「マグニチュードってどういう意味?」
「マグニチュードと震度は何が違うの?」
「マグニチュードと震度は比例するの?」
マグニチュードについて、上記のような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。マグニチュードと震度はどちらも地震の大きさを表しますが、マグニチュードとは、地震の規模の大きさを表す単位のことです。マグニチュードと震度はある程度関係性がありますが、比例することはありません。
この記事では、マグニチュードの意味についてわかりやすく解説します。震度との違いやそのほかの地震に関する疑問についても触れていきます。この記事を読むことでマグニチュードについて理解が深まるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

地震で観測されるマグニチュードとは

マグニチュードとは、地震の規模の大きさを表す単位のことです。
イラストのように、震源地からの距離が同じ場合、マグニチュードが大きい地震のほうが揺れを大きく感じます。一方、マグニチュードが同じ地震の場合は、震源地から近いほど揺れは大きく、遠く離れるほど揺れは小さく感じます。
マグニチュードと地震の大きさの関係
マグニチュードが大きいほど地震のエネルギーも大きくなるため、被害が広範囲に及ぶ可能性があります。
マグニチュード | 地震の大きさ |
---|---|
8クラス | 巨大地震 |
7以上 | 大地震 |
5~7 | 中地震 |
3~5 | 小地震 |
1~3 | 微小地震 |
1以下 | 極微小地震 |
上記の表のように、マグニチュードが7以上になると大地震として分類されます。
マグニチュードと地震のエネルギーの関係を表す計算式
マグニチュードと地震のエネルギーの関係は、以下の計算式で表すことが可能です。
マグニチュードと地震のエネルギーの関係を表す計算式 |
---|
log10E=4.8+1.5M |
Eは地震のエネルギー、Mはマグニチュードの大きさを表しています。
簡単に説明すると、この式はマグニチュードが1大きくなると地震が発するエネルギーが約32倍大きくなり、2大きくなると、約1,000倍になることを示しています。たとえばマグニチュード7の地震のエネルギーは、マグニチュード6の地震の約32倍です。
このように、マグニチュードがわずかに増加するだけで、地震のエネルギーは大幅に増えることがわかります。
マグニチュードと震度の違い

マグニチュードと震度の違いは、「計測する対象」と「1つの地震に対する計測値の数」にあります。ここからは、それぞれの観点からマグニチュードと震度の違いについて解説します。
違い1. 計測する対象

マグニチュードと震度は、計測する対象が異なります。
マグニチュードは地震の規模の大きさを表す単位です。一方、震度とはある観測地点での地震の揺れの大きさを表す単位です。
ちなみに、震度は揺れの大きさによって「震度0」から「震度7」まであります。「弱」や「強」などの分類も合わせて、全部で10段階に分かれています。

(※気象庁「震度について」をもとに作成)
違い2. 1つの地震に対する計測値の数

マグニチュードと震度は、1つの地震に対する計測値の数も異なります。
マグニチュードは地震の規模を表しているため、震源地からの距離にかかわらず、数値は1つしかありません。
一方で、震度は震源地からの距離によって異なるため、1つの地震に対して観測地点ごとに複数の数値が計測されます。
日本で発生が想定されている大地震

日本で発生が想定されている大地震には「南海トラフ地震」と「首都直下地震」の2つがあります。ここからは、それぞれの地震について解説します。
南海トラフ地震
南海トラフ地震は、静岡から宮崎にかけての一部で震度7の揺れが起きる可能性が想定されている巨大地震です。
想定 | |
---|---|
発生する可能性 | 今後30年以内に70~80% |
マグニチュード | 8〜9 |
被害想定区域 | 関東地方 茨城、千葉、東京、神奈川、山梨 中部地方 長野、岐阜、静岡、愛知 近畿地方 三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 中国地方 岡山、広島、山口 四国地方 徳島、香川、愛媛、高知 九州地方 福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
南海トラフとは静岡県駿河湾から九州の日向灘に広がる海底の溝で、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する境界です。
今後30年以内に70~80%の可能性で発生する可能性があると言われており、マグニチュードは8〜9になると想定されています。
首都直下地震
首都直下地震とは、首都圏を中心に発生すると想定されている巨大地震です。
想定 | |
---|---|
発生する可能性 | 今後30年以内に70% |
マグニチュード | 7 |
被害想定区域 | 関東地方 茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川 中部地方 山梨、長野、静岡 |
首都直下地震は、今後30年以内に70%の確率で発生する可能性があるマグニチュード7クラスの地震で、首都圏に大きな影響を及ぼすとされています。
最悪の場合、死者は約2万3,000人、そのうち約1万6,000人が火災によるものといった想定です。経済損失は約95兆円と見込まれ、日本および世界経済に深刻な影響を与える恐れがあると言われています。
マグニチュード・震度に関するよくある質問

マグニチュードや震度に関するよくある質問は、以下の通りです。
- 東日本大震災のマグニチュードはいくつ?
- マグニチュードと震度は比例する?
- 日本で最大のマグニチュードを観測した地震は?
- 世界で最大のマグニチュードを観測した地震は?
- モーメントマグニチュードとは?
- 震度8がない理由は?
ここからは、それぞれの質問に ついて解説します。
1. 東日本大震災のマグニチュードはいくつ?
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、マグニチュード9.0でした。
2. マグニチュードと震度は比例する?
マグニチュードと震度は比例するわけではありません。
マグニチュードと震度には関係性があり、たとえば震源地からの距離が同じ場合、マグニチュードが大きい地震のほうが震度は大きくなります。しかし、震源地からの距離が遠い場合、マグニチュードが大きくても震度は小さくなるため、マグニチュードと震度は比例しないのです。
3. 日本で最大のマグニチュードを観測した地震は?
1900年以降では、2011年3月11日に発生した「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(東日本大震災)です。マグニチュードは9.0でした。
4. 世界で最大のマグニチュードを観測した地震は?
1900年以降では、1960年5月23日(日本時間)に南米チリで発生した地震で、マグニチュードは9.5でした。
5. モーメントマグニチュードとは?
モーメントマグニチュードとは、地下にある岩盤のずれの規模をもとにして計算したマグニチュードのことです。
マグニチュードにはいくつかの計算手法があり、気象庁では気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードが採用されています。
マグニチュードの計算手法はそれぞれメリットやデメリットがあり、モーメントマグニチュードは巨大な地震の規模を解析するのに適しています。
6. 震度8がない理由は?
震度8が存在しない理由には、主に2つの理由があります。
1つ目の理由は、震度7を超える地震が観測されたことがないからです。1996年4月以降は全国に設置された計測震度計によって震度が測定されていますが、過去に日本で震度7を超える揺れは観測されていません。
仮にそれほど強い揺れが起きた場合でも、震度8や震度10といった表現は使用せず、最大震度である震度7が発表されます。
2つ目の理由は、防災上、震度8を区分する意味がないからです。震度7の地震は壊滅的な被害を引き起こすとされており、最大級の防災措置が取られます。
そのため、震度8を想定しても最大級の防災措置が取られることに違いはなく、区別する必要性がないとされているのです。
これらの理由から、震度8以上の地震は防災において存在しません。
マグニチュードとは何か理解した上で備えよう!
マグニチュードとは地震の規模の大きさを表す単位のことで、大きければ大きいほど地震のエネルギーが強いことを示しています。一方、震度はある観測地点がどれくらい揺れたかを示すものです。
日本では南海トラフ地震や首都直下地震など、大きな地震が起きる可能性が想定されています。これらに備えるためには、マグニチュードなどの地震についての知識を深め、地震が起きたとき日常生活にどのような影響が起こり得るかを知っておくことが大切です。もしものときに冷静に行動できるよう、日ごろから備えておきましょう。