「震度8や9の地震はないの?」
「地震から身を守るための対策とは?」
気象庁が定めた震度階級では震度7が最大ですが、それ以上の大きな揺れは発生しないのか気になる方もいるでしょう。実は、震度7以上を設定していないことには明確な理由があるのです。
そこで本記事では、震度7以上がない理由を詳しく解説します。また、大地震から身を守るための対策も3つ紹介します。日本は地震大国と知られており、日々の生活で地震への備えが欠かせません。地震への備えや揺れの強さについて知りたい方はぜひ最後までお読みください。

そもそも震度とは

地震に関連する指標として震度とマグニチュードの2つがあります。それぞれの違いを以下の表にまとめました。
震度 | マグニチュード | |
---|---|---|
定義 | 地震による揺れの強さを表したもの | 地震のそのものの規模を表したもの |
測定範囲 | 震度0~震度7までの10段階 | 0~9程度の数値 |
測定方法 | 各地に設置された測定震度計が記録した揺れの強さに基づく | 地震の震源から放出されたエネルギー量を算出 |
震度はその地点で観測した揺れの強さであるのに対し、マグニチュードは地震そのものの規模の大きさを示します。同じ地震でも観測地点によって震度は異なりますが、マグニチュードは変わりません。
震度7以上の地震がない理由とは?
現行の震度階級では、最大震度は震度7と定められています。そのため、どんなに強い揺れが発生しても震度7を超えることはありません。
震度7は最も深刻な被害をもたらすものと定義されており、防災対応も最大級の措置が取られます。仮に震度8や震度9などの震度を設定したとしても、防災対応や意義が変わるわけではないので、震度7以上の階級はありません。
震度7の地震はどれくらいの影響がある?

震度7の地震は強い揺れを伴い、大きな被害をもたらす可能性があります。ここでは、揺れの強さと生活への影響について詳しく解説します。
揺れの強さ
震度7の地震が発生すると人は身動きがとれなくなり、場合によっては飛ばされることもあります。多くの家具が移動し、転倒・落下する可能性があるため、非常に危険な状態です。
また、揺れにより耐震性の低い建物は傾いたり、倒れたりすることがあります。耐震性が高い建物でもまれに傾くことがあるため注意が必要です。
生活への影響
震度7の地震は日常生活にも影響を与えることが予想されます。地震直後は建物の倒壊や火災、津波などが発生して大きな被害が出る可能性があるため、速やかに避難することが大切です。2011年の東日本大震災では、東北地方を中心に巨大な津波が襲い、多くの方が命を落としました。
また、電気・ガス・水道などのライフラインが寸断され、復旧まで時間がかかることも考えられます。公共交通機関の停止により多くの帰宅困難者が出るなど、あらゆる場面で混乱が想定されます。
日本で起きた震度7の地震の事例
次に、実際に近年日本で発生した震度7の地震の事例を以下の表にまとめました。
発生年月日 | 地震名 | マグニチュード | 負傷者 |
---|---|---|---|
令和6年1月1日 (2024年) | 能登半島地震 | 7.6 | 死者:241名 負傷者:1,299名 |
平成30年9月6日 (2018年) | 北海道胆振東部地震 | 6.7 | 死者:43名 負傷者:782名 |
平成28年4月14日 (2016年) | 熊本地震 | 7.3 | 死者:273名 負傷者:2,809名 |
平成23年3月11日 (2011年) | 東日本大震災 | 9.0 | 死者:19,729名 行方不明者:2,559名 負傷者:6,233名 |
令和6年の能登半島地震では、輪島市の観光名所である朝市通りでは約5万平方メートルが焼失しました。平成23年の東日本大震災では、日本の観測史上最大のマグニチュード9.0を観測し、戦後最大の自然災害をもたらしました。
いずれの地震も多くの死者・負傷者が出ており、建物やライフラインにも甚大な影響をもたらしています。地震は予測が難しく、いつ発生するかわからないからこそ、日頃の十分な備えが重要です。
南海トラフ地震で想定される最大震度は?
南海トラフ地震が発生した場合、静岡県から宮崎県にかけての一部で震度7、それに隣接する地域で震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。
南海トラフは静岡県を起点に西日本側に伸びている大陸のプレートで、100年〜150年周期で巨大地震が発生しています。この南海トラフでの大地震の発生確率は高まっているといわれています。政府の中央防災会議が発表している地震の被害想定は以下の通りです。
南海トラフ巨大地震が発生すると、静岡県を中心に日本の多くの場所で強い揺れになると想定されています。それに伴い、海岸沿いでは津波の発生も懸念されています。
大地震から身を守るための対策4選

大地震はいつ発生するかわからないため、事前対策が重要です。ここでは、大地震から身を守るための対策を4つ紹介します。
1:家具類を金具で固定する
震度7の地震が発生すると、家具類が転倒・落下し、けがをする可能性があります。自分や家族の身を守るためにも、家具類は避難に支障のない場所に設置し、転倒防止金具などで固定することが大切です。
二段重ねの家具類は上下を平型金具で固定し、柱や壁に固定する場合はL字金具を使用するのがおすすめです。そのほか、ガラスにはガラス飛散防止フィルムを貼る、ガラス製品には防止枠を設けるなど、細かな対策も忘れずにおこないましょう。これらの対策をすることで、地震発生時の被害を最小限に抑えられます。
2:非常用品を備えておく
地震が発生して避難する場合も想定して、非常用品を準備しましょう。非常持出品は両手が使えるリュックサックにつめて、目につく場所に置きます。リュックに入れておくとよいものの例は以下の通りです。

必要なものは季節・時期によって異なります。また、食料や飲料水には賞味期限もあるため、持出品の中身は定期的にチェックすることがおすすめです。
3:防災知識を身につける
大地震から身を守るために新聞やテレビ、インターネットなどで防災に関する情報を収集し、知識を身につけましょう。消防署などが実施する講演会や座談会では、過去の地震からの教訓を学べます。
また、日頃から防災訓練に参加し、応急救護や通報連絡などの基礎を身につけておくことも大切です。
4:周囲の状況や地震発生時の連絡手段を確認しておく
地震はいつ発生するか予測できないため、外出中に家族が帰宅困難になったり、離れ離れになったりする可能性もあります。そのため、安否確認の方法や連絡手段を家族で話し合っておくことも大切です。
また、自治体の防災マップで自分の住む地域の危険度を確認し、避難場所や避難経路も想定しておくと冷静に行動できます。
震度7以上がない理由に関するよくある質問

最後に震度7以上がない理由に関するよくある質問に回答します。震度についてより詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
震度7を超える地震は来ないのか?
どれだけ大きな地震が発生したとしても「震度7」と発表されます。震度階級が改定されない限り、震度8や9といった表現をされることはありません。
ただし、震度7程度の地震が起きたら日常生活に支障をきたす大災害となる可能性が高まります。南海トラフ地震や首都直下型地震などの発生も想定されているため、普段から地震対策をしておくことが大切です。
震度5と6にだけ強・弱があるのはなぜ?
以前は震度0〜7までの8段階しか設定されていませんでしたが、1995年の阪神淡路大震災をきっかけに階級が見直されました。
同じ震度でも場所によって被害の差が大きいことがわかり、震度5と6に強・弱が追加されました。この変更によって、揺れの強さをより細かく表現できるようになり、地震の影響を的確に把握することにもつながっています。
震度7でマンションや建物は壊れる?
震度7程度の地震が起きたときの建物への被害は、耐震基準によって異なります。1981年6月以降は新耐震基準が適用されており、旧耐震基準との違いは以下の通りです。
新耐震基準(1981年6月から) | 旧耐震基準(1981年5月まで) |
---|---|
震度6強~7程度の揺れでも建物が倒壊・崩壊しないこと | 震度5強程度の揺れで建物が倒壊・崩壊しないこと |
旧耐震基準の建物の場合、震度7の地震が発生すると建物が倒壊するリスクが高いといえます。ただし、建物への影響は地盤の状態や、木造・鉄筋コンクリートなどの構造によっても異なります。新耐震基準の建物でも油断せず、できる限りの備えをすることが大切です。
地震対策は今すぐ行動がカギ!
本記事では、震度7以上がない理由について解説しました。震度7の地震は最も深刻な被害をもたらすと定義されており、防災対策も最大級の措置が取られます。そのため、現在では震度7以上の震度は設定されていません。
震度7の地震が発生すると、立つのが困難になり、建物やライフラインにも甚大な影響を与えることが想定されます。南海トラフ地震の発生も懸念されており、いつ大地震が発生してもおかしくない状況です。自分や家族の命を守るために正しい知識を身につけ、今できる備えを進めて大地震に備えましょう。