地震が発生した際は、揺れによる直接的な被害だけでなく、その後に連鎖して起こる「二次災害」にも注意が必要です。二次災害には、火災・津波・液状化現象・崖崩れなど、さまざまな種類があります。地震の揺れが収まったから安全とは限らず、時間差で発生する通電火災やガス漏れにも注意が必要です。
本記事では、地震で起こる代表的な二次災害6つとその対策について詳しく解説します。また、ライフライン停止時の対処法も紹介するので、地震対策を進めたい方はぜひ最後までお読みください。
- 地震の二次災害とは?一次災害との違い
- 地震の二次災害6つと対策
- 二次災害1. 余震
- 二次災害2. 地震火災
- 二次災害3. 津波
- 二次災害4. 地割れ・液状化現象
- 二次災害5. 崖崩れ
- 二次災害6. エコノミークラス症候群・感染症
- ライフラインの二次災害リスクと対処法
- 電気|漏電・通電火災に注意
- ガス|震度5相当以上の揺れでガスが自動停止
- 水道|水道管が損傷すると断水が発生
- 過去の地震で発生した二次被害の事例
- 能登半島地震|2024年
- 東日本大震災|2011年
- 阪神・淡路大震災|1995年
- 地震の備えチェックリスト
- 地震の二次災害への備えチェックリスト
- 地震の二次災害に関するよくある質問
- 二次災害を防ぐために個人でできることは?
- 地震の二次災害で多いのは何?
- 余震はいつまで続く?
- 正しい知識で地震による二次災害から身を守ろう!
地震の二次災害とは?一次災害との違い

地震による被害は「一次災害」と「二次災害」の2種類に分けられます。一次災害とは、地震の揺れそのものが直接引き起こす被害のことです。
一方で、二次災害とは一次災害が引き金となって連鎖的に発生する被害のことで、火災・津波・液状化現象・崖崩れなどが代表例です。発生タイミングや対策の方向性が異なるため、それぞれの特徴を正しく理解しておくことが、適切な防災行動につながります。
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地震の二次災害6つと対策
地震が発生すると、揺れによる被害に加えて、その後に連鎖して起こる二次災害にも注意が必要です。ここでは、地震後に起こりうる代表的な二次災害6つと、その対策について解説します。二次災害の種類や対策について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
二次災害1. 余震
余震とは、地震後に繰り返し発生する地震のことです。 なお、気象庁では、防災上の呼びかけにおいて「余震」という表現を使用しない場合があります。
2016年の熊本地震では、最初に発生した震度7の地震のあと、さらに震度7の地震が発生し、被害が拡大しました。余震は、本震でダメージを受けて弱体化した建物にさらなる被害を与え、倒壊を引き起こす可能性がある点が特徴です。
余震の対策
余震への主な対策は以下の通りです。
- 建物の耐震化
- 制震装置の設置
- 家具の固定・配置の工夫
耐震化は大きな揺れへの対策として有効ですが、繰り返し発生する揺れに備える方法として、住宅の状況に応じて制震装置などを検討する選択肢もあります。また、家具の転倒は余震のたびに危険をもたらすため、突っ張り棒や固定金具を使った対策を早めに済ませておきましょう。
二次災害2. 地震火災
地震火災とは、地震をきっかけに発生する火災のことです。電気配線のショートや通電火災、暖房器具の転倒などが主な原因として挙げられます。
なかでも通電火災は、停電復旧時に転倒した家電や損傷した配線に再び電気が流れることで発生するため、地震後もしばらく警戒が必要です。
また、地震火災は避難して誰もいない家屋でも発生する可能性があり、初期消火が遅れることでさらに被害が拡大する危険があります。
地震火災の対策
地震火災の対策としては、感震ブレーカーの設置が有効です。感震ブレーカーは一定以上の揺れを感知すると自動でブレーカーを落とすため、通電火災の防止につながります。
また、避難時には可能な範囲でブレーカーを手動で落とす習慣をつけることも重要です。日頃の備えとしては、家具や家電の転倒防止対策や暖房器具周りの整理整頓をしておくことで、火災のリスクを下げられます。揺れが収まったら、火の元を確認し、必要に応じて初期消火をおこないましょう。
二次災害3. 津波
津波は地震によって海底の地盤が大きく変動し、その影響で押し上げられた海水が波となって陸に押し寄せる現象です。津波は沖合では波が低く見えても、陸に近づくにつれて急激に高くなる点が特徴です。
