災害の歴史

阪神・淡路大震災の震度7とは?全国各地の震度・被害の分布図や防災対策を紹介

1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生し、日本で初めて「震度7」が観測されました。

それから約30年が経ちましたが、日本各地では震度7を記録する地震が相次いでおり、いつどこで大地震が起きてもおかしくありません。

今後30年以内に高確率での発生が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震に備えるには、過去の教訓から学び、防災対策を見直すことが重要です。

本記事では、阪神・淡路大震災の概要や震度・被害の分布図、震度7がもたらす衝撃と影響をわかりやすく解説します。また、家庭・企業それぞれで取り組むべき防災対策や最新技術を活用した減災の取り組みも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

阪神・淡路大震災はいつ(何年前)の地震?

阪神淡路大震災の被災地

阪神・淡路大震災の記憶は、風化することなく、今もなお多くの人々の心に残り続けています。

この震災はいつ発生し、どのような規模だったのでしょうか。ここでは、阪神・淡路大震災の発生日時や震源地、被害の規模について、当時の状況を振り返りながら詳しく解説します。

阪神淡路大震災は1995年1月17日午前5時46分に発生

阪神・淡路大震災は、1995年1月17日午前5時46分に発生した地震で、発生から約30年が経過しました

多くの人が就寝中の早朝に発生したため、被害の拡大につながったとされています。

実際に、各地で震度6や震度5が観測され、広範囲にわたって大きな被害が生じています。

阪神・淡路大震災は未曾有の被害をもたらし、その後の災害対策や復興支援のあり方に大きな影響を与えたのです。

阪神淡路大震災の規模と震源地

阪神・淡路大震災はマグニチュード7.3の大規模地震で、震源地は淡路島北部(深さ16km)でした

淡路島北部の野島断層には新たな断層のずれも確認され、被害の深刻さを示しています。震災の規模の大きさを受け、気象庁は「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」と命名し、政府は「阪神・淡路大震災」と正式に呼称しました

日本の災害史においても阪神・淡路大震災は、規模・被害ともに、特に甚大な地震として記録されています。

阪神・淡路大震災による全国各地の震度と被害一覧

阪神・淡路大震災では、震源に近い神戸市や淡路島北部を中心に、関西一帯で非常に強い揺れが観測されました。震度7を記録した地域をはじめ、震度6や5の揺れは広範囲に及び、被害の大きさとその広がりが災害の深刻さを物語っています。

ここでは、震度ごとの分布と被害状況について詳しく解説し、震災が全国にもたらした影響を振り返りましょう。

震度7が観測された地域|神戸市・淡路島

阪神・淡路大震災では、神戸市や淡路島北部の一部地域で震度7が観測されています。具体的に震度7に該当するのは、以下の地域です。

  • 神戸市三宮、淡路島北淡町で震度7を確認
  • 神戸市須磨区から西宮市・宝塚市まで東西に帯状で震度7が分布

この現地調査のデータは、後に震度階級が改正される際の重要な資料として活用され、日本の防災対策に大きな影響を与えました。

震度6強・震度6弱の地域|大阪・兵庫の一部

阪神・淡路大震災では、神戸市と洲本市で震度6が観測され、甚大な被害が発生しました。当時の観測体制では震度6が最大とされており、地震の激しさと影響の大きさを物語っています。

観測結果からも、震源に近い大阪・兵庫の一部地域でいかに強い揺れがあったかがわかります。

震度5強・震度5弱の地域|京都・奈良・岡山

阪神・淡路大震災では、京都・奈良・岡山を含む広い地域で震度5前後の揺れが観測されました

実際に、震度5が観測された地域は近畿を中心に広がり、震度4に至っては関西・中部地方を越えて各地で記録されました。

具体的な観測結果は、以下の通りです。

震度地域
震度5を観測した地域豊岡、彦根、京都
震度4を観測した地域奈良、岡山、大阪、和歌山、福井、岐阜など

阪神・淡路大震災は、東北南部から九州まで揺れが感じられた広域災害であり、日本各地に大きな衝撃を与えました。

阪神淡路大震災における震度7の衝撃・影響と被害状況

阪神淡路大震災の被災地

阪神・淡路大震災は、震源地周辺にとどまらず、全国各地に広く影響を及ぼした大規模災害です。

ここでは、震度ごとにどの地域でどれほどの被害が出たのかを、調査データに基づいてわかりやすく解説します。被害の全体像を把握し、今後の防災に活かすための第一歩として、ぜひ確認してみましょう。

震度7の揺れはどれほどの衝撃なのか?

