災害が起きたら

大雪とはどんな災害?起こりうる事故や被害、対策のポイントも詳しく解説

大雪は生活や交通を麻痺させるだけでなく、屋根の雪下ろし中の転落など、命に関わる事故を引き起こすこともあります。特に豪雪地帯では、積雪による建物の損壊や停電など、日常生活への影響も深刻です。

本記事では、大雪の仕組みや雪害と呼ばれる被害の種類をわかりやすく解説します。また、気象庁が発表する大雪に関する気象情報や、日常でできる備え・対策のポイントも紹介します。冬の災害に備えたい方や安全に過ごすための知識を身につけたい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

大雪とはどんな災害?

雪道

大雪とは、冬に日本海側を中心に発生する自然災害です。日本では12月~3月頃に冬型の気圧配置が強まると大雪になりやすく、特に日本海側では毎年のように積雪による被害が発生します。

日本では国土の半分以上が豪雪地帯に指定されており、約2,000万人がその地域に暮らしています。屋根の雪下ろし中の転落事故や、積雪による交通機能の麻痺など、命に関わる被害も少なくありません。豪雪地帯で暮らす方はもちろん、スキーやスノーボードなど冬のレジャーを楽しむ際にも、十分な装備と安全への備えが大切です。

雪害とは?大雪で起こりうる事故や被害

雪の高速道路

雪害とは、大雪によって発生するさまざまな被害のことを指します。ここでは、大雪によって起こりうる主な事故や雪害の種類について詳しく解説します。具体的にどのような事故が発生しやすいのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

1.除雪中の事故

雪による事故の中でも、最も多いのが除雪中の事故です。2023年のデータでは、雪による人的被害の約9割が雪下ろしなどの除雪作業中に発生しています。具体的には、屋根からの転落や落雪、水路への転落、除雪機の巻き込まれ事故などが代表的です。

安全に作業をするためには必ず2人以上で行動し、命綱やヘルメットを着用することが大切です。危険を感じた場合は無理をせず、専門業者への依頼も検討しましょう。

出典:雪害では、どのような災害が起こるのか|首相官邸

2.車による雪道での事故

雪道では、路面の凍結や視界不良による交通事故が多発します。特に信号交差点や橋の上、トンネルの出入り口などは滑りやすいポイントです。降雪中はライトを点灯し、スピードを控えめにして走行しましょう。

また、吹雪などで視界が悪くなった場合は無理に走行せず、安全な場所で一時休憩を取ることも大切です。道の駅やパーキングエリアなどを活用し、落ち着いて行動することが事故防止につながります。

3.歩行中の事故

積雪や凍結による転倒事故は、豪雪地帯だけでなく都市部でも多く発生しています。特に横断歩道の白線部分や坂道、バス・タクシー乗り場の周辺は滑りやすいため注意しましょう。

転倒を防ぐには、小さな歩幅で足の裏全体を地面につけるように歩くのが効果的です。また、滑りにくい靴底の靴を選ぶ、荷物は片手を空けて持つなど、ちょっとした工夫で安全性が高まります。外出時は時間に余裕を持ち、焦らずゆっくり歩くことを心がけましょう。

4.雪のレジャーでの事故

スキーやスノーボードなど、雪のレジャーでの事故も毎年多く報告されています。多くは自分の能力以上の無理な滑りをしてしまう判断ミスが原因です。出発前には気象情報や雪崩注意報を必ず確認し、危険が予想される場合は予定を変更することも選択肢の1つです。

立ち入り禁止区域には入らず、天候の急変にも対応できる装備を準備しましょう。また、単独行動を避け、仲間と連絡を取り合うことも大切です。雪山では一瞬の油断が命に関わる危険につながることを意識して行動しましょう。

5.雪崩による事故

雪崩とは、斜面に積もった雪や氷の一部が崩れ、速い速度で流れ落ちる現象です。発生件数は2月が最も多く、続いて1月と3月に集中しています。

場所によっては時速200キロメートル近いスピードに達することもあり、急な斜面や低木林、植生がまばらな場所で発生しやすい傾向があります。積雪の多い山岳地帯に入る際は、雪崩注意報や現地の最新情報を必ず確認し、危険を感じたらすぐにその場を離れましょう。

大雪に関する予報・気象情報

大雪が予想される場合、気象庁からさまざまな気象情報が発表されます。ここでは、大雪に関する主な予報・気象情報を3つ紹介します。雪が多く降る地域に住んでいる方は、ぜひ参考にして最新の情報をチェックしてみてください。

今後の雪

最新の降雪状況を確認したいときは、気象庁ホームページにある「今後の雪」が便利です。ここでは、24時間前から現在、6時間先までの雪の予報を確認できます。

積雪の深さや降雪量を道路・鉄道などの地図情報と重ねて確認できるため、外出や移動の予定を立てる際にも役立ちます。大雪が予想されるときは、事前にチェックして備えておきましょう。

3日先までの降雪量予想の提供

気象庁では、降雪が数日間続く見込みで予測精度が高い場合、「3日先までの降雪量予想」を提供しています。この情報により、地域ごとの降雪量を具体的に把握でき、除雪作業や通勤・通学などの計画を立てやすくなります。

