棚の転倒防止対策は、地震の揺れによる棚の転倒や中身の落下を防ぎ、けがや室内被害を減らすために欠かせません。特に背の高い棚は危険性が高く、固定金具や突っ張り棒で対策することで安全性が向上します。
特に固定力が高いグッズとして挙げられるのがL字金具で、持ち家や戸建ての方におすすめです。賃貸住宅では、突っ張り棒や耐震マットを使うことで、穴を開けずに対策ができます。
この記事では、棚の転倒防止対策について解説し、おすすめのグッズや設置時のポイントも紹介します。この記事を読めば、自宅でできる転倒防止対策や必要なグッズがわかり、準備をはじめられるでしょう。棚の転倒防止対策について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
- 棚の転倒防止対策が必要な理由
- 理由1. 地震による強い揺れから身を守るため
- 理由2. 避難経路を確保するため
- 失敗しない!棚の転倒防止対策の3つのコツ
- コツ1. 重いものは下段に入れて重心を下げる
- コツ2. 天井や壁の強度(下地)を確認する
- コツ3. 複数のグッズを組み合わせて耐震性を高める
- 【持ち家・戸建て】壁に穴を開けて棚を固定する方法
- L字金具|壁と棚をネジで直接固定する
- ベルト|揺れを吸収しながら固定する
- 【賃貸】壁に穴を開けずに棚を固定する方法
- 突っ張り棒|天井と棚を面で固定する
- 耐震マット|棚の底面に貼って揺れを抑える
- 粘着式ベルト・L字器具|壁を傷つけずに貼って支える
- 【家具別】食器棚・本棚などの転倒防止対策のポイント
- 食器棚|扉ロックやフィルムで中身を守る
- 本棚|L字金具や突っ張り棒で上部を固定する
- 冷蔵庫・テレビ|耐震ベルトや耐震マットを活用する
- 棚の転倒防止グッズはどこで売ってる?
- 1. 100円ショップ(100均)
- 2. ホームセンター
- 3. ネット通販
- 棚の転倒防止と一緒に見直したい防災対策3選
- 対策1. 避難経路を確保する
- 対策2. 非常用持ち出し袋と備蓄品を準備する
- 対策3. 感震ブレーカーで通電火災に備える
- 棚の転倒防止に関するよくある質問
- 転倒防止対策が必要な棚の高さの基準は?
- 背板がないスチールラックの固定方法は?
- 棚の転倒防止対策をして災害に備えよう
棚の転倒防止対策が必要な理由

地震が発生した際、家具の転倒は命に関わる重大な事故につながる恐れがあります。ここでは、棚の転倒防止対策が求められる具体的な理由を解説します。
理由1. 地震による強い揺れから身を守るため
地震による強い揺れから身を守るためには、棚の転倒防止対策が欠かせません。
地震発生時、固定されていない家具は、場合によっては凶器となり得ます。過去の大地震では、負傷者の多くが家具の転倒や落下物によってけがをしました。
特に背の高い棚や重量のある家具が倒れると、下敷きになって命に関わる重大な事故につながるリスクが高まります。また、棚の中身が飛び出し、頭部に当たって大けがにつながるケースも少なくありません。
こうした被害を防ぐには、事前の対策が必要です。寝室や子ども部屋など、長時間過ごす場所にある家具は優先的に固定しましょう。家具が倒れてこない環境をつくることが、命を守ることにつながります。
理由2. 避難経路を確保するため
棚の固定は、避難経路の確保にもつながります。家具が倒れると、ドアや廊下をふさぎ、外への避難経路を断たれる恐れがあるためです。
特にマンションの玄関付近や廊下に背の高い棚を置いている場合、転倒によって避難ができなくなるでしょう。部屋の中に閉じ込められると、火災や建物の倒壊に巻き込まれるリスクが高まります。
ほかにも、床に散乱した本や食器が移動の妨げになる場合も多いです。迅速に避難するためには、通路となる場所に家具を置かない工夫や、転倒しても通路をふさがない配置が求められます。普段から避難経路を意識したレイアウトを心がけましょう。
失敗しない!棚の転倒防止対策の3つのコツ
効果的な転倒防止対策には、以下3つのポイントがあります。
単に器具を取りつけるだけでなく、家具の配置や固定場所の選定も考慮が必要です。ここでは、失敗しないための3つのコツを紹介します。
コツ1. 重いものは下段に入れて重心を下げる
棚の安定性を高めるには、重心を低く保つと効果的です。本棚や食器棚にものを収納する際は、重いものを下段に、軽いものを上段に配置しましょう。重心が下がると、地震の揺れに対して安定しやすくなり、転倒する可能性を低減できます。
たとえば、辞書やアルバム、陶器の食器などは下の棚に収納するのがおすすめです。一方で、ぬいぐるみやタオルなどの軽いものは上の棚にまとめるとよいでしょう。
収納場所を入れ替えるだけの簡単な作業ですが、得られるメリットは大きいです。まずは収納の見直しからはじめましょう。
コツ2. 天井や壁の強度(下地)を確認する
転倒防止グッズの効果を最大限に発揮させるには、取りつけ場所に十分な強度が必要です。
壁に固定する場合、石膏ボードの裏にある「下地(間柱)」と呼ばれる木製の柱にネジを打ち込む必要があります。下地のない空洞部分に固定すると、強い揺れでネジが抜け落ち、棚が倒れてしまう恐れがあるからです。
下地の確認方法は、以下の通りです。
- 下地センサーを使って柱を探す
- 壁をノックして音の違いを聞く
- 細い針などを使って手応えを確認する(壁材を傷つけないよう注意)
- 管理会社や施工会社に問い合わせる
確実に固定するために、設置前に必ず壁の構造を確認しましょう。下地が見つからない場合は、石膏ボード用のアンカー(小物・家電をしっかり固定するための専用部品)を使用するか、壁に穴を開けない突っ張り棒などを併用する方法がおすすめです。
コツ3. 複数のグッズを組み合わせて耐震性を高める
1つの対策だけに頼るのではなく、複数の転倒防止グッズを組み合わせたほうが効果的です。異なる種類のグッズを併用すると、それぞれの弱点を補い合い、より強く固定できます。
たとえば棚の上部を突っ張り棒で固定し、さらに足元に耐震マットを敷くと、上下から揺れを抑えられます。
特に背の高い家具は、揺れ幅が大きくなるため、念入りな対策が必要です。天井側と床側の両方に対策を施し、縦揺れと横揺れの双方に対応できるようにしましょう。
【持ち家・戸建て】壁に穴を開けて棚を固定する方法

持ち家や戸建てに住んでいて、壁への穴開けが可能な場合は、より強固な固定方法を選択できます。金具やベルトを使って、確実に棚を固定する手順を解説します。
L字金具|壁と棚をネジで直接固定する
L字金具は、転倒防止対策の中でも特に高い固定力を発揮する方法の1つです。金属製の金具を使い、棚と壁の下地をネジで直接固定します。正しく施工すれば、非常に強い揺れに対しても高い固定力を発揮するため、大型の本棚やタンスの固定に適しています。
取りつけには電動ドライバーや下地センサーが必要です。まず壁の下地を探し出し、棚の天板と壁をL字金具で連結します。このとき、L字金具の向きに注意し、メーカーの指示に従って強度が最も出る方向に取りつけましょう。
設置に手間はかかりますが、家族の安全を確保するために最も推奨される方法です。
ベルト|揺れを吸収しながら固定する
壁にネジ止めした金具と家具を、ベルトで連結する方法もあります。L字金具での固定が難しい場合や、家具を少し動かして掃除したいときなどに便利な対策です。ベルトには適度な遊びがあるため、地震の衝撃を分散し、急激な力を和らげる効果も期待できます。
設置方法は、まず下地センサーで壁の間柱を探し、金具をネジで固定します。次に家具側の取っ手や固定穴と壁の金具にベルトを通し、たるみがないように張って連結すれば完了です。
設置する際は、ベルトの素材やバックルの強度が十分かどうかも確認が必要です。定期的に劣化がないか点検し、古くなったベルトは早めに交換しましょう。
【賃貸】壁に穴を開けずに棚を固定する方法

賃貸住宅では、退去時の原状回復が求められることが多いため、壁に大きな穴を開けるのは難しいケースが多いです。しかし、突っ張り棒や耐震マットなど、壁を傷つけずに棚を固定できるグッズもあります。
ここでは、壁を傷つけずに実践できる効果的な固定方法を紹介します。
突っ張り棒|天井と棚を面で固定する