震度7の揺れは、震度階級の中で最も強い揺れであり、人の行動・建物・地盤・ライフライン・大規模施設にまで甚大な影響を与えるのが特徴です

かつては、体感で震度を判断していましたが、1996年以降は「計測震度計」によって自動観測しています。

以下は、震度7による影響を分野ごとに示したものです。

人・建物・地盤への影響・固定していない家具の多くが倒れる・飛ぶ
・耐震性が低い木造住宅の多くが傾く・倒壊する
・耐震性の低い鉄筋コンクリート造の柱が崩れ、倒壊する
・地割れ・液状化・がけ崩れ・山体崩壊などの地盤災害が広範囲で発生する
ライフライン・インフラへの影響・ガス・水道・電気が広範囲で停止する
・鉄道・高速道路が通行規制がある・運転が見合わせになる
・通信障害が発生し、電話・ネットがつながりにくくなる
・エレベーターが自動停止し、安全確認後でなければ再稼働不可になる
大規模施設への影響・長周期地震動により超高層ビル内で大きな揺れが発生する
・石油タンクがスロッシングを起こし、溢れや火災のリスクが高まる
・体育館などの大空間施設で天井が破損・脱落する

震度7の揺れは、生活や命に直結する重大な被害をもたらします。適切な知識を持ち、被害を最小限にする備えが重要です。

建物倒壊と火災の発生

阪神・淡路大震災では、建物倒壊と火災によって甚大な被害が発生し、暮らしの基盤が大きく損なわれました

震度7の強烈な揺れにより耐震性の低い建物が倒壊し、ガス漏れや電線のショートによる火災を引き起こしました。

具体的な被害は、以下の通りです。

  • 木造家屋が密集する地域で倒壊が相次ぎ、大規模な火災が発生した
  • 特に1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物は、倒壊率が高かった
  • 住家の被害は、全壊104,906棟・半壊144,274棟・一部破壊390,506棟にのぼった

被害を最小限に抑えるためには、耐震補強や火災対策を進め、日頃からの備えを徹底することが重要です。

阪神高速道路の崩壊

阪神・淡路大震災では、阪神高速道路の崩壊により都市機能が麻痺し、甚大な被害が発生しました

震度7の揺れで、高速道路をはじめとしたインフラが耐えられなかったためです。

具体的な被害は、以下の通りです。

  • 阪神高速3号神戸線の高架が倒壊し、神戸市内では道路が横倒しになった
  • 多くの車両が巻き込まれ、交通機能が完全に停止した
  • 鉄道・電気・ガス・水道などのライフラインも寸断され、都市機能が麻痺した

交通インフラの崩壊は、救助や復旧活動の妨げにもなり、大規模災害においてインフラの耐震化の重要性が強く認識されました。

死者6,434人・負傷者多数

阪神・淡路大震災では、死者と負傷者が戦後最大級の人的被害が発生しました

多くの人が倒壊した家屋の下敷きになり、圧死や窒息死に至ったことが主な死因とされます。具体的な数字は、以下の通りです。

  • 死者:6,434人
  • 負傷者:43,792人(うち重傷10,683人、軽傷33,109人)

甚大な被害により、防災体制の見直しや初動対応の重要性が改めて浮き彫りになりました。

阪神淡路大震災とほかの大震災との震度の違い

東日本大震災の被災地

阪神・淡路大震災は、日本の地震災害の歴史の中でも甚大な被害をもたらした直下型地震として知られています。日本ではその後も、東日本大震災や熊本地震、能登半島地震など、震度7を観測する大規模地震が発生しました

