災害に備える

日本で多い自然災害の種類とは?事前にできる備え5選もわかりやすく解説

日本で発生する自然災害の中で多いのは、台風・地震・洪水・土砂災害などです。日本は地理的・気象的な条件から災害が発生しやすく、日常生活に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。そのため、自然災害の被害を減らすには、各災害への対策をしておくことが重要なポイントです。

本記事では、日本で発生件数の多い自然災害の種類をわかりやすく解説します。また、事前にできる備え5選も紹介します。自然災害への理解を深め、災害への対策を進めたい方はぜひ最後までお読みください。

目次

【一覧】自然災害の種類

自然災害とは、地震や火山の噴火、大雨など、自然の力や気象が原因で引き起こされる災害のことです。災害種別と災害種別詳細を以下の表にまとめました。

災害種別災害種別詳細
地震地震・津波・遠地津波・液状化
火山噴火・溶岩流・火砕流・泥流・降灰・噴煙・噴石・噴気・ガス・そのほかの火山活動
風水害洪水・強風・大雨・高潮・台風・竜巻・降雹
斜面災害表層崩壊・土石流・斜面崩壊・地すべり・落石・落盤
氷雪災害大雪・雪崩・融雪・着雪・吹雪・流氷
その他気象災害長雨・干害・日照不足・落雷・冷害
出典:災害種別と文献の記載例との対比表|国立研究開発法人 防災科学技術研究所

自然災害には、地震や火山、風水害などさまざまな種類があります。この中でも、特に日本で頻繁に発生し、被害が大きくなりやすい災害は後ほど詳しく解説します。

自然災害への備えが大切な理由

行政防災無線

自然災害の発生は予測が難しく、地震・台風・洪水・火山噴火などの災害は、生活に大きな被害をもたらすことも少なくありません。ここでは、自然災害への備えが大切な理由について詳しく解説します。自然災害への被害を最小限に抑えたい方は、ぜひチェックしてみてください。

理由1.日本では自然災害が多く発生しているから

日本では、自然災害が毎年多く発生しています。国土は世界の0.25%にもかかわらず、マグニチュード6以上の地震の発生回数で見ると、全体の18.5%(※)が日本に集中しています。さらに、世界に約1,500ある活火山のうち、約1割が日本に存在しており、世界有数の火山国である点が特徴です。

※2009~2018年の集計

この数字からも、日本は災害とつねに隣り合わせの国であることがわかります。個人や社会全体で防災意識を高め、事前の備えを万全にしておくことが大切です。

出典:第1節 我が国を取り巻く環境変化|国土交通省

理由2.自然災害での死者・行方不明者数が多いから

日本では、台風や地震、津波などの自然災害によって、多くの死者・行方不明者が出ています。実際に、1995年の阪神淡路大震災では6,402人、2011年の東日本大震災では22,325人が死亡・行方不明となりました。堤防整備や耐震技術の進歩はしているものの、災害は予測不能であり、普段から防災意識を高めておくことが大切です。

理由3.二次災害に対しても備えやすくなるから

自然災害に備えておくことは、二次災害から身を守るためにも必要です。二次災害とは、一時災害によって発生する二次的な災害を指します。たとえば、大きな地震の後に土砂災害や津波が発生し、家屋が倒壊するケースがあります。

この場合、最初の地震発生時に速やかに避難していれば、命を守れる可能性が高いでしょう。しかし避難が遅れると、土砂災害や津波に巻き込まれてケガや命の危険にさらされることも考えられます。自然災害は1つの出来事にとどまらず、連鎖的に被害が拡大することもあると理解しておきましょう。

【種類別】日本で発生しやすい自然災害の概要と危険性

日本は、地震・台風・豪雨・火山噴火など、さまざまな自然災害が発生しやすい国です。ここでは、代表的な自然災害の種類ごとに概要と危険性を紹介します。自然災害にはどのような種類があるのか詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.地震

地震は、日本で最も大きな被害をもたらす自然災害の一つです。地下の岩盤が周囲から押されたり引っ張られたりして、ある面を境に急激にずれることで地震が発生します。揺れの強さは、震度0から震度7までの10段階で表されます。また、大きな地震が発生した後は、震源の近くや周辺地域で余震が発生しやすい状態となるため警戒が必要です。

日本での過去最大規模の地震は2011年の東日本大震災で、マグニチュード9.0を記録しました。地震が起こると津波や建物の倒壊、火災、土砂崩れ、液状化現象など二次災害が発生する危険性もあります。

