台風が発生すると、住宅や交通機関、農業などさまざまな方面に影響が及ぶことがあります。なかでもインフラへの被害は深刻で、長期化すると日常生活に支障をきたすでしょう。
この記事では、台風がもたらす被害について解説します。また、台風の発生前後や接近中の行動についても触れています。
この記事を読むことで、事前の備えから台風接近前から台風通過後の行動まで知ることができ、いざというときに備えられるでしょう。台風被害について不安がある方は、ぜひ最後までお読みください。
台風がもたらす主な4つの被害

台風による主な被害として、以下の4つが挙げられます。
ここでは、各被害についてより具体的に解説します。
住宅・建物への被害
台風による強風や大雨は、住宅や建物に深刻な被害をもたらすことがあります。ここでは、強風と大雨による影響をそれぞれ解説します。
強風による屋根・窓ガラスの被害
台風による強風で、住宅の屋根材が破損したり、飛散したりする場合があります。なかでも瓦屋根は耐久性や遮音性に優れていますが、築年数が古い住宅などでは、強風によって瓦がずれたり、飛散したりする場合があります。
実際に2019年の令和元年房総半島台風では、住宅の屋根瓦などに大きな被害が発生しました。
その後、瓦屋根の緊結方法に関する建築基準法の告示基準が改正されました。2022年1月1日からは、新築時のすべての建築物について、「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」に準拠した工法が義務付けられています。
また、風の勢いで窓ガラスが割れるケースも少なくありません。窓ガラスが割れると、ガラスの破片が室内に飛散するおそれがあります。
大雨による床下・床上浸水
台風にともなう大雨によって、住宅が浸水するおそれがあります。
住宅の浸水被害には、床下まで浸水する「床下浸水」や、床より上まで浸水する「床上浸水」があります。国土交通省の水害リスクマップにおける「床上浸水相当」の基準は、浸水深0.5m以上です。
浸水が想定される場合は、自宅の災害リスクや自治体からの避難情報などを確認し、避難が必要な状況では浸水対策よりも避難を優先することが重要です。また、浸水対策を取り入れた住宅であっても、浸水の規模などによっては被害を防ぎきれないことがあります。
そのため、自宅の災害リスクや周囲の状況、避難情報などを確認し、危険な場所にいる場合は適切なタイミングで避難することが大切です。
インフラへの被害
台風が接近・上陸すると、日常生活に欠かせないインフラに影響を及ぼすことがあります。
ここでは、インフラへの被害を4つに分けて解説します。
停電
| 台風 | 停電した戸数 |
|---|---|
| 台風21号(2018年) | 最大約240万戸 |
| 台風24号(2018年) | 最大約180万戸 |
| 台風15号(2019年) | 最大約93万戸 |
停電は、台風によるインフラ被害の代表例です。実際に、過去には大規模停電も発生しています。
2018年に発生した台風21号では、近畿地方を中心に最大約240万戸が停電しました。2019年の台風15号では、千葉県を中心に電柱などの損傷や倒壊が発生し、最大約93万戸で停電が起こっています。
停電の原因や復旧の目安については「台風で電気・ガスが止まる原因と復旧の目安」で解説します。
ガスの停止
都市ガスは台風や豪雨による供給支障が起こりにくいものの、浸水などの影響で供給が停止することがあります。
都市ガスの導管設備は大半が地中に埋設されているため、台風や豪雨による供給支障が起こりにくいのが特徴です。しかし、河川の氾濫や冠水などによってガス供給設備が浸水すると、供給が停止することがあります。
断水
台風によって断水が発生することもあり、その原因は停電や水道施設の浸水、管路の破損などさまざまです。
原因の1つが停電です 。マンションなどで給水に電動ポンプを使用している場合、停電によってポンプが停止し、建物内で断水することがあります。
また、豪雨によって浄水場やポンプ場などが浸水し、給水機能が停止することもあります。
通信障害
台風の影響により、通信インフラが被害に遭い通信障害が発生することがあります。大雨や土砂災害などによる停電や、電波の送受信設備である基地局までの伝送路の故障などが主な原因です。
通信障害が発生すると、スマートフォンなどで音声通話やデータ通信を利用できない、または利用しづらくなる場合があります。
携帯電話の通信サービス全体が停止するケースもあり、日常的なデータ通信や音声通話だけでなく、110番や119番などの緊急通報への発信が困難になる恐れもあります。