以下の表は、1995年以降に発生した震度6以上の大きい地震における震度・規模をまとめたものです。

地震名発生日時震度マグニチュード
阪神・淡路大震災1995年1月17日震度7M7.3
新潟県中越地震2004年10月23日震度7M6.8
新潟県中越沖地震2007年7月16日震度6強M6.8
東日本大震災2011年3月11日震度7M9.0
熊本地震(本震)2016年4月16日震度7M7.3
大阪北部地震2018年6月18日震度6弱M6.1
北海道胆振東部地震2018年9月6日震度7M6.3
福島県沖地震2021年2月13日震度6強M7.3
福島県沖地震2022年3月16日震度6強M7.4
能登半島地震2024年1月1日震度7M7.6
出典:気象庁|日本付近で発生した主な被害地震(平成8年以降)

ここでは、阪神・淡路大震災とほかの主な大震災との違いを比較し、被害の傾向や防災への学びについて確認していきましょう。

東日本大震災(2011年)との震度の比較

阪神・淡路大震災と東日本大震災では、地震の規模や震度の分布に大きな違いが見られます。

項目阪神・淡路大震災東日本大震災
発生日時1995年1月17日 5:462011年3月11日 14:46
最大震度震度7
(兵庫県神戸市・淡路島)
震度7
(宮城県)
震度6弱以上を観測した県数1県
(兵庫)
8県
(宮城、福島、茨城など)
マグニチュード7.39.0
(日本観測史上最大)
地震型直下型海溝型
(プレート沈み込み帯)
被災地の特徴都市部中心農林水産地域中心
(沿岸部)
津波数cmの津波
(被害なし)
最大9.3m以上の大津波
(甚大な被害)
死者数6,434名19,729名
(災害関連死を含む)
行方不明者数3名8,499名
住家全壊数104,906棟121,996棟
災害救助法の適用範囲25市町
(2府県)
241市区町村
(10都県)
※具体的な情報は資料によって異なります
出典:復興庁|被害状況の阪神・淡路大震災との比較

阪神・淡路大震災は都市部を直撃し、局地的に甚大な被害をもたらしたのに対し、東日本大震災は広範囲に影響を与え、津波による被害が甚大だったのが特徴です

熊本地震(2016年)との比較

熊本地震(2016年)と阪神・淡路大震災(1995年)はともに震度7を観測した直下型地震ですが、その被害規模や影響には明確な違いがあります。

両地震は震源の深さやマグニチュード、発生地域の人口密度の違いにより、住家被害や人的被害に大きな差が生じました

項目阪神・淡路大震災熊本地震
発生日時1995年1月17日 5:462016年4月16日1:25
最大震度震度7
(兵庫県神戸市・淡路島)
震度7
(熊本県)
震度6弱以上を観測した県数1県
(兵庫)
2県
(熊本県、大分県)
マグニチュード7.37.3
地震型直下型海溝型
(プレート沈み込み帯)
被災地の特徴都市部中心農林水産地域中心
(沿岸部)
死者数6,434名139人
住家全壊数104,906棟8,298棟
※具体的な情報は資料によって異なります
出典:総務省消防庁|平成28年版 消防白書

熊本地震は被害規模が比較的小さく済みましたが、阪神・淡路大震災では多数の死者と広範な建物被害が発生しました。この違いは、防災対策や都市構造、震源の位置に大きく左右されたといえるでしょう。

日本国内で発生した震度7の地震

熊本地震(2016年)・東日本大震災・阪神淡路大震災を除き、2006年以降に日本付近で発生した震度7以上の主な地震は以下の通りです。

項目新潟県中越地震北海道胆振東部地震能登半島地震
発生日時2004年10月23日2018年9月6日2024年1月1日
最大震度震度7
(新潟県)
震度7
(北海道)
震度7
(石川県)
マグニチュード6.86.77.6
地震型大陸プレート内地震逆断層型地震プレート内地震
(逆断層型)
被災地の特徴山間部で地すべりが多発し、集落が孤立豪雪地帯での被災厚真町で大規模な土砂崩れが発生し、広範囲で停電(ブラックアウト)が発生半島部でアクセス困難、高齢化率が高く孤立集落多数
死者数68人43人592人
行方不明者数30人
(2024年6月25日時点)
住家全壊数3,175棟 469棟6,461棟
出典:気象庁|日本付近で発生した主な被害地震(平成28年以降)

