に到達し、地形の影響により、湾内へ回り込む形で沿岸に到達したと報告されています。
【あわせて読みたい】能登半島地震の津波の特徴は?津波の高さや浸水範囲も詳しく解説!
阪神・淡路大震災(34cm)
1995年の阪神・淡路大震災では、淡路島の江井で34cmの津波が観測されました。
この地震による被害の中心は津波よりも、各地で同時多発的に発生した火災でした。神戸市内で175件の火災が発生し、7,386棟の建物が被害に遭いました。
以下の記事では、阪神・淡路大震災の津波やライフラインへの影響について詳しく解説しています。こちらもあわせてお読みください。
【あわせて読みたい】阪神淡路大震災の津波の高さはどれくらい?震度やライフラインへの影響も解説
南海トラフ地震の津波は10m超えが予想される

将来の発生が懸念されている南海トラフ地震では、10mを超える大津波の襲来が想定されています。
津波による影響は、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に及ぶという想定です。津波に先立ち、静岡県から宮崎県にかけての一部地域で震度7、隣接した地域でも震度6強から6弱の強い揺れが発生する可能性もあります。
津波の高さや範囲の広さからも、日頃から津波への対策が求められます。
【あわせて読みたい】南海トラフ地震が来たら東京はどうなる?想定される震度・津波の被害も解説
津波から身を守るための行動
津波から身を守るには、以下の4つの行動が必要です。
ここでは、それぞれの行動について解説します。
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1. とにかく高いところへ逃げる
津波が来たら、遠くへ移動するよりも、まず高い場所へ避難することが基本です。沿岸の地形の影響などによって、局所的に津波が高くなるケースがあり、逃げ遅れると巻き込まれる可能性があります。
海辺にいる場合はできるだけ離れ、高くて安全な場所へ避難しましょう。地域によっては「津波避難ビル」が指定されています。
2. 正確な情報を入手する
高いところへ避難した後は、正確な情報を入手してその後の行動を判断しましょう。津波は繰り返し到達することがあるため、警報や注意報が継続される場合があります。適切な行動を取るには、情報収集が欠かせません。
情報源はテレビや自治体のホームページ、ラジオから入手できます。場合によっては、広報車や防災行政無線から得られるケースもあります。
インターネットやSNSの情報は誤っている可能性もあるため、できる限り、気象庁や自治体などの公的機関が発信する情報を優先しましょう。
3. 日頃から備える
津波から身を守るには、日頃からの備えが欠かせません。自宅や職場、学校周辺の危険箇所を把握し、避難場所と安全なルートを把握しましょう。緊急連絡先や集合場所について家族で話し合っておくと、災害時にも連絡を取りやすくなります。
危険箇所や安全なルートを知るには、ハザードマップが役立ちます。ハザードマップは国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」や、各自治体のホームページから入手可能です。
4. 警報や注意報が解除されるまで気を緩めない
津波到達後も、津波警報・注意報が解除されるまで気を緩めず、安全な場所での避難を続けましょう。津波は繰り返し押し寄せることがあります。
海の様子が気になるかもしれませんが、決して様子を見に戻らないようにしてください。
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津波が発生した際の行動マニュアル

上記リストは、津波が発生した際の行動マニュアルです。
チェックリストを参考に日頃から備えておきましょう。また、津波が発生した際も、避難チェックリストがあると行動の確認に役立ちます。
【あわせて読みたい】津波の避難方法と対策!現在地から1番近い避難場所を調べる方法も解説
地震が起きたときに取るべき行動マニュアル

津波は地震をきっかけに発生するケースがよくあります。上記のマニュアルを参考に、地震が起きたときに取るべき行動について知っておきましょう。
たとえば屋内にいる際は、家具や棚が落ちてくる危険性があり、机の下に隠れてクッションなどで頭を守ります。一方で、屋外にいる際は、ブロック塀や看板が落下する恐れがあるため、カバンなどで頭を守り、落下物や倒壊物から離れる必要があります。
状況ごとに危険なものが異なるため、それぞれの状況に応じた適切な行動が必要です。
津波の高さに関するよくある質問
最後に、津波の高さに関するよくある質問にお答えします。
5メートルの津波はどれくらいの被害が想定される?
予想される津波の高さが5m程度の場合は「大津波警報」が発表され、巨大な津波によって人や建物が巻き込まれる危険性があります。木造家屋は全壊に至る可能性があり、石造家屋は部分的に破壊する可能性があります。
津波警報や注意報が発表されたら、指示に従って行動しましょう。
【あわせて読みたい】5メートルの津波はどれくらい?津波の高さと被害予想を詳しく解説
3メートルの津波はどれくらいの被害が想定される?
予想される津波の高さが3m程度の場合は「津波警報」が発表され、人は高い津波に巻き込まれるリスクがあります。木造家屋が全壊に至る可能性があり、瓦礫が流れてくる危険があるため、いち早く高い場所へ避難しましょう。
地震や津波に備えて用意したほうがよいものは何?

いつ来るかわからない災害に備えて、非常用持ち出し袋を備えましょう。
水や食料、懐中電灯などの防災グッズに加え、家族構成に合わせて必要なものを用意します。両手が空くよう、リュックサックに詰めるのが望ましいとされています。
上記のチェックリストを参考に、準備しましょう。
津波の高さと危険度を知って対策しよう
津波の高さ(津波高)は、検潮所などで観測された潮位のうち、平常潮位からの変化量を指します。津波が陸地に押し寄せたときの地面から水面までの高さが浸水深、陸地を駆け上がったときの平常潮位面を基準として到達した最高標高を遡上高です。
津波は高さ20cmから人が流される危険があり、1mを超えると家屋が部分的に破壊されるリスクがあります。また、津波には瓦礫などの物質が含まれ、人命に重大な危険を及ぼすおそれがあります。
津波が来た際は警報や注意報をこまめにチェックし、指示に従うことが重要です。できる限り高いところへ避難し、警報や注意報が解除されるまで警戒が必要です。
津波に備え、ハザードマップで危険箇所や避難場所を確認しましょう。また、いつでも避難できるよう、非常用持ち出し袋を準備しておくことも大切です。
この記事で学んだ知識を活かし、津波対策を始めましょう。



