津波避難タワーは、各自治体が沿岸部や浸水の危険がある地域に整備している施設です。高台まで避難するのが難しい地域で命を守る役割を担い、非常食や照明などの設備が備えられているものもあります。津波避難タワーの役割や特徴を理解しておくことで、緊急時にも迷わず速やかに避難できるでしょう。
本記事では、津波避難タワーの設置場所や高さについて詳しく解説します。また、津波が来た際に取るべき3つの行動も紹介します。津波への備えを万全にできるようにぜひ最後までお読みください。
- 津波避難タワーとは?
- 津波避難タワーはどこにある?
- 津波避難タワーの高さは何メートル?
- 津波避難タワーの主な設備と工夫
- 入口の自動開錠装置
- 災害時の備蓄品入れ
- 太陽光発電付照明柱
- 津波避難タワーの注意点
- 注意点1. 収容人数に制限がある
- 注意点2. 高齢者・障がい者には利用しにくい場合がある
- 津波が来たときに取るべき3つの行動
- 1. 近くの高台に避難する
- 2. 徒歩で速やかに避難する
- 3. 注意報・警報が解除されるまでは海に近づかない
- 【今すぐできる】津波避難・日頃の備えチェックリスト
- 津波避難タワーに関するよくある質問
- 津波避難タワーは何人入る?
- 津波避難ビルとの違いは?
- 津波から命を守るために、津波避難タワーを正しく活用しよう!
津波避難タワーとは?

津波避難タワーとは、高台や浸水域外の避難所までの移動に時間がかかる地域で、一時的に避難できるよう設けられた施設です。広いスペースを持つ構造が一般的ですが、近年では自転車の利用者も避難できるように、歩道橋を兼ねたタイプも整備されつつあります。
沿岸部を中心に津波避難タワーが設置されており、地域ごとに役割を果たしています。ここでは、津波避難タワーの設置場所や高さについて詳しく見ていきましょう。
津波避難タワーはどこにある?
津波避難タワーの設置場所は、都道府県によって異なります。事前に所在地を把握しておくことで、緊急時も迷わずに避難できるでしょう。
たとえば宮城県石巻市の防災ポータルサイトでは、津波避難ビルや津波避難タワーの位置が一覧で公開されており、簡単に確認できるようになっています。このように、地域ごとに公開されている情報を活用して、自宅や通勤経路周辺の避難先をチェックしておくことが大切です。
津波避難タワーの高さは何メートル?
津波避難タワーの高さは、想定される最大浸水深に加え、余裕高として2m〜4mを上乗せして設定されています。これは、津波の規模に幅があるため、安全性を確保するための工夫です。
実際の例として、静岡県掛川市の菊浜津波避難施設は高さ10m、今沢津波避難施設は高さ12mとなっています。このように、地域ごとに想定浸水深を踏まえて、余裕を持った設計で作られています。
津波避難タワーの主な設備と工夫

津波避難タワーには、避難スペースだけでなく、非常時に役立つさまざまな設備や工夫が取り入れられています。ここでは、津波避難タワーに備えられている主な設備と工夫を紹介します。津波避難タワーについて、より詳しく知りたい方はぜひチェックしてください。
入口の自動開錠装置
津波避難タワーの入口は、緊急時にすぐ利用できるように工夫されています。一部の施設では電子ロックが設置されており、震度5以上の地震を感知すると自動的にロックが解除される仕組みになっています。
自動開錠装置が設置されているのは、普段から常に開放しておくと防犯面で問題があるためです。なお、停電やシステム不良に備え、入口付近には手動でロックを解除できるスイッチも設置されています。
災害時の備蓄品入れ
津波避難タワーには、災害時に備えて最低限の物資が整えられている場合があります。非常食や水、毛布などが備蓄されており、避難者が一定時間過ごせるように工夫されているのが特徴です。
大規模な地震や津波が発生した際には、避難してすぐに水が引くとは限らず、周囲が冠水したまま長時間孤立する可能性もあります。災害が発生する前にどのような物資が備えられているか知っておくと、いざというときに安心です。
太陽光発電付照明柱
夜間や停電時でも避難できるように、太陽光発電付きの照明柱を備えた津波避難タワーもあります。この照明は蓄電機能を持ち、スイッチを入れることで点灯できる仕組みで、最大で7日間連続点灯が可能です。
照明は暗闇の中でも避難経路を示し、安全に人々を導く設備として大きな役割を果たします。停電を伴う大規模な災害時でも利用できる点が特徴です。
津波避難タワーの注意点
津波避難タワーは、沿岸部の住民を守るために整備されていますが、注意点も存在します。ここでは、津波避難タワーの主な注意点を2つ解説します。
高台まで避難するのが難しい地域に住む方や、家族の安全対策を考えたい方は、ぜひ参考にしてください。
注意点1. 収容人数に制限がある
津波避難タワーには収容人数の上限があり、地域の人口や避難対象者数に応じて設計されています。しかし、想定以上の人が避難してくると入りきれず、避難できない人が出る可能性があります。
そのため、混雑時にどう行動するかをあらかじめ考えておくことが重要です。また、自治体の情報で収容人数を確認し、近くのタワーだけでなく複数の避難先を想定しておくと安心です。緊急時に速やかに避難できるように、日頃から避難準備を整えておくことも欠かせません。
注意点2. 高齢者・障がい者には利用しにくい場合がある
津波避難タワーは階段をのぼって上層部へ避難する構造が多く、高齢者や身体が不自由な方にとって利用が難しい場合があります。災害時には急いで避難する必要があり、体力や行動の制限が大きな負担となることも考えられます。
高齢の方や体力に不安がある方は、無理なく避難できる場所をあらかじめ把握しておくと安心です。近年では歩道橋のようにスロープを備えたタイプや、よりバリアフリー性に配慮した施設も整備されつつあります。
津波が来たときに取るべき3つの行動