突っ張り棒は、棚の天板と天井の間に入れて適切な圧力をかけることで、転倒を防ぐアイテムです。壁や天井を傷つけずに設置できるため、賃貸物件での対策として広く利用されています。H型構造のものや、接地面が広いタイプを選ぶと、より高い安定性が期待できます。
設置するときは、梁の下など天井に十分な強度がある場所を選びましょう。天井の強度が不足していると、突っ張り棒の圧力によって天井材が変形し、十分な固定効果が得られない恐れがあります。また、定期的に調整ネジの緩みを確認し、必要に応じて締め直すといったメンテナンスも必要です。
耐震マット|棚の底面に貼って揺れを抑える
耐震マットは、粘着性のある素材で棚の底面と床を密着させ、揺れによる移動や転倒を防ぐグッズです。棚を持ち上げて底面に敷くだけなので、比較的簡単に設置できます。透明なタイプを選べば、インテリアの邪魔にもなりません。
使用の際は、フローリングなどの平滑な床面で使用し、ホコリや汚れを拭き取ってから貼りつけます。
設置が簡単で道具が不要な点や、壁や家具を傷つけない点が大きなメリットです。製品によっては水洗いで粘着力が復活したり、振動や騒音の軽減に役立ったりするものもあります。
ただし、畳やカーペットの上では効果が発揮されにくい点に注意が必要です。重量のある家具に使用する場合は、耐荷重の大きい製品を選びましょう。
粘着式ベルト・L字器具|壁を傷つけずに貼って支える
強力な粘着テープを使用して、壁と家具を固定するタイプの転倒防止器具も販売されています。壁紙を傷めずに剥がせる特殊な粘着材を使用している製品が多く、賃貸住宅でも導入しやすい対策です。ゴムベルトが揺れの衝撃を和らげるタイプもあり、壁への負担を軽減できます。
取りつけ面が汚れていると粘着力が低下するため、事前に壁と家具の汚れをきれいに拭き取るのがポイントです。また、凹凸のある壁紙や土壁には使用できない場合があります。製品の対応する壁材・床材をよく確認してから購入しましょう。
【家具別】食器棚・本棚などの転倒防止対策のポイント
家具の種類によって、注意すべき点や適切な対策方法は異なります。ここでは、食器棚、本棚、冷蔵庫・テレビのそれぞれの特徴に合わせた転倒防止のポイントを解説します。
食器棚|扉ロックやフィルムで中身を守る
食器棚は、転倒だけでなく中の食器が飛び出して割れる被害も防ぐ必要があります。
扉には「耐震ラッチ」(地震の揺れ(主に震度5弱以上)を感知して、システムキッチンの吊戸棚や食器棚の扉を自動的にロックする安全装置)を取りつけ、揺れを感じたら自動でロックがかかるようにしましょう。耐震ラッチがあると、扉が開いて食器が雪崩のように落ちてくるのを防げます。
また、ガラス扉には飛散防止フィルムを貼っておくと安心です。万が一ガラスが割れても破片が飛び散らず、避難時のけがを予防できます。
さらに、滑り止めシートを棚板に敷き、食器自体の滑りを抑える工夫もあわせて実施しましょう。
本棚|L字金具や突っ張り棒で上部を固定する
本棚は重量があり背が高いため、転倒すると大きな被害につながります。重心が高くなりやすいため、上部を壁や天井にしっかりと固定するのが重要です。
可能であればL字金具を使用しましょう。壁と天板を固定するため、非常に強固な対策となります。壁への穴開けが難しい場合は、突っ張り棒で天井と天板を支える方法が有効です。
さらに、安定板を床と底面の間に挟み、家具を壁側にわずかに傾けて安定させる方法もあわせて検討しましょう。本を収納するときは、隙間なく詰めることで本自体の飛び出しを減らせます。隙間ができる場合は、ブックエンドを使って本が動かないように固定するのがポイントです。
冷蔵庫・テレビ|耐震ベルトや耐震マットを活用する
冷蔵庫やテレビは、キャスターがついていたり脚が不安定だったりと、地震の揺れで移動する恐れがある家電です。
冷蔵庫は背面にある取っ手を利用し、壁とベルトで連結して固定します。さらに、キャスターがついている場合には必ずロックをかけたり、耐震マットを敷いたりして足元を固めます。
テレビの場合は、テレビ台とテレビ本体を耐震ベルトで固定する方法が一般的です。テレビ台自体も壁に固定するか、耐震マットで床に吸着させます。液晶画面は衝撃に弱いため、倒れたり落下したりしないよう、二重の対策を講じましょう。
棚の転倒防止グッズはどこで売ってる?

転倒防止グッズは、身近な店舗やインターネットで手軽に入手できます。購入場所ごとの特徴や取り扱い商品について紹介します。自分に合った購入先を見つけましょう。
1. 100円ショップ(100均)
ダイソーやセリアなどの100円ショップでは、手軽に取り入れられる防災グッズがそろっています。耐震マットや家具の下に挟む安定板、簡易的な開き戸ロックなどが購入可能です。コストを抑えて対策をはじめたいときに役立ちます。
ただし、大型家具を支えるための突っ張り棒や強力な金具などは、家具の大きさや重量によっては、強度が不足する場合もあります。小さな棚や小物の固定、ほかの転倒防止対策を補う目的で活用するのがおすすめです。
商品の耐荷重や対応サイズをパッケージでよく確認してから購入しましょう。
2. ホームセンター
ホームセンターの防災コーナーには、本格的な転倒防止グッズが並んでいます。さまざまなサイズの突っ張り棒や、強力なL字金具、専用のドライバーなど、取りつけに必要な道具もまとめてそろえられます。実物を手に取って確認できるため、サイズ選びの失敗も減らせるでしょう。
また、店舗スタッフに相談すれば、自宅の壁材に合ったネジや石膏ボード用のアンカーを教えてもらえるメリットもあります。週末を利用して、家族で必要なアイテムを探しに行くのもよい方法です。
3. ネット通販
Amazonや楽天市場などのネット通販では、高性能な転倒防止グッズや、デザイン性に優れた商品が見つかります。
ネット通販には、購入前に口コミやレビューで使用感や満足度の傾向を把握できるメリットがあります。サイズやカラーのバリエーションも豊富なため、自宅のインテリアに合う商品を見つけやすいでしょう。
また、重い荷物を自宅まで届けてもらえるので、持ち運びの苦労もありません。価格の比較もしやすく、予算に合わせて購入できる点も魅力です。配送までの日数も確認し、早めに手配を進めましょう。
棚の転倒防止と一緒に見直したい防災対策3選
家具の固定以外にも、自宅の安全性を高めるために以下の対策をおこないましょう。
ここでは、棚の転倒防止とあわせて実施したい3つの防災対策を紹介します。
対策1. 避難経路を確保する
家の中の居室などから玄関までの避難ルートを確保することは、防災対策の基本です。廊下やドア付近には、倒れる恐れがあるものを置かないように整理整頓しましょう。万が一家具が倒れても、人が無理なく通れる幅が残るような配置の工夫が必要です。
また、夜間に地震が起きた場合、停電により真っ暗になる恐れがあります。足元を照らすセンサーライトや懐中電灯を廊下に設置しておくと、よりスムーズに避難できます。日頃から床にものを置かない習慣をつけることも有効です。
対策2. 非常用持ち出し袋と備蓄品を準備する
災害発生直後は、水道・電気・ガスなどのライフラインが停止し、物流が止まり食料や日用品が手に入らなくなる場合があります。
最低でも3日分、できれば1週間分の水と食料を備蓄しておきましょう。非常用持ち出し袋には、懐中電灯や携帯ラジオ、救急セット、現金などをまとめておきます。
備蓄品は、普段食べているものを多めに買い置きし、古いものから消費する「ローリングストック」が便利です。
以下の記事では、状況別にそろえておきたい防災グッズについて詳しく解説しています。ぜひあわせてお読みください。
【あわせて読みたい】避難所生活で必要なもの7選!状況別で備えておきたい防災グッズも紹介
対策3. 感震ブレーカーで通電火災に備える
大地震のとき、停電から復旧した際に発生しやすい電気火災である「通電火災」によって、多くの被害が報告されています。通電火災を防ぐには、揺れを感知して自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」の設置が有効な対策の1つです。
感震ブレーカーには、工事不要でコンセントに差し込むだけの簡易タイプや、分電盤に取りつけるタイプなどがあります。不在時に地震が起きても自動で作動するため、火災のリスクを低減する効果が期待できます。かけがえのない家と財産を守るために、導入を検討しましょう。
通電火災については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてお読みください。
【あわせて読みたい】通電火災とは?原因や防ぐにはどうすればよいか簡単に解説!
棚の転倒防止に関するよくある質問

ここでは、棚の転倒防止対策を進める中でよくある質問に回答します。正しい知識をもとに対策を実施し、不安を解消しましょう。
転倒防止対策が必要な棚の高さの基準は?
消防庁は、家具の高さに関わらず転倒防止対策を推奨しています。
特に、腰より高い位置にある家具は、転倒した際に人に当たるリスクが高いため、可能な限り固定しましょう。また、寝室や子ども部屋にある家具は、高さに関係なく重点的に対策しましょう。
背板がないスチールラックの固定方法は?
スチールラックの転倒防止には、壁や床への固定が効果的です。専用の壁固定金具を使い、ラックの支柱部分を、壁の下地(間柱など)にネジで固定する方法が推奨されています。
しかし、賃貸住宅で穴が開けられない場合は、専用の突っ張りポールを使って天井と固定するか、足元を床固定用ホルダーや耐震器具で固定する方法を選びましょう。また、重心を下げるため、重い荷物を最下段に置くことも有効です。
棚の転倒防止対策をして災害に備えよう
地震はいつ起こるかわかりません。しかし、適切な転倒防止対策を実施していれば、被害を最小限に抑えられます。賃貸住宅に住んでいる方であっても、突っ張り棒や耐震マット、粘着式ベルトなどを活用すれば、壁を傷つけずに安全性を高めることが可能です。
まずは自宅の中で倒れたら危険な家具を洗い出し、できることから1つずつ対策を進めましょう。家具の配置を見直すだけでも立派な防災対策になります。自分と家族のかけがえのない命を守るために、今日から少しずつ行動を起こしましょう。