また、津波は一度だけでなく繰り返し押し寄せることがあります。最初の波が引いたあとに第二波・第三波が到達するケースも多いため、波が引いたあとも避難を続けることが重要です。津波の発生メカニズムや想定される被害については、以下の記事でも詳しく解説しています。
【あわせて読みたい】地震が津波を引き起こす仕組みをわかりやすく解説!対策・取り組みも紹介
津波の対策
津波警報が発表された場合は、ただちに高台や津波避難タワーなど、できるだけ高い安全な場所へ避難しましょう。事前の備えとしては、津波ハザードマップで自宅周辺の危険箇所や避難場所、避難経路を確認しておくことが重要です。あわせて、津波フラッグや津波標識の意味や設置場所も確認しておくとよいでしょう。
また、家族とはぐれた場合に備えて、安否確認の手段や集合場所をあらかじめ家族間で共有しておくことも大切です。いざというときに迷わず動けるように、日頃から防災訓練に参加しておくとよいでしょう。
二次災害4. 地割れ・液状化現象
地割れとは、地震の強い揺れによって地面に亀裂が生じる現象です。地割れが発生すると、建物の基礎部分が損傷したり、道路の亀裂によって車両の通行が困難になったりするなどの被害が起きます。
液状化現象とは、地震の揺れによって地下水を多く含む砂地盤が液体のような状態になる現象です。建物の傾斜や沈下、マンホールの浮き上がりが起きることがあります。液状化現象は埋立地やかつて池・沼・川だった場所で起きやすく、能登半島地震でも広い範囲で被害が確認されました。
地割れ・液状化現象の対策
地震後に地割れを発見した場合は近づかず、足元に十分注意して行動しましょう。事前の備えとしては、ハザードマップで地割れや液状化の危険箇所を確認しておくことが重要です。自宅周辺だけでなく、避難経路や通勤・通学路についても確認しておきましょう。
また、これから家を建てる場合は地盤調査をおこない、液状化しやすい土地を避けたり、必要に応じて地盤改良を実施したりすることも有効です。
二次災害5. 崖崩れ
崖崩れは土砂災害の一種で、地震の揺れによって地盤や斜面が緩み、崩れることで発生します。地震直後だけでなく、そのあとの雨や台風をきっかけに時間差で発生するケースも多く、地震後しばらくは警戒が必要です。
気象庁では、大きな地震が発生した地域に対して、土砂災害警戒情報や大雨警報などを通じて警戒を呼びかけています。場所によっては、通常より少ない雨量でも土砂災害が起きるリスクがあるため注意しましょう。
崖崩れの対策
崖崩れへの対策として、まずはハザードマップで土砂災害警戒区域を確認しておくことが重要です。自宅周辺に加えて、避難所までの経路や通勤・通学路にも危険箇所がないかチェックしておきましょう。
また、近くに山や崖がある場合は、地震後すぐに避難できるよう備えておくことも重要です。非常用持ち出し袋をあらかじめ準備しておくことで、緊急時に落ち着いて避難できます。崖崩れを含む土砂災害の対策についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
【あわせて読みたい】個人でできる土砂災害の対策!警戒レベル別の避難行動や前兆現象も解説
二次災害6. エコノミークラス症候群・感染症
地震後の避難生活では、エコノミークラス症候群や感染症といった健康被害にも注意しましょう。
エコノミークラス症候群とは、水分や食事が不足した状態で長時間同じ姿勢をとり続けることで血流が悪化し、血栓(血液のかたまり)が生じる病気です。重症化すると命に関わる可能性もあるため、避難所だけでなく車中泊での避難時にも十分に注意しましょう。
また、避難所は不特定多数の方が共同生活する環境であるため、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症が広がりやすい点にも注意が必要です。
エコノミークラス症候群・感染症の対策
エコノミークラス症候群の対策は以下の通りです。
- こまめな水分補給を心がける
- 適度な運動やストレッチ・マッサージをおこなう
- ゆったりとした服装で体を締め付けない
エコノミークラス症候群を防ぐためには、長時間同じ姿勢でいることを避け、意識的に体を動かすようにしましょう。
また、感染症対策としては、手洗いやマスクの着用を含む咳エチケットの徹底が基本です。咳をする際は口や鼻をハンカチやティッシュ、袖などで覆いましょう。
ライフラインの二次災害リスクと対処法

