災害に備える

震度5弱はどれくらいの揺れ?過去の事例やほかの震度との違いも紹介

「震度5弱はどれくらい揺れる?」
「ほかの震度との違いを詳しく知りたい」


震度5弱の地震は、立つことが難しいほど強く揺れます。家具の転倒や物が落下することもあるため、自分や家族の命を守るためには事前の対策が重要です。

本記事では、震度5弱の地震がどれくらいの揺れを引き起こすのか、過去の事例を交えながら詳しく解説します。また、震度5弱とほかの震度の違いや個人でできる地震対策についても詳しく説明します。震度5弱の地震について詳しく知りたい方はぜひ最後までお読みください。

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目次

震度5弱の地震の大きさはどれくらい?

倒壊した家

震度5弱の地震は、多くの人が恐怖を覚える強い揺れを伴います。想定される揺れの大きさや室内・建物の被害を表でまとめました。

揺れの大きさ大半の人が恐怖を感じる
しゃがむ・物につかまりたくなる程度の揺れ
室内の被害固定されていない家具が移動する
棚の食器類や書籍が落下する
不安定なものが倒れる可能性もある
建物の被害壁に軽微なひび割れや亀裂が発生することがある
まれに窓ガラスが割れて落ちることがある

また震度5弱の地震が発生すると、ガス・電気・水道などのライフラインが停止する可能性があります。混乱が生じる可能性が高いため、命を守るためにも事前の備えが重要です。

過去に発生した震度5弱の地震

2020年以降に発生した最大震度5弱の地震について、主な震源地や被害状況を以下の表にまとめました。

発生年月日震央地名マグニチュード人的被害物的被害
令和6年4月2日岩手県沿岸北部6.0負傷者2名なし
令和6年3月15日福島県沖5.8負傷者4名なし
令和5年6月11日苫小牧沖6.2負傷者1名なし
令和3年12月3日紀伊水道5.4負傷者5名住家一部破損:2棟
令和2年12月21日青森県東方沖6.5負傷者1名なし
令和2年9月4日福井県嶺北5.0負傷者13名なし
令和2年6月25日千葉県東方沖6.1負傷者2名住家一部破損:5棟など
出典:気象庁|日本付近で発生した主な被害地震(平成8年以降)

震度5弱の地震が発生すると、負傷者や住宅の一部が破損する被害が出ていることがわかります。地震が発生したら避難のタイミングを逃さず、早めの行動を心がけてください。

震度5弱とほかの震度との違い

震度5弱とほかの震度では、揺れ方や被害の程度に違いが見られます。ここでは、震度4・震度5強・震度6弱について揺れの大きさや被害予想を詳しく解説します。

震度4

震度4の地震は、ほとんどの方が驚くほどの揺れの大きさです。吊り下げているものが大きく揺れ、座りの悪い置き物が倒れる可能性もあります。過去に発生した最大震度4の地震では数名の負傷者が出ています。揺れを感じた場合はテーブルの下など落下物の危険が少ない場所に隠れ、揺れがおさまるまで様子を見て安全を確保することが大切です。

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震度5強

震度5弱よりも1階級大きい震度5強の地震は、身の安全が脅かされる危険があります。予想される揺れの大きさ・室内や建物の被害は以下の通りです。

揺れの大きさ物につかまらないと歩くことが難しい
室内の被害棚の食器や書籍の多くが落下する
固定していない家具が倒れることがある
建物の被害補強されていないブロック塀が崩れることがある
壁などにひび割れ・亀裂が発生することがある

最大震度5強の地震は2020年から2024年11月までの間に23回発生しており、今後も発生する可能性があります。震度5弱よりも大きな被害が想定されるため、事前に地震発生時の適切な行動を考えておくことが重要です。

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震度6弱

震度5強よりもさらに大きい震度6弱では、屋内外での行動が困難になるほど強い揺れが発生します。震度6弱で予想される揺れの大きさや被害を以下の表にまとめました。

揺れの大きさ立っていることが困難になる
室内の被害固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある
ドアが開かなくなることがある
建物の被害壁などのひび割れ・亀裂が多くなる
耐震性の低い木造建物が一部破損する

震度6弱では室内の被害だけにとどまらず、耐震性の低い建物が破損する可能性も高まります。また、道路や地面に亀裂・ひび割れが生じることもあり、避難時にも注意が必要です。

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南海トラフ地震で想定される震度・津波

今後発生が予想されている南海トラフ地震について、政府の中央防災会議が被害予想を発表しています。地震の震度分布は以下の通りです。

南海トラフ地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部地域で震度7を観測する可能性があります。また、隣接する地域でも震度6弱や6強が想定されており、日本全体に大きな被害をもたらすでしょう。また、地震に伴う津波の想定は以下の通りです。

太平洋側の沿岸部では10mを超える津波の襲来が想定されている場所も多くあります。平成23年の東日本大震災では、福島県で9.3m以上の津波が到達し、甚大な被害をもたらしました。南海トラフ地震ではそれ以上の津波が想定されているため、地震発生後は速やかに避難することが大切です。

命を守るための地震対策5選

防災イメージ

地震はいつ起こるか予測できないため、日頃からしっかりと対策をしておくことが命を守るために重要です。ここでは、地震が発生した際に身を守るための基本的な対策を5つ紹介します。

どれもすぐに実践できる内容なので、チェックして準備を進めましょう。

1. 家具の置き方を工夫する

過去の地震では、多くの方が倒れてきた家具の下敷きになったことで大きな被害を受けました。震度5弱程度の地震が発生すると、家具が倒れる可能性があるので家具の置き方を工夫し、固定しておきましょう。

寝室や子ども部屋、出入口付近にはなるべく家具を置かないようにし、家具の向きや配置を工夫します。タンスや食器棚はポール式器具やL字型金具で壁に固定し、ガラスには飛散防止フィルムを貼りましょう。また、重たいものや書籍は棚の下段に配置することで、地震発生時の怪我の防止につながります。

2. 生活必需品を備蓄する

災害時に備え、日頃から食料や飲料水などを準備しておきましょう。特別なものを用意する必要はなく、普段使っている食品を多めにストックすることで無駄のない備蓄が可能です。目安として、1人1日3リットルの飲料水と非常食を最低でも3日分は準備しましょう。非常食にはアルファ米やビスケット、板チョコなどがおすすめです。

また、飲料水とは別に、生活用水としてポリタンクやお風呂に水を貯めるなどの工夫も重要です。トイレットペーパーや簡易トイレ、カセットコンロなども準備し、いざというときに備えましょう。

3. 非常用持ち出しバッグを準備する

地震や津波で自宅が被災した場合は、速やかに安全な場所へ避難しましょう。非常時に持ち出すものをリュックサックなどに詰めておくと、いつでも持ち出せます。非常用持ち出しバッグに詰めるリストは以下を参考にしてください。

災害時備えリスト

こちらのチェックリストを印刷すると便利です。ぜひご活用ください。

性別や家族構成によって必要なものは異なります。また、食品や水には賞味期限があるため、非常用持ち出しバッグの中身は定期的に確認しておくことがおすすめです。

4. 避難場所・避難経路を決める

災害時に安全に避難するためには、自宅周辺の避難場所や避難経路を確認し、家族と共有しておくことが大切です。住んでいる地域の危険性や避難場所は国土交通省のハザードマップポータルサイトから確認できます。

▼ハザードマップポータルサイト

https://disaportal.gsi.go.jp

豪雨や津波、火山噴火など、災害の種類によって安全な避難場所は異なります。特に、浸水や土砂災害のリスクがあるエリアでは、どのルートが安全かを考えておきましょう。

5. 連絡手段を家族で決める

災害時に家族が別々の場所にいる場合でも、安否を確認できるよう事前に話し合っておきましょう。集合場所や連絡方法を決めておくことで、不安を軽減できます。また、災害時には携帯電話の回線がつながりにくくなるため、以下のサービスを活用するのがおすすめです。

災害用伝言ダイヤル自分の電話番号を使って伝言を録音し、家族が再生することで確認できる
災害用伝言版携帯電話やPHSを通じてインターネット上に文字情報を登録することで、家族が確認できる

これらの使い方を確認し、いざというときにスムーズに利用できるよう準備しておきましょう。

震度5弱に関するよくある質問

ここでは、震度5弱に関するよくある質問についてまとめました。

震度5弱と5強の違いや津波の危険性について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

震度5弱と5強があるのはなぜ?

1996年3月までは震度には強・弱がなく、震度0〜震度7までの8段階でした。しかし、1994年の三陸はるか沖地震や1995年の阪神・淡路大震災で、同じ震度でも被害に差があることが判明しました。

これを受けて、震度5と震度6がより詳細に分類され、震度5弱・震度5強および、震度6弱・震度6強が新たに定められたのです。震度階級が10段階になったことにより、被害状況をより正確に把握できるようになりました。

震度5弱で津波は発生する?

震度5弱の地震で津波が発生する可能性はあります。たとえば、2016年に福島県沖で発生した震度5弱の地震では、144cmの津波を観測しました。

津波の発生源は揺れではなく、海底の地盤変動です。海底の地盤が変動すると海面の水位が上昇し、伝播することで津波が生じます。

震源地や震源の深さ、断層のタイプによって津波の高さは変わるため、震度が大きければ津波も大きくなるわけではありません。震度の大きさにかかわらず、地震が発生したら海の近くから離れて安全な場所へと避難しましょう。

震度5弱の地震発生時にとるべき行動は?

地震発生時は、身の安全を最優先に行動してください。丈夫なテーブルの下や物が落下してこない場所に隠れて、揺れがおさまるまで様子をみましょう。

揺れがおさまったら火の元を確認し、避難ができるように出入口を確保します。避難する際は門やブロック塀には近寄らず、近隣の人の安否を確認しながら複数人で行動しましょう。地震発生後は慌てず冷静に行動することが大切です。

地震への万全な備えで家族と暮らしを守ろう!

本記事では、震度5弱の地震の揺れや過去の事例について解説しました。震度5弱の地震では、揺れによって家具が移動したり物が落下したりする可能性があります。また、建物の一部やライフラインにも影響を与えます。

自分や大切な家族を守るために、家具の配置の工夫や非常用持ち出しバッグの用意など、すぐにできる備えから始めましょう。さらに、地域の避難場所を確認し、家族間での連絡方法を話し合うことも必要です。しっかりと防災対策をおこない、備えを万全にしておきましょう。