出典:地震について|気象庁

2.津波

津波は海域での大きな地震によって発生するもので、海底面の上下変動によって海水全体が動かされて、波となって周囲へ広がる現象のことです。たとえ津波の高さが0.3m程度でも、人が巻き込まれると流されてしまうほどの威力があります。津波注意報や警報が出たら、海辺から離れて高台などの安全な場所へ速やかに避難することが大切です。

2011年の東日本大震災では、宮城県や福島県を中心に巨大な津波が押し寄せ、多くの方が溺死によって命を奪われました。津波は発生から到達までが短いため、迷わず避難行動を取りましょう。

3.台風

台風とは、熱帯低気圧のうち、赤道より北で最大風速が17.2m/s以上に発達したものを指します。日本では7月から10月にかけての接近・上陸が多く、大雨や洪水、暴風などを伴い、各地に被害をもたらします。

たとえば、令和4年(2022年)の台風14号は非常に強い勢力を保ったまま鹿児島県に上陸し、その後九州を横断しました。その影響で、宮崎県では累積降水量が900ミリを超え、河川の氾濫や住家被害など深刻な被害が確認されています。

出典:大雨・台風では、どのような災害が起こるのか|首相官邸

4.洪水・高潮

洪水とは、河川の水量が異常に増え、河川敷内や外側に水があふれる現象を指します。一方で、高潮は台風などの強い低気圧の影響で波が高くなり、同時に海面の水位が上昇して浸水を引き起こす現象です。いずれも浸水による溺死や家屋の破損、船舶の衝突などの被害が出る可能性があります。

過去10年間で約97%の市町村が水害を経験しており、洪水や高潮は一部の地域に限らず全国各地で発生しています。自然条件や気象の影響を受け、被害が広範囲に及ぶこともあるので事前に対策しておくことが大切です。

出典:河川の氾濫や高潮など、水害からあなたの地域を守る、「水防」|政府広報オンライン

5.火山噴火

火山噴火は、人々の生活に大きな影響を及ぼし、命を脅かすこともある自然災害です。日本には、過去約1万年以内に噴火した火山や現在も活動が続く火山が111も存在します。火山災害の種類は、大きな噴石の飛散や火山灰による被害、火砕流などがあります。

火山の近くに住む方や登山する方は、日頃から情報をこまめに確認しておくことが重要です。気象庁でも、2007年からは火山防災情報を発表し、噴火被害の軽減に努めています。

出典:命にかかわる「火山災害」噴火警戒レベルを理解し、防災情報をチェックしましょう|政府広報オンライン

6.土砂災害

土砂災害とは、山やがけの土砂崩れや、崩れた土砂と水が混ざり流れ出すことで発生する災害を指します。大きく分類すると、土石流・地すべり・がけ崩れの3つがあり、いずれも家や道路を埋めたり、人命を奪ったりする危険があります。

発生のきっかけは大雨や雪どけ、地震、火山活動など多岐にわたり、梅雨や台風の時期はリスクが高まるため注意が必要です。

7.大雪・雪崩

大雪や雪崩は、豪雪地帯を中心に発生する冬の代表的な災害です。日本は国土の半分以上が豪雪地帯に指定されており、雪害のリスクが高いとされています。

そもそも雪崩とは、斜面上の雪や氷が肉眼で識別できる速さで一気に流れ落ちる現象のことです。急な斜面や低木林、植生が少ない場所で発生しやすく、大量の積雪に加えて短時間での降雪や気温上昇が重なると危険が高まります。雪崩は一瞬で人や建物を飲み込むため、豪雪地帯での生活や登山時には最新の雪崩情報を確認しましょう。

出典:雪崩(なだれ)は最大で時速200㎞ものスピードに!雪崩から身を守るためには?|政府広報オンライン

日本での発生件数が多い自然災害は台風

日本で発生する自然災害の中で最も件数が多いのは台風で、全体の約57.1%を占め、次いで地震や洪水が発生しています。しかし、被害額の大半は地震によるもので、全体の約8割を占めるのが特徴です。

地震は揺れによる被害だけでなく、津波や土砂災害、大雨など二次的な災害を引き起こす可能性もあります。ほかの災害と比較すると被害が広範囲に及びやすいため、特に警戒が必要です。

自然災害の発生前にできる備え5選

避難グッズ

自然災害はいつ発生するかわからないからこそ、発生前の備えが大切です。ここでは、自然災害の発生前にできる5つの備えについて、実際に大災害を経験した方の声も交えながら紹介します。

備え1.ハザードマップで災害リスクを把握する

まずは、ハザードマップを確認して自分の地域の災害リスクを把握しましょう。ハザードマップを見れば、洪水や土砂災害、津波、地震による揺れの強さなど、複数の危険性を一元的に確認できます。自宅や学校、職場など、日常的に訪れる場所のリスクも事前に調べておくことで、安全な行動を取りやすくなります。