震度7の地震は特定の時期に集中しておらず、それぞれ地震のタイプや被災地の特性が異なります。特に、地形や高齢化率などの地域の社会的・地理的条件が被害の拡大に大きく影響しており、地震発生時の備えとして重要なポイントになっています。

地震の教訓と防災対策

建物や住宅の調査や診断のイメージ

阪神・淡路大震災をはじめとする数々の大地震は、多くの命と財産を奪い、貴重な教訓を残しました。過去の経験を活かし、現在では建物の耐震化をはじめ、国や自治体、企業の連携による防災対策の強化が進められています。

ここでは、過去の震災から学んだ教訓と、それを踏まえた具体的な防災対策の取り組みについて詳しく見ていきましょう。

耐震基準の改正(2000年改正建築基準法)

2000年に建築基準法が改正され、建物の耐震性が大きく強化されました。この改正は、過去の大規模地震の被害を教訓に、より安全な都市を実現するための重要な対策です

阪神・淡路大震災では、1981年以前の「旧耐震基準」で建てられた建物の多くが倒壊し、多数の死者を出しました。被害により、建物の耐震性能を高める必要性が明らかとなり、2000年に「2000年基準」と呼ばれる新たな耐震基準が導入されたのです。

2000年の改正では、木造住宅に関して、壁の配置バランスや接合部の補強が義務づけられ、地盤調査も必要になりました。また、熊本地震(2016年)では、2000年以前の新耐震基準で建てられた木造住宅でも一部倒壊が発生したため、さらなる耐震化の重要性が浮き彫りになっています。

地震から命を守るためには、建物の耐震性向上が重要です。今後も「2000年基準」を踏まえた耐震診断や耐震改修を進め、より強固な都市づくりが求められるでしょう。

既存建物の耐震診断・補強

1981年以前に建築された住宅は耐震性能が不足しており、専門家による耐震診断と補強工事が重要です。

阪神・淡路大震災では、犠牲者の約8割が建物の倒壊によって圧死しており、旧耐震基準の建物の危険性が明らかになりました。古い木造住宅は耐震性に問題があるケースが多く、地震による倒壊リスクが高まる恐れがあります。

そのため、国や自治体は耐震診断や補強工事に対する補助制度を設け、支援体制の強化が必要です。たとえば横浜市では、耐震診断士の無料派遣や耐震改修補助が受けられます。

支援を活用し住まいの安全性を高め、安心して暮らせる環境づくりにつなげましょう。

企業やインフラ施設の耐震化と災害対策

地震が発生しても業務を継続できる体制を整え、地域の人々の暮らしを守るためには、企業やインフラ施設における耐震化や災害対策が重要です。

地震によって建物や設備が損壊・停止すると、企業活動が滞るだけでなく、生活インフラも大きな影響を受けます

実際に過去の大規模地震では、古い橋や道路の崩壊、電力や通信の長期停止などの被害が生じました。また、工場においてはガス管の破損によって生産ラインが停止し、多大な経済的損失が発生した事例もあります。

そのため、近年は耐震補強や災害時の業務継続計画(BCP)の策定に取り組む企業が増えています。企業やインフラ施設が地震への備えの強化は、災害による損害を最小限に抑え、迅速な復旧と安定した社会機能の維持につながるでしょう。

【シチュエーション別】地震発生時に取るべき行動

地震はいつどこで起こるかわからず、発生時の状況によって身の安全を確保する行動も異なります。自宅や職場、買い物中、旅行中など、それぞれの場面で適切に対応できるかどうかが重要です。