情報はテレビやラジオ、インターネットの天気予報やニュースで確認可能です。最新の予測を上手に活用し、早めの判断と準備で大雪被害を防ぎましょう。

顕著な大雪に関する気象情報

短時間に非常に強い降雪が観測され、今後も降り続くと見込まれる場合には、気象庁が「顕著な大雪に関する気象情報」を発表します。対象地域は以下の通りです。

  • 東北地方:山形県・福島県(会津地方)
  • 北陸地方:新潟県・富山県・石川県・福井県
  • 近畿地方:滋賀県・京都府・兵庫県
  • 中国地方:鳥取県・島根県・岡山県・広島県

この情報は、通常の警報よりも一段高い警戒を促すもので、災害発生の危険性が高まっていることを示します。発表時には外出を控え、安全を確保しましょう。

大雪対策と備えのポイント

雪かき

大雪による事故や被害を防ぐためには、日ごろからの備えと適切な対策が必要です。ここでは、大雪対策と備えの4つのポイントを解説します。

1.気象情報を確認する

大雪から身を守るには、最新の気象情報をこまめに確認することが大切です。大雪注意報や警報が発表された際は、早めに対策を進めましょう。特に、降雪と同時に暴風が伴う場合は「暴風雪警報」が発令され、交通機関が麻痺するおそれもあります。

気象庁や自治体が発信する情報をこまめにチェックし、不要不急の外出は控えるのが安心です。外出予定がある場合は、早めの延期・中止も検討して安全を最優先に行動しましょう。

2.除雪・防寒グッズを準備する

大雪に備えて、除雪道具や防寒グッズを準備しておきましょう。積雪が予想されるときは、スコップや融雪剤、滑り止め用品などが役に立ちます。特に、普段雪が少ない地域では、直前になると入手困難になることもあるので、早めに用意しましょう。

また、カイロや湯たんぽ、毛布などの防寒アイテムを用意しておくと、停電時の寒さ対策に役立ちます。家族の人数や住環境に合わせて備えることで、寒さや雪の影響を最小限に抑えられます。

3.雪道運転に必要なグッズを準備する

大雪のときに車を運転する際は、事故を防ぐための準備が欠かせません。スタッドレスタイヤの装着やタイヤチェーンの携行に加え、スコップや除雪用ブラシ、スノーヘルパーなどを常備しておきましょう。

さらに、ジャッキや工具、防寒具・雨具も積んでおくと安心です。万が一、雪道で立ち往生した場合に備えて、ブランケットや飲料水、携帯食も準備しておきましょう。雪道でも安全に運転するためには、事前の車両点検に加えて装備品の確認が大切です。

4.飲料水・食料品を備蓄する

大雪によって交通が止まったり停電が起きたりすると、食料や水の確保が難しくなる場合があります。その場合でも数日間自宅で過ごせるように、飲料水や非常食をあらかじめ備蓄しておきましょう。

水は1人1日あたり3リットルとして3日分以上、食料も3日分以上が目安です。普段から多めに買い置きし、古いものから使って補充するローリングストック法なら、無理なく続けられます。カセットコンロや乾電池など、停電時にも役立つ備品も一緒に揃えておくのがおすすめです。

【あわせて読みたい】【体験者の声付き】防災グッズで本当に必要なものリスト!準備のポイントや進め方も紹介

大雪・雪害に関するよくある質問

最後に、大雪・雪害に関するよくある質問に回答します。大雪が降る原因や過去の大雪災害の事例を詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

大雪が降る原因は?

大雪が発生する主な原因は、冬に見られる西高東低の気圧配置です。このとき、日本の西側にあるシベリア高気圧と東側にある低気圧の差によって北西の季節風が強まり、日本海側に大量の雪をもたらします。

日本海上では、冷たい空気が海水面の水蒸気を含んで筋状の雲をつくり、それが山沿いや内陸部で雪や雨を降らせる仕組みです。特に強い寒気が流れ込むと、平野部でも大雪になることがあります。

過去の大雪災害の事例はある?

近年では、2018年に記録的な大雪災害が相次ぎました。1月22日〜23日には、本州南海上を進んだ低気圧の影響で首都圏を中心に大雪となり、東京では最深積雪23センチを観測しました。鉄道や道路の交通網が麻痺し、多くの帰宅困難者が出たのが特徴です。

さらに、同年2月3日〜8日にも冬型の気圧配置が続き、北陸地方で記録的な豪雪となりました。福井県では大規模な車両滞留が発生し、自衛隊が災害派遣をおこなうなど、地域社会に深刻な影響を及ぼしました。

出典:大雪について|気象庁

大雪から身を守るために、今できる対策から始めよう!

大雪は、毎年冬になると日本海側を中心に発生し、屋根の雪下ろし中の転落や交通障害など、命に関わる被害を引き起こす自然災害です。気象庁が発表する予報や警報をこまめに確認し、危険が予想されるときは早めに行動しましょう。

除雪・防寒グッズの準備や飲料水・食料品の備蓄、車の雪道対策など、日頃からできる備えが安全確保につながります。また、スキーやスノーボードなどの冬のレジャーでも、適切な装備と無理のない行動が大切です。できる対策から実践し、安心して冬を過ごせる環境を整えていきましょう。