いざというときの情報収集や安否確認に支障をきたす可能性があるため、複数の情報収集・連絡手段を確保しておくことが重要です。
交通機関・道路への被害
台風の接近・通過にともない、交通機関の運行や道路の通行に影響が出ることがあります。
ここでは、主な4つの影響について解説します。
電車の計画運休
台風の接近時などには、鉄道各社は事前の気象予報などを踏まえて計画運休を実施することがあります。主な理由は、乗客の安全を確保するとともに、駅間での長時間停車や駅での混乱などを防ぐことです。
電車の計画運休は、台風が過ぎたらすぐに再開されるわけではありません。大型の台風などで強風が発生した場合は、運転再開にあたり、基本的に全線にわたって、構造物の状態や飛来物による障害がないか安全確認がおこなわれます。
航空便の欠航
台風の接近にともなう強風などの悪天候により、航空便が遅延・欠航する場合があります。また、目的地へ着陸できず出発空港へ引き返したり、当初の予定とは異なる別の空港へ着陸したりするケースも想定されます。
台風の進路や天候の変化によっては、通常通り運航予定だった便が直前で影響を受けることも珍しくありません。
各便の運航状況は、気象状況などによって変わる可能性があります。利用予定がある場合は公式サイトなどでこまめに最新の運航状況を確認しましょう。
高速道路の通行止め
台風や大雨の影響により、安全確保のため高速道路や一部の国道が通行止めになることがあります。
大雨時の通行止めは、道路や区間ごとに定められた基準などに基づいて実施されます。しかし、天候の急変によって通行止めの対象区間や開始時間が想定から変わることも珍しくありません。
車で移動する予定がある場合は、出発前や移動中に最新の気象情報や道路交通情報をこまめに確認することが重要です。
道路の冠水・土砂災害
台風による大雨が下水道などの排水能力を超えたり、河川などへ雨水を排水できなくなったりすると、内水氾濫によって道路が冠水するおそれがあります。
冠水した道路は足元の状況を確認しにくく、側溝やマンホールなどに気付けないおそれがあるため危険です。また、大雨時には地下室などの地下空間が浸水するおそれがあるため、地下空間にいる場合は早めに地上の安全な場所へ移動することが重要です。
大量の雨水が地面に染み込んで地盤が緩み、がけ崩れや土石流などの土砂災害が発生する危険性も高まります。土砂災害のおそれがある場所では、自治体からの避難情報や気象庁の「土砂キキクル」などを確認し、危険が高まる前に安全な場所へ避難することが大切です。「土砂キキクル」では、地図上で、大雨による土砂災害発生の危険度を把握することができます。
農業への被害
台風による強風や大雨は、農家にも大きな被害をもたらします。そのため事前の備えが重要ですが、台風接近時は人命を最優先し、安全が確保できない状況で農地や農業施設の見回りなどをしないことが大切です
ここでは、強風と大雨による被害をそれぞれ解説します。
強風による果樹の落果・ビニールハウスの倒壊
果樹園では、激しい風によって収穫前の果実が落果するだけでなく、枝が折れたり、樹木そのものが倒れたりする被害が発生します。
さらに、ビニールハウスが強風で倒壊したり、飛ばされてきた飛来物で破損したりする被害が懸念されます。被害を抑えるためには、台風が接近する前に施設の点検や補強をすることが重要です。
大雨による農作物の冠水や塩害
大雨で田畑が冠水・浸水すると、農作物の生育不良や根腐れなどの被害につながることがあります。
加えて、海に近い地域では、海水を含んだ風雨が作物に付着することで生じる潮風害にも注意が必要です。被害の程度によっては、落葉や落果などが生じ、収穫に影響するおそれがあります。
被害を抑えるには、台風が接近する前の施設や資材の点検・補強、収穫可能な作物の早期収穫など、作物や施設に応じた対策が重要です。
防災エナジーでは、今後もみなさまに役立つ情報をお届けするため、
アンケートを実施しています。
ぜひ、ご意見・ご感想をお聞かせください。
台風で電気・ガスが止まる原因と復旧の目安

台風による停電やガスの停止に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。台風で供給が停止する原因や復旧までの期間がわかれば、少しでも不安を和らげられるでしょう。
ここでは台風によって電気やガスが止まる主な原因と、復旧までにかかる期間の目安について解説します。
電気への影響
停電が起こると、生活に欠かせない家電や照明が突然使えなくなります。なぜ台風により停電が起きるのか、どのくらいで復旧するのかを解説します。
主な原因
台風で停電する原因は、主に以下の4つです。
- 倒木や建物の倒壊による電力設備の損傷
- 強風による電柱の倒壊
- 飛来物による電線などの損傷
- 土砂崩れや塩害による電力設備への被害
台風による倒木や建物の倒壊によって電柱や電線などの設備が損傷し、停電することがあります。また、強風や飛来物によって、電柱や電線が損傷することも停電の原因です。
ほかにも、土砂崩れによる電力設備の損傷や、強風で海から運ばれた塩分が電力設備に付着する「塩害」によって、停電につながるケースもあります。
復旧する目安
| 台風 | ピーク時の停電戸数の99%が解消するまでの期間 |
|---|---|
| 台風21号(2018年) | 約5日 |
| 台風24号(2018年) | 約3日 |
| 台風15号(2019年) | 約12日 |
台風による停電は、復旧までにおよそ数日から10日以上かかると考えられます。2018年の台風24号では約3日後、2019年の台風15号では約12日後に、ピーク時の停電戸数の99%が復旧しました。
停電すると、照明やスマートフォンの充電をはじめ、電気を使用するさまざまな機器が利用できなくなる可能性があります。対策については「台風によるインフラ停止への備え」で解説します。
ガスへの影響
台風によりガスが停止すると、ガスコンロで調理ができなくなったり、ガス給湯器でお湯を沸かせなくなったりします。どのような原因で止まってしまうのか、また停止した際にどう対応すれば良いのかを解説します。
主な原因
台風や豪雨では、土砂崩れによるガス導管の損傷やガス供給設備の浸水などによって、都市ガスの供給に支障が出る場合があります。
土砂崩れや土砂崩れを防ぐための擁壁崩れによって、地中に埋設されているガス導管が損傷するケースが挙げられます。また、大雨や河川の氾濫によって、ガス供給設備が冠水・水没することも1つの原因です。
これらの被害が発生した場合などには、安全確保のために都市ガスの供給が停止されることがあります。
復旧する目安
台風によるガスの供給停止から復旧するまでの期間は、被害の状況によって異なります。過去には、供給停止の翌日に復旧したケースがある一方、復旧までに10日程度かかったケースもありました。災害によってガス供給設備が被害を受け、ガス事業者が供給を停止している場合は、供給が再開されるまで待たなければなりません。
一方で、ガス事業者による供給停止ではなく、ガスメーターの安全装置が作動して各家庭へのガスを遮断している場合もあります。ガス臭やガス機器・給排気設備などの異常がないことを確認し、ガス事業者による供給停止ではない場合は、使用しているガスメーターの復帰手順に従って操作します。
【あわせて読みたい】【災害時の備えつき】ガスが止まったのはなぜ?原因や復旧方法を詳しく解説
台風被害を最小限に抑える行動指針

台風の被害を抑えるには、接近する前から行動することが大切です。ここでは、タイムライン別に解説します。
台風接近3日前まで
台風の接近が予想される場合は、3日前を一つの目安として、避難に向けた準備を始めましょう。
ハザードマップで自宅や職場周辺の災害リスクを確認し、避難場所や避難経路を家族と共有します。また、気象庁が発表する台風情報や防災気象情報などを、こまめに確認することも大切です。
台風接近前日まで
台風接近前日までに、風雨が強まる前の安全な段階で自宅周辺の片付けを済ませ、在宅避難に備えた準備を進めましょう。
被害を抑えるため、風に飛ばされそうなものは屋内に移動するか固定し、窓や雨戸に鍵を掛けます。また、断水に備えた生活用水の確保や、防災グッズ・備蓄品の確認も欠かせません。
台風接近当日
台風接近当日は、自治体からの避難情報などを確認し、安全な場所で過ごしましょう。外の様子が気になっても、海や川などの危険な場所へ様子を見に行ったり、窓に近づいたりしてはいけません。
台風通過後
台風の通過後は、気象情報や周囲の安全を確認したうえで、片付ける前に被害状況を写真で記録しておきましょう。
さまざまな被災者支援制度の判断材料として活用される罹災証明書の申請や、保険金の請求などにおいて、被害状況を確認する資料として写真が役立つ場合があるためです。。家の外はできるだけ4方向から撮影し、浸水した場合は浸水した深さがわかるように記録します。家の中も、被災した部屋の全景と被害箇所を撮影しておきましょう。
安全を確認してから、マスクや手袋を着用して清掃をおこないます。家屋が浸水した場合は、汚泥を取り除いて十分に清掃し、換気して乾燥させます。清掃と乾燥のあと、必要に応じて消毒をおこないましょう。
台風によるインフラ停止への備え

台風の被害で特に注意したいのが、電気などの生活インフラの停止です。電気や水道、通信などの生活インフラが停止すると、食事やトイレ、安否確認など、さまざまな面で生活に支障が出ます。
ここでは、ライフラインの停止に備えて、具体的にどのような準備をしておけば良いのかを解説します。
停電への備え
突然停電が発生しても落ち着いて対応できるようにするには、事前の備えが大切です。具体的には、以下のアイテムを準備しておきましょう。
- 懐中電灯・ランタン
- 食料・飲料水
- 現金
- 防寒具・暑さ対策グッズ
停電時の明かりを確保するため、懐中電灯やランタンを備えておきましょう。家族それぞれが使えるよう、人数分の懐中電灯やランタンを用意しておくと安心です。
停電すると、IHコンロや電子レンジなどの電気調理器具が使えなくなります。停電に備えて、加熱せずに食べられる食品も用意しておくと安心です。食料や飲料水などは、最低3日分、できれば1週間分程度を備蓄しておきましょう。
また、停電に備えて現金を用意しておきましょう。停電や通信障害などにより、ATMやキャッシュレス決済が利用できなくなる場合があります。
さらに、停電でエアコンが使えなくなる場合に備えて、防寒具や暑さ対策グッズも用意しましょう。防寒には手袋や靴下などの衣類、カイロが役立ちます。暑さ対策には、充電式扇風機やネックリングなどがあります。
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ガスの停止への備え
災害によるガスの停止に備え、カセットコンロと対応するガスボンベを用意しましょう。これらにより、停電やガス停止時でも湯沸かしや簡単な調理ができます。
また、ガスメーターの安全装置が作動し、ガスが遮断される場合もあります。普段からガスメーターの設置場所と、ガスが遮断された場合の復帰操作手順を確認しておくと安心です。
断水への備え
断水が発生した際に困らないよう、以下のものを準備しましょう。
- 飲料水
- 生活用水
- 非常用トイレ
- 衛生用品・常備薬
飲料水は、目安として1人あたり1日3リットルを最低3日分、できれば1週間分を備蓄しておきましょう。また、手洗い用などの生活用水を確保するため、日常的に浴槽に水を張っておく対策が有効です。
水洗トイレが使えなくなる場合に備えて、非常用トイレも用意します。また、衛生用品や常備薬などもあわせて用意しておきましょう。
通信障害への備え
通信障害が発生すると、インターネットや通話が利用しにくくなる場合があるため、複数の連絡手段を確認しておくことが大切です。
家族間の連絡手段として「災害用伝言ダイヤル(171)」や「災害用伝言板(web171)」などについて、事前に利用方法を確認しておきましょう。
【あわせて読みたい】災害用伝言ダイヤル(171)の使い方とは?注意点もわかりやすく解説
また、情報収集手段として、ラジオも用意しておくと安心です。停電時にも使えるよう、乾電池式や手回し充電に対応した製品を選ぶと良いでしょう。
台風被害に関するよくある質問
最後に、台風被害に関するよくある疑問に回答します。
日本で大きかった台風被害は?
日本の台風災害のなかでも特に大きな人的被害をもたらしたのが、1959年に上陸した伊勢湾台風です。全国で死者4,697名、行方不明者401名の人的被害が発生しました。
台風による二次災害とは?
台風による大規模な災害の後には、洪水や土砂災害などが二次災害として発生する場合があります。
洪水とは、大雨で河川の流量が増え、堤防から水が氾濫する現象です。浸水は家や建物が浸かる状態を指し、冠水は道路や田畑が水に浸る状態を指します。
こうした災害によって被害が拡大するおそれもあるため、台風の接近時は大雨による河川の増水や土砂災害などにも注意が必要です。
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事前の備えで台風被害を軽減しよう
台風による強風や大雨は、住宅やインフラ、交通機関、農業に甚大な被害をもたらすことがあります。特に、停電やガスの供給停止、断水などが発生すると、日常生活に大きな影響が及ぶ場合があります。復旧までに時間がかかることを見据え、飲料水や食料、防災用品などを事前に準備しておきましょう。
被害を抑えるため、台風接近前からハザードマップを確認したり、雨風が強まる前の安全な段階で家の周りを片付けたりする備えが重要です。当日は自治体からの避難情報などを確認し、必要な避難行動をとったうえで、安全な場所で過ごしましょう。通過後は、気象情報や周囲の安全を確認し、片付ける前に被害状況を写真で記録します。
台風の接近が予想される際は、この記事で紹介したポイントを参考に、早めの備えを進めましょう。



