ハザードマップとは、防災関連施設や洪水・土砂災害など、災害リスクの高い区域を地図上に示したものです。洪水、土砂災害、津波、火山、地震などさまざまな種類があります。
ハザードマップの使い方を理解し、事前に地域の情報を確認しておけば、緊急時でも迷わず避難できるでしょう。
本記事では、ハザードマップの主な種類と特徴をわかりやすく解説します。さらに、効果的に活用するためのポイントも紹介するので、ハザードマップについて詳しく知りたい方は最後までお読みください。
- ハザードマップとは
- ハザードマップの種類一覧
- 1.洪水ハザードマップ
- 2.内水ハザードマップ
- 3.高潮ハザードマップ
- 4.火山ハザードマップ
- 5.津波ハザードマップ
- 6.土砂災害ハザードマップ
- 7.ため池ハザードマップ
- 8.震度被害(ゆれやすさ)マップ
- ハザードマップの使い方
- 自分の住む地域の災害リスクを把握する
- 避難のタイミング・避難先を決める
- 自分の地域におけるハザードマップの確認方法
- ハザードマップの確認以外に自宅でできる主な防災対策3選
- 飲料水・食料品を備蓄する
- 防災グッズを準備する
- 家族で緊急時の連絡手段を決めておく
- ハザードマップに関するよくある質問
- 重ねるハザードマップとわがまちハザードマップは、どのように使い分けたらいい?
- ハザードマップと防災マップの違いとは?
- ハザードマップを活用して、防災対策を進めよう!
ハザードマップとは

ハザードマップとは、防災関連施設や洪水・土砂災害など、災害リスクの高い区域を地図上に示したものです。日本では、地震や津波、台風による豪雨・暴風、土砂災害といった自然災害が頻繁に発生しています。
ハザードマップを活用することで、その場所で想定される被害や危険度を簡単に確認可能です。国土地理院のハザードマップポータルサイトを利用すれば、住所を入力するだけでその地点の災害リスクを一括で調べられます。
▼ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp
ハザードマップの種類一覧
ハザードマップといっても、洪水や土砂災害、津波などさまざまな種類があります。ここでは、ハザードマップで閲覧できる主な情報を8つ紹介します。
ハザードマップでどのような災害リスクが把握できるのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.洪水ハザードマップ
洪水ハザードマップは、大雨で堤防が決壊した際の浸水範囲や浸水深を示し、避難所や避難経路なども確認できる地図です。水防法に基づき、国土交通省・都道府県知事が指定する洪水予報河川や水位周知河川を対象に作成されます。
自宅や職場が浸水想定区域に含まれるかを事前に把握することで、安全な避難先や経路を選びやすくなります。洪水は短時間で発生する場合もあるため、普段から地図を確認し、危険を感じた場合は早めに避難しましょう。
2.内水ハザードマップ
内水ハザードマップは、大雨により下水道や排水施設の処理が追いつかず、浸水が発生する区域や避難場所を示した地図です。河川の氾濫によらない浸水のため、都市部でも発生しやすいのが特徴です。
避難や誘導のガイドとして活用できるほか、自主的に備えるよう住民に意識を高めさせたり土地利用の適正化を促したりする目的もあります。
3.高潮ハザードマップ
高潮ハザードマップは、台風や低気圧の通過で海水面が上昇することにより、浸水が予想される区域とその程度を示す地図です。高潮は短時間で発生し、堤防を越えると住宅や道路が一気に浸水する危険があります。
高潮ハザードマップは、住民の避難や防潮堤の整備計画などにも活用されます。沿岸地域では、マップで浸水予想区域を把握しておくことが大切です。
4.火山ハザードマップ
火山ハザードマップは、火山の影響が及ぶおそれのある範囲を地図上に示したものです。平常時には避難計画に使われ、噴火時には入山規制や避難指示の判断材料として活用されます。
実際に、2000年の北海道にある有珠山(うすざん)噴火では避難範囲を決める際に重要な役割を果たしました。火山災害は噴石や火砕流、土石流など複合的な被害をもたらすため、火山の周辺に住む方はマップでリスクを把握しておきましょう。
出典:~インターネットで日本中のハザードマップをまるごと閲覧 ~ハザードマップポータルサイト|国土交通省
5.津波ハザードマップ
津波ハザードマップは、津波が発生した際に浸水が予想される区域や浸水の程度を示した地図です。津波は、地震による海底や地盤の隆起・沈降などの変動が海面に伝わって発生したもので、大きな波となって沿岸を襲います。短時間で到達する場合も多く、避難の遅れが命に直結します。事前に津波ハザードマップを確認しておくことで、危険区域や安全な避難場所などを把握できるでしょう。
6.土砂災害ハザードマップ
土砂災害ハザードマップは、土砂災害の危険がある地域を表示した地図です。日本は国土の約7割が山や坂の傾斜が急で険しい地形で、豪雨や台風により全国各地で土砂災害が発生しています。
災害は主にがけ崩れ・土石流・地すべりの3種類に分類され、いずれも人的被害を伴いやすいのが特徴です。マップを確認することで、自宅や周辺の危険度や避難場所を把握でき、発生時の被害軽減につながります。
7.ため池ハザードマップ
ため池ハザードマップは、ため池が決壊した場合に想定される浸水区域やその程度を示した地図です。ため池の位置や規模、避難場所、避難時の危険箇所なども記載されており、地域住民の安全確保に役立ちます。
ため池とは、農業用水を確保するために水を貯める人工の池のことです。大雨や地震などでため池が損壊すると、短時間で下流域が浸水し、大きな被害をもたらす可能性があります。危険区域に該当する場合は、避難経路や手段を家族と共有しておくことが重要です。
8.震度被害(ゆれやすさ)マップ
震度被害(ゆれやすさ)マップは、地盤の特性と想定される地震の規模をもとに、地域の揺れやすさを震度で評価し地図化したものです。たとえば山形市では、山形盆地断層帯を震源とするM7.8の地震を想定してマップが作成されています。マップには震度や想定した地震の説明が記載されており、事前の防災計画や避難判断にも役立つでしょう。
ハザードマップの使い方

次に、ハザードマップを防災行動に活かすためのポイントを紹介します。平常時に確認しておくことで、災害時も冷静に避難行動が取れるようになります。家族とも共有して、いざというときに備えましょう。
自分の住む地域の災害リスクを把握する
まずは、自分の地域の災害リスクを知ることが大切です。ハザードマップを確認し、津波や高潮、火山、土砂災害など、どの災害で影響を受けやすいのかを把握しましょう。
危険性を理解しておけば、必要な避難経路や備蓄品、防災行動を事前に検討しやすくなります。自宅や職場周辺も含めて定期的に見直し、最新の情報に基づいた対策を進めることが重要です。
避難のタイミング・避難先を決める
災害時に迷わず行動するためには、避難のタイミングと避難先を事前に決めておきましょう。たとえば津波が発生する可能性がある場合には、浸水しない親戚の家や避難所へ向かうなど、具体的に想定することがポイントです。
さらに余裕があれば、逃げ遅れた場合の行動まで想定しておきましょう。こうした準備をしておけば、実際に災害が発生した際も落ち着いて判断し、素早く安全な場所へ避難できます。
自分の地域におけるハザードマップの確認方法
ハザードマップを確認するには、国土地理院のハザードマップポータルサイトにアクセスしましょう。次に、住所から探す・現在地から探す・地図から探すのいずれかを選び、調べたい地域を地図に表示させます。
その後、洪水・内水、土砂災害、高潮などの災害種別を選ぶと、その地域の危険性を簡単にチェックできます。複数の災害リスクを一度に確認できるため、まだ見たことがない方は平常時に一度確認しておくことがおすすめです。
他にも市区町村の役所でもハザードマップが直接入手できたり、お住まいの地域の役所のホームページ上に地域独自のハザードマップを掲載しているところもあります。是非調べてみてください。
ハザードマップの確認以外に自宅でできる主な防災対策3選

ハザードマップの確認以外にも、事前にしておくべき防災対策はあります。ここでは、自宅で実践できる主な防災対策を3つ紹介します。できる対策から取り入れて、被害を最小限に抑えられるように備えておきましょう。
飲料水・食料品を備蓄する
災害時にライフラインが止まっても困らないように、飲料水や保存のきく食料を備蓄しておきましょう。最低でも3日分、大規模災害時には1週間分が望ましいとされています。飲料水は1人1日3Lが目安で、ご飯、ビスケット、板チョコなどの非常食も準備します。
防災専用の特別な食品にこだわる必要はなく、普段から食べ慣れている食品を多めに備えておくのがおすすめです。日常で消費しながら入れ替えることで、賞味期限切れを防ぎつつ安心して備えられます。
防災グッズを準備する
自宅が被災すると避難所で生活する可能性があるため、防災グッズは事前に準備しておきましょう。必要なものはリュックサックにまとめ、玄関や寝室など持ち出しやすい場所に置いておきます。防災グッズに、必ず入れておきたいものは以下の通りです。
- 飲料水・非常食
- 懐中電灯
- モバイルバッテリー
- 救急用品
- 衛生用品
- 貴重品
- 衣類・下着類
- 携帯ラジオ
- 季節用品
このほか子どもや高齢者の方がいる家庭では、必要に応じて追加の備えをしておくと安心です。防災グッズの中身について、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
【あわせて読みたい】【体験者の声付き】防災グッズで本当に必要なものリスト!準備のポイントや進め方も紹介
家族で緊急時の連絡手段を決めておく
事前に、家族で緊急時の連絡手段を決めておくことも大切です。災害時に家族が別々の場所で被災すると、長時間連絡が取れない場合があります。災害時は携帯電話がつながりにくくなるため、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板、SNSの安否確認機能などを活用しましょう。
あらかじめ使い方を共有しておけば、災害時でも安否確認がスムーズにおこないやすいでしょう。災害時の連絡手段については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【あわせて読みたい】災害時の連絡手段5選!スマホ以外の方法や緊急連絡先カードも解説
ハザードマップに関するよくある質問
最後に、ハザードマップに関するよくある質問に回答します。ハザードマップの具体的な活用法や防災マップとの違いを知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
重ねるハザードマップとわがまちハザードマップは、どのように使い分けたらいい?
目的に応じて使い分けることで、より効果的に防災情報を得られます。重ねるハザードマップは、災害リスク情報を地図に重ねて一元的に閲覧できます。自分が住む地域にどのような災害リスクがあるかを知りたいときに最適です。
一方で、わがまちハザードマップは、全国の市町村が作成したハザードマップを地図や災害種別から簡単に検索できるのが特徴です。洪水や津波、土砂災害など、特定の災害について詳しい情報を得たい場合に適しています。それぞれの特性を理解し、必要に応じて使い分けましょう。
ハザードマップと防災マップの違いとは?
ハザードマップと防災マップでは、目的が異なります。防災マップは、地域内で災害時に役立つ施設や危険箇所を記載した地図で、学校や公園、古いブロック塀や細い道などが示されています。安全情報を地域で共有して、災害発生時にも慌てず行動できるようにすることが目的です。
一方で、ハザードマップは災害の被害想定区域や危険度を示すもので、主に被害予測と避難判断に役立ちます。また、住民の利便性を考えて両者を一体化して作成している自治体もあります。
ハザードマップを活用して、防災対策を進めよう!
本記事では、ハザードマップの種類と特徴について解説しました。重ねるハザードマップを使えば、洪水や高潮、津波、土砂災害など複数の災害リスクを一度に確認できます。
自分が住む地域にどのような危険があるのかを知ることは、的確な避難判断や事前の備えにつながります。平常時から避難経路や避難先を確認し、防災グッズや飲料水・非常食の備蓄を準備しておくと安心です。また、定期的にハザードマップを見直し、危険箇所や避難ルートを家族と共有して、防災対策を万全にしておきましょう。