備え2.災害時の連絡手段を家族で共有する

災害発生時に家族が別々の場所にいる可能性もあるため、連絡手段を共有しておくことが重要です。アンケートでは、以下のような声が寄せられています。

  • 家族への安否確認のための携帯電話が繋がらず困った。
  • 電話などの通信麻痺。職場や知人に連絡が取れず困りました。

このように、災害時には通信回線が混雑し、電話がつながらなくなるケースが多発します。そのため、携帯電話以外にも災害用伝言ダイヤル(171)や伝言板、SNSやメールなど複数の手段を用意しておくことが大切です。さらに、家族や親戚など大切な人の連絡先を事前に確認・共有しておけば、迅速に安否確認できます。

備え3.飲料水・食料品を備蓄する

ライフラインの停止や災害支援物資が届かなくなることを想定して、飲料水・食料品を備蓄しておきましょう。アンケートでは、以下のような声が寄せられています。

  • スーパーの食料品売り場が混んで早く買い物にいかないと食料が買えなくなるほどになるとは思ってもみなかった
  • 様々な商品が不足した状況に焦って不必要な物まで買った印象がある。

もしもの場合に備えて、最低でも3日分、できれば1週間分を目安に備蓄しましょう。水は1人1日3Lを確保し、清涼飲料水やお茶もあると安心です。食料は主食となるご飯やパン、缶詰、果物やドライフルーツなどを準備するとよいでしょう。

備え4.防災グッズを準備する

災害時にすぐ避難できるように、防災グッズを揃えておきましょう。飲料水や食料品、防災用ヘルメット、懐中電灯、携帯ラジオなど以外にも、家族構成や季節に合わせて必要なものを準備しましょう。

防災グッズはすぐに持ち出せる場所に置いておくのが理想で、非常持ち出し袋として玄関や寝室近くに備えておくと安心です。準備を整えておくことで、万が一の際に慌てずに行動できます。

備え5.家の中の安全対策をする

地震対策例

地震発生時の被害を減らすには、家の中の安全対策を徹底しましょう。家具や家電は地震の揺れで転倒や落下の危険があるため、L字金具やツッパリ棒などを使って固定します。イスやテーブルには滑り止めを設置し、移動や転倒を防ぐ工夫も効果的です。

また、家具はドアや避難経路を塞がないように家具を配置することがポイントです。日頃から環境を整えておくことが、命を守る備えにつながります。

自然災害の種類に関するよくある質問

最後に、自然災害の種類に関するよくある質問に回答します。日本で自然災害が多い理由や、人為災害との違いについて詳しく知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

日本で自然災害が多い理由とは?

日本で自然災害が多いのは、位置や地形、気象条件など自然環境の影響が大きいと考えられています。国土の多くが山地で河川も急勾配なため、大雨による洪水や土砂災害が起こりやすい点が特徴です。四季があり、春から夏は梅雨前線、夏から秋は台風が接近することも、各地で被害が発生しやすくなっている要因です。

自然災害と人為災害の違いとは?

自然災害とは、地震や津波、台風、がけ崩れ、落雷など異常な自然現象によって人命や生活に被害が及ぶものを指します。一方で、人為災害は人間の行動や社会的要因が原因で起こる災害のことです。代表例として、水質汚濁や大気汚染といった環境問題、交通事故や鉄道事故、老朽化した建物の倒壊などがあります。このように、自然現象によるものか人間の行動や管理不足によるものかが両者の大きな違いです。

子どもがいる家庭では災害への備えをどう進めればいい?

子どもがいる家庭では、大人だけでなく子ども自身も安全に行動できるよう備えておくことが重要です。まずは、家具類の固定や感震ブレーカー・消火器の設置など、家庭内の安全対策を徹底しましょう。

そのうえで、災害時にどのように身を守るのかを子どもにわかりやすく伝え、実際に行動できるようにしておくことが理想です。また、防災の日などにおこなわれる訓練やイベントに親子で参加すれば、体験を通じて防災意識を高められます。

自然災害への備えを今から始めよう!

本記事では、自然災害の種類ごとの概要と危険性について解説しました。日本は地震や台風、洪水、火山噴火など災害が発生しやすい国であり、被害を抑えるには日頃からの備えが欠かせません。

災害の種類ごとに特徴は異なるため、まずはハザードマップを確認して自分の地域にどのようなリスクがあるのか把握しましょう。そのうえで、家族での連絡手段の共有、飲料水や食料の備蓄、家具の固定など身近にできる対策を積み重ねていくことが大切です。