地震が発生すると、電気・ガス・水道といったライフラインにも深刻な被害がおよぶことがあります。ライフラインの停止は日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、命に関わる二次災害につながるおそれもあります。それぞれのリスクと正しい対処法を事前に把握しておきましょう。
電気|漏電・通電火災に注意
地震後に電気が復旧した際、転倒した電気機器や損傷した配線に再び電気が流れることで、火災が発生するリスクがあります。実際に東日本大震災では、火災のうち原因が特定されたものの過半数が電気関係の出火でした。
通電火災は揺れが収まったあとや停電復旧後に発生することがあります。そのため、避難後や帰宅後など、警戒がゆるみやすいタイミングでも火災が起こるおそれがあるため注意が必要です。
電気の対策
電気による二次災害を防ぐためには、避難時に可能な範囲でブレーカーを落とすことが基本です。ブレーカーを落としておくことで、停電復旧時の通電火災を防ぎやすくなります。
また、地震後に切れた電線を見かけた場合は触れないようにしましょう。電気が復旧したあとに焦げ臭いにおいがした場合は、すぐにブレーカーを落として安全を確認してください。停電への備えについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
【あわせて読みたい】停電への備えとして用意すべき7つのものとは?注意点もあわせて解説
ガス|震度5相当以上の揺れでガスが自動停止
震度5相当以上の揺れを感知すると、ガスメーター(マイコンメーター)に内蔵された安全装置が作動し、ガスが自動的に停止します。
また、地震によってガス管が損傷すると、ガス漏れが発生しているおそれもあります。ガス臭いと感じた場合は、換気扇や電気のスイッチなどには触れないようにしましょう。火花によってガスに引火する危険があります。
ガスの対策
ガスによる二次災害を防ぐためには、揺れが収まったらガスコンロなどの火を消し、元栓を閉めることが基本です。ガス臭いと感じた場合はすぐに窓を開けて換気し、換気扇や電気のスイッチには触れずにガス会社へ連絡しましょう。
地震でガスが止まった場合は、ガスメーターの復帰ボタンで復旧できる場合があります。ただし、ガス臭い場合や、ガス機器・配管の破損が疑われる場合は、自己判断で復旧操作をせず、ガス会社へ連絡しましょう。
ガス漏れが疑われる場合は、火気の使用を避け、速やかに安全な場所へ避難することも重要です。
水道|水道管が損傷すると断水が発生
地震によって水道管が損傷すると断水が発生し、飲料水の確保だけでなく、トイレや調理などの日常生活に大きな支障が生じます。過去の大規模地震では、断水が数週間から数カ月にわたって続いたケースもあります。
断水はライフラインの停止のなかでも生活への影響が大きく、特に高齢者や小さな子どものいる家庭では、早めの備えや対応が重要です。
【あわせて読みたい】地震で水道が止まる理由は?復旧日数や困ること・対処法を解説
水道の対策
断水時や避難時は、必要に応じて水道の元栓や各水回りの止水栓を閉めておくと安心です。元栓を閉めておかないと、水道管の破損箇所から汚れた水が宅内へ流れ込むおそれがあります。
また、飲料水は1人1日3リットルを目安に備蓄しておくことが推奨されています。あわせて、自治体が設置する給水所の場所を事前に確認しておきましょう。トイレが使えなくなる場合も多いため、携帯トイレや凝固剤の備蓄も断水対策として有効です。
特に集合住宅では、停電によって給水ポンプが停止し、水道管に問題がなくても断水する場合があります。
過去の地震で発生した二次被害の事例
地震の二次災害は、過去の大規模地震でも甚大な被害をもたらしてきました。ここでは、能登半島地震・東日本大震災・阪神淡路大震災の3つを取り上げ、発生した二次被害について振り返ります。
能登半島地震|2024年
2024年1月1日に発生した能登半島地震では、津波・火災・液状化現象・交通網の寸断など、複数の二次災害が発生しました。石川県輪島市では大規模火災が発生し、焼失面積は約49,000㎡、焼損棟数は約240棟とされています。
また、新潟市や石川県内灘町など、広い範囲で液状化による深刻な被害が生じ、土砂災害も多数発生しています。能登半島地震で発生した津波の詳細については、以下の記事もあわせて参考にしてください。
出典:総務省消防庁│輪島市大規模火災の原因調査結果と対策について
【あわせて読みたい】能登半島地震の津波の特徴は?津波の高さや浸水範囲も詳しく解説!
東日本大震災|2011年
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、大津波が東北地方の沿岸部を襲い、壊滅的な被害をもたらしました。相馬では9.3m以上、石巻市鮎川では8.6m以上、宮古では8.5m以上の津波が観測されています。
また、津波によって運ばれたがれきや流出した油類などに引火し、沿岸部を中心に火災も発生しました。そのため、浸水や道路の寸断、がれきの堆積などによって消防車両が近づけず、消火活動が難航した地域もあります。
さらに、関東の広い範囲では液状化現象が発生し、マンホールの浮きあがりや家屋の沈下、ライフラインの停止などの被害も出ています。東日本大震災の津波の高さについては、以下の記事も参考にしてください。
【あわせて読みたい】東日本大震災の津波の高さはどれくらい?浸水範囲や到達時刻も詳しく解説
阪神・淡路大震災|1995年
阪神・淡路大震災では、神戸市内だけでも地震発生から10日間に175件の火災が発生し、7,386棟の建物に火災による被害が出ました。木造家屋の密集と地震による断水で消火活動が困難になり、大規模な延焼につながりました。
また、この震災をきっかけに、停電復旧後に発生する通電火災や家具転倒による死亡リスクが広く知られるようになった点も特徴です。阪神・淡路大震災以降は感震ブレーカーの普及など、防災対策の見直しも進んでいます。阪神・淡路大震災の火災被害の詳細については、以下の記事でも詳しく解説しています。
【あわせて読みたい】阪神淡路大震災で火災が発生したのはなぜ?理由や対策を解説
地震の備えチェックリスト

上記のチェックリストを参考に、できていない項目から少しずつ備えを進めていきましょう。特に、家具の固定や感震ブレーカーの設置は、地震による被害や通電火災などの二次災害を防ぐうえで効果的な対策です。
地震の二次災害への備えチェックリスト
| 項目 | 備え |
|---|---|
| 余震 | □建物の耐震化・制震装置の設置を検討する □家具を固定し、転倒しにくい配置にする |
| 地震火災 | □感震ブレーカーを設置する □ブレーカーを落とす手順やタイミングを家族で共有する |
| 津波 | □ハザードマップで避難場所・避難経路を確認す □家族間で安否確認の方法や集合場所を共有しておく |
| 地割れ・液状化 | □ハザードマップで危険箇所を確認する □建築時に地盤調査をおこなう |
| 崖崩れ | □ハザードマップで土砂災害警戒区域を確認する □非常用持ち出し袋をすぐ持ち出せる場所に保管する |
| エコノミークラス症候群・感染症 | □こまめな水分補給ができるように飲料水を備蓄しておく □マスクや除菌グッズなどの衛生用品を非常用持ち出し袋に入れておく |
| ライフライン | □ガスの元栓を閉める手順を家族で確認しておく □飲料水を1人1日3リットルを目安に備蓄しておく |
二次災害の種類によって必要な備えは異なりますが、ハザードマップの確認や非常用持ち出し袋の準備など、基本的な対策は日頃から進めておきましょう。緊急時に慌てず行動できるように、家族全員で内容を共有しておくことがポイントです。
地震の二次災害に関するよくある質問

最後に、地震の二次災害に関するよくある質問に回答します。発生しやすい二次災害や個人での対策について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
二次災害を防ぐために個人でできることは?
地震の二次災害に備えるためには、まずハザードマップで自宅周辺の危険箇所や避難経路を確認しておくことが基本です。ハザードマップは、各自治体の公式サイトで無料で確認できるため、まだ見ていない方はぜひ一度チェックしておきましょう。
また、日頃から室内の安全対策を進めておくことも重要です。感震ブレーカーの設置や家具の固定・配置の工夫をしておくことで、火災や家具転倒による被害のリスクを減らせます。大きな地震が発生してからでは対応が間に合わない場合もあるため、日頃から備えておくことが大切です。
地震の二次災害で多いのは何?
地震の二次災害のなかで、大きな被害につながりやすいのが地震火災です。地震火災は揺れによる直接的な出火だけでなく、停電復旧後に発生する通電火災も含まれます。そのため、揺れが収まったあとも引き続き注意が必要です。
また、家具の転倒や落下物によるけがも多く、建物自体に被害がなくても、室内が散乱状態になることで避難が遅れてしまう場合があります。
余震はいつまで続く?
余震に明確な終わりはなく、数日から数カ月、場合によっては1年以上続くこともあります。特に地震発生から2〜3日は強い揺れが起きやすく、気象庁は最初の地震から1週間程度は同程度の揺れに注意するよう呼びかけています。
一度大きな揺れがあったあとも油断せず、余震が続く間は建物の安全確認や避難経路の把握を怠らないようにしましょう。余震がいつまで続くのかについては、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
【あわせて読みたい】余震はいつまで続く?過去の地震の事例や地震活動の3つのパターンも紹介
正しい知識で地震による二次災害から身を守ろう!
地震が発生した際は、揺れそのものによる被害だけでなく、そのあとに連鎖して起こる二次災害にも十分な注意が必要です。「揺れが収まったから安全」とは考えず、その後も続くリスクを意識することが身を守るうえで重要です。
通電火災やガス漏れなど、ライフラインに関わる二次災害は、正しい知識と事前の備えによって被害を軽減できる場合があります。また、家族全員が避難方法や連絡手段を共有しておくことで、緊急時でも落ち着いて行動しやすくなります。まずは、ハザードマップの確認や家具の固定、備蓄品の準備など、今できることから始めてみましょう。