津波が発生した際は、わずかな判断の遅れが命に関わります。いざというときに迷わず行動できるように、避難の基本を理解しておくことが重要です。ここでは、津波が来たときに取るべき3つの行動について解説します。
津波が来たときの避難場所や対策について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
【あわせて読みたい】津波の避難方法と対策!現在地から1番近い避難場所を調べる方法も解説
1. 近くの高台に避難する
津波の危険を感じたら、まずは迷わず近くの高台に避難することが最優先です。海沿いで揺れを感じたときは、わずかな揺れでも速やかに移動することが命を守るカギとなります。高台が近くにない場合は、できる限り海から離れることが重要です。
それも難しいときは、鉄筋コンクリートや鉄骨でできた建物の高い階へ避難し、津波から身を守りましょう。日頃から高台や避難先を確認しておくと、緊急時に迷わず行動できます。
2. 徒歩で速やかに避難する
津波で避難する際は、原則として徒歩で移動しましょう。車を利用すると渋滞に巻き込まれ、逃げ遅れる危険性が高まります。特に、沿岸部では多くの方が同時に避難するため、道路がすぐに混雑してしまいます。
また、車を使っていて津波に巻き込まれると、ドアが開かず脱出できなくなる恐れもあるので注意が必要です。車に乗っているときに大規模な地震が発生したら、路肩に車を止めて徒歩で避難しましょう。
3. 注意報・警報が解除されるまでは海に近づかない
津波が引いたように見えても安心せず、警報や注意報が解除されるまで海へ近づかないようにしましょう。津波は一度で終わるとは限らず、繰り返し襲ってくる可能性があります。
過去には、様子を見に行ったことで次の津波に巻き込まれた事例も多くあります。そのため、正しい情報を確認しながら、安全が確認されるまで避難場所で待機しましょう。避難は長時間になることもあるため、水や防寒具などの備えが役立ちます。
【今すぐできる】津波避難・日頃の備えチェックリスト
津波は発生から到達までの時間が短く、迷っている間に危険が迫ることも少なくありません。緊急時に素早く行動できるように、以下のチェックリストで自分や家族の備えを改めて確認してみましょう。
| 津波からの避難チェックリスト | |
| □ | 強い揺れ・長くゆっくりした揺れを感じたら、すぐに避難を開始する |
| □ | 津波警報や注意報を見聞きしたら、すぐに避難を開始する |
| □ | 海岸や川のそばからすぐに離れる |
| □ | とにかく高い場所を目指して避難する |
| □ | 避難する際は持ち物を最小限にする |
| □ | 警報・注意報が解除されるまで、絶対に安全な場所から動かない |
| □ | テレビ・ラジオ・防災行政無線などで正確な情報を入手する |
| 日頃からの備えチェックリスト | |
| □ | ハザードマップで自宅・勤務先周辺の浸水想定区域を確認したか |
| □ | 避難場所、避難ビル、高台の場所を複数確認したか |
| □ | 避難場所までのルートを実際に歩いて確認したか |
| □ | 地域の防災訓練に参加したか |
| □ | 家族と安否確認の方法や集合場所を決めているか |
| □ | 家具の固定やガラスの飛散防止対策は済んでいるか |
| □ | 非常用持ち出し袋を準備し、すぐに持ち出せる場所に置いているか |
チェックして終わりではなく、実際に行動に移すことが大切です。チェックがつかなかった部分は、これを機に対策を進めておきましょう。
津波避難タワーに関するよくある質問
最後に、津波避難タワーに関するよくある質問に回答します。
津波避難タワーがある場所や収容人数について、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
津波避難タワーは何人入る?
津波避難タワーの収容人数は、施設の規模や自治体の設計基準によって異なります。たとえば静岡県吉田町では、避難スペース0.5㎡を1人分として算定する方法が採用されています。この基準で、小規模なものでは数十人、大規模なものでは数百人の収容が可能です。
実際の収容人数はタワーごとに設計段階で決められており、自治体の公式サイトなどで確認できます。避難時の混乱を防ぐためにも、身近なタワーの収容人数を把握しておきましょう。
出典:道路上に設置する津波避難タワーの標準仕様設計基準|静岡県吉田町防災課
津波避難ビルとの違いは?
津波避難ビルは、津波浸水想定区域内の耐震性を備えた建物を活用し、屋上や上層階を避難場所として指定したものです。常時開放されていることや、屋上に通じる外階段があることなど、緊急時にすぐ利用できる環境が必要とされます。
一方で、津波避難タワーは近くに適切なビルがない地域に新設される施設で、鉄骨や鉄筋コンクリート造の専用構造物です。場所によっては道路上に建てられることもあり、普段は陸橋として利用されるなど、地域事情に応じて整備されるのが特徴です。
津波から命を守るために、津波避難タワーを正しく活用しよう!
津波避難タワーは、高台まで避難する時間がない地域で命を守るために整備された施設です。設置場所や高さは自治体の公式サイトで確認でき、非常食や照明などの設備が備えられているものもあります。一方で、収容人数に限りがあることや、高齢者・障がい者が利用しにくいといった課題も存在します。
津波から身を守るためには、非常用持ち出し袋の準備や家族での安否確認方法の共有など、日頃の備えも欠かせません。正しい知識と準備を整えて、津波から自分と大切な方を守りましょう。