ここでは、シチュエーション別に地震発生時に取るべき行動をわかりやすく紹介します。

いざというときに慌てず行動できるよう、日頃から確認しておきましょう。

自宅にいるとき

自宅で地震を感じたら、家具や窓から離れ、身の安全を最優先に守る行動をしましょう。

地震発生時は、「安全な場所へ移動」「避難経路の確保」「火の元への対応」の3点を意識した、落ち着いた行動が重要です

具体的には、以下の行動を意識しましょう。



部屋にいるとき
  • 家具や窓から離れ、落下・転倒物のない場所に移動する
  • 机やテーブルの下にもぐり、脚をしっかり握って揺れが収まるのを待つ


玄関に避難できるとき
  • ドアを開けて避難路を確保する


トイレ・風呂場にいるとき
  • まずドアを開け、避難経路を確保する
  • 姿勢を低くし、風呂のフタなどで頭を保護する


キッチンにいるとき
  • 火元の近くなら火を消してテーブル下へ避難する
  • 火元から離れているときは、火の始末は後回しにして自分の避難を優先する


就寝中に揺れを感じたとき
  • 布団にもぐって頭と体を守る
  • ベッドの下にスペースがある場合は、下にもぐって避難する

震度5以上の揺れを感知すると、安全装置が作動し、ガスメーターが自動で止まります。め、焦らず冷静に行動しましょう。

スーパー・お店の中にいるとき

お店の中で地震を感じたら、転倒や落下の危険が少ない場所に移動し、頭を守りながら身の安全の確保が重要です

店内には商品棚やショーケース、照明など、揺れによって倒れたり落ちたりするものが多くあります。巻き込まれると大けがにつながる恐れがあるため、危険から身を遠ざけましょう。

安全を確保するために意識したいのは、次の通りです。

  • 商品棚やショーケース、ガラス窓から離れる
  • エレベーターホールや階段付近、柱のそばなど、比較的安全な場所に移動する
  • しゃがんで姿勢を低く保ち、カバンや衣類で頭を守る
  • 揺れが収まるまでその場で待機する
  • 店員や係員から指示があった場合は、その指示に従う

店内では、「危険な物から離れる」「安全な場所に移動する」「頭を守る」を意識したうえで落ち着いた行動をして、自分の身を守りましょう

海・山にいるとき

山や海で地震に遭遇した際は、周囲の危険性への正しい判断と迅速な行動が命を守ることにつながります。山や崖の近くでは、地震の揺れによって落石やがけ崩れが発生する危険があります。

状況ごとに、次の行動を取りましょう。

状況行動
山やがけの近くにいる場合落石や土砂崩れの恐れがあるため、ただちに離れて安全な場所に避難する
海の近くにいる場合波の危険があるため、揺れを感じたら迷わず高台や内陸へ避難する

海辺では津波のリスクが高まり、少しの遅れが致命的な結果を招く場合もあります。地震を感じたら、命を守るために、その場の状況に応じて即座に安全な場所へ避難しましょう。

住宅地・オフィス街にいるとき

住宅街やビル街で地震が起きたら、落下物や倒壊に巻き込まれないよう、周囲の危険を避けて安全を確保しましょう

住宅地ではブロック塀や電柱、自動販売機などが転倒する可能性があり、オフィス街ではビルの外壁や窓ガラス、看板が落下する危険性があります。

周囲の状況を見て、以下のような行動を心がけましょう。

場所具体的行動
住宅地ブロック塀や建物から離れ、頭部をカバンや上着で保護しつつ、低い姿勢で安全を確保する
オフィス街外壁やガラスの落下に注意しつつ、建物から離れるか、安全な建物内で揺れが収まるのを待つ

住宅地やオフィス街では、地震による周囲の被害がさまざまです。瞬時に危険を察知し、身を守る行動を取ることが、自身の安全につながります。

震度7の地震に備えるためにできること

防災用品と家族

震度7クラスの地震は、私たちの暮らしを一瞬で脅かす強烈な自然災害です。日頃からの備えが命を守り、被害を最小限に抑える力になります。

ここでは、震度7の地震に備えるために私たちが今から実践できる防災対策について、家庭・企業・最新技術の3つの観点から具体的に解説します。

家庭での耐震対策

震度7のような大きな地震に備えるには、日頃から家庭内での耐震対策の徹底が重要です

突然の揺れに対応するには、事前の準備が命を守る行動につながります。

具体的には、以下の通りです。

  • 家具はL字金具などでしっかり壁に固定する
  • ガラス部分には飛散防止フィルムを貼る
  • 耐震マットで家具のズレを防ぐ
  • 非常用持ち出し袋を用意し、3日分の水・食料・救急用品・懐中電灯・電池・携帯トイレを備える
  • 屋内外の避難経路や安全な場所を日頃から確認しておく
  • 緊急地震速報を活用し、身の安全を確保する訓練に参加する

地震の揺れは予告なしにやってきます。万が一の際に備え、家庭での備えを怠らず、いざというときに落ち着いた行動ができるように環境を整えておきましょう。

企業・公共施設の防災対策

震度7の大地震から従業員の命と事業を守るためには、「防災対策」「事業継続対策」の両面から備えを徹底することが重要です

南海トラフ地震や首都直下地震は、今後30年以内に70%以上の確率で発生すると予測されており切迫性が高まってきています。

過去の大地震では、地震による建物の倒壊や火災だけでなく、サプライチェーンの途絶が全国的に事業中断を引き起こしました。被害を最小限に抑えるためには、事前の備えが事業継続に重要です。

具体的には、以下の通りです。

対策具体的対策
防災対策(ヒト・モノの安全確保)・事業所の耐震化
・オフィス家具・機器の転倒防止
・避難経路の確保・救命救助体制の整備
・従業員の安否確認体制の構築
・食料・医薬品・トイレなど非常用物資の備蓄
・出火・浸水など二次災害防止のための設備整備
・防災訓練や教育の定期的な実施
事業継続対策(BCP・供給継続の準備)・自社内または他社での代替生産拠点の確保
・仕入先の複数化や代替調達ルートの確保
・同業他社との相互支援協定の締結(人員・設備・資材の融通)
・無線LANや衛星電話などの通信手段の多重化
・業務データのバックアップ・非常用電源の整備
・災害保険加入や資金確保(資金調達枠の設定)

震度7の大地震に備えた事前対策は、企業や施設の責任ある経営行動です。「人命を守り、事業を守る」ために、今すぐ防災と事業継続に向けた備えを進めましょう

最新技術を活用した防災

災害への備えとして、AI技術の活用が防災・減災を大きく進化させる手段として期待されています。

災害が多発する一方で、日本では少子高齢化による人手不足が進んでおり、人間の限界を補う手段が必要とされています。AIやIoT、SNSなどのICT技術の防災活用が国の政策により推進され、被害軽減や早期復旧に役立つ技術開発が進行中です。

たとえば、以下のようなAI技術が研究開発されています。

種類具体的内容
AI防災チャットボット災害時、AIがSNS上で自動的に被災者と対話し、避難情報を提供
被災状況もAIが収集・分析
衛星画像AI解析システムAIが災害時に衛星画像を解析し、被災範囲を即時に把握
避難判断・誘導支援システムAIが市町村長の避難指示・勧告判断に必要なデータを抽出し、地区単位でリスク指標を表示

今後も引き続き研究開発と社会実装が進められ、南海トラフ地震などの災害に備え、被害軽減と早期復旧の実現が期待されています。

過去の震災を教訓に、今できる備えをしよう

阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など、日本はこれまで幾度となく大規模地震に見舞われ、そのたびに多くの命や暮らしが失われてきました。

震度7の激震を発生させた都市部直下型の阪神・淡路大震災は、建物倒壊や火災による甚大な被害をもたらしました。震災が残した教訓は「いつ、どこで地震が起きてもおかしくない」という現実と、事前の備えの重要性です。

被害を最小限に抑えるためには、家庭では耐震対策と非常用物資の備え、企業では防災・BCPの体制強化が求められます。AIやICT技術を活用した防災の高度化も進められており、人的被害や経済損失の軽減、早期復旧への貢献が期待されています。

南海トラフ地震や首都直下地震が迫る今こそ、過去の震災を教訓に、私たち一人ひとりが「今できる備え」を行動に移すことが大切です。命を守り、地域を守り、未来を守るために、日頃の防災意識を高めていきましょう。