災害の歴史

余震はいつまで続く?過去の地震の事例や地震活動の3つのパターンも紹介

余震は大地震の発生後、数日から1年以上にわたって続くことがあります。特に発生から2〜3日は強い揺れが起きやすく、1週間程度は最大限の警戒が必要です。地震の被害を最小限に抑えるには、日頃から安全対策や避難の準備を整えておくことが大切です。

本記事では、余震がいつまで続くのかについて、過去の事例も交えながら解説します。また、地震活動の3つのパターンや地震から身を守るために必要な備えも紹介します。地震の後に発生する余震について、詳しく理解して備えをしておきたい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

地震の後の余震はいつまで続く?

机の下に避難

大きな地震が発生した後、震源の近くの地域では余震が発生しやすくなります。ここでは、余震がどのくらいの期間続くのかについて詳しく見ていきましょう。

発生後1週間は最大級の警戒が必要

大地震の発生後1週間は、規模の大きな余震が起きる可能性があります。なかには、本震を上回る揺れが発生するケースもあり、最大級の警戒が欠かせません。

特に発生から2〜3日は、余震が集中しやすく強い地震が続く傾向にあるため、注意が必要です。この期間は屋内外問わず安全を意識し、避難経路や備蓄の確認を怠らないようにしましょう。

1週間が経った後も余震が続くことはある

余震は時間の経過とともに少しずつ減少するものの、1週間を過ぎても地震が続くことは珍しくありません。特に規模の大きな本震の後には、強い余震が長引くケースが多く見られます。そのため、1週間を過ぎたからといって安心せず、備えを継続しましょう。

気象庁でも、最大震度5弱以上の余震の発生回数が月に1回程度まで減少するまでは、地震活動や防災上の注意点に関する情報を発信しています。このような情報を確認しながら、常に備えておく意識が必要です。

出典:大地震後の地震活動(余震等)について|気象庁

そもそも余震とは?大地震の後に発生する地震のこと

余震は地震が発生した後に、震源の近くで発生する地震のことです。ここでは、余震が起きる仕組みと、気象庁が「余震」という言葉を使わない理由について解説します。余震のメカニズムについて、詳しく知りたい方は参考にしてください。

余震が起きる仕組み

大きな地震の発生後、震源域やその周辺では地下の力のつり合いが崩れ、不安定な状態になります。この不安定さを解消しようとする過程で、地震が繰り返し起こると考えられています。

震源周辺では地殻の歪みが残っており、活動が活発な状態が続いて一定期間は地震が発生しやすくなります。そのため、大地震の後もしばらくは揺れへの警戒が必要です。

気象庁が「余震」という言葉を使わない理由

気象庁は現在、大地震後の小さな地震を指す「余震」という表現を基本的に使っていません。従来は大地震の後には、それより小さな地震が続くと想定されていました。

しかし、2016年の熊本地震では、最初のM6.5の地震から2日後に、より規模の大きいM7.3の地震が発生しました。この事例から、現在は最初の地震と同程度の地震やそれ以上の揺れへの注意を呼びかけ、危険性を正しく伝えることを基本としています。

地震活動の3つのパターン

地震活動にはいくつかの特徴的なパターンがあり、ここでは代表的な3つを紹介します。それぞれの特徴や違いを知っておくことで、発生時の行動判断や日頃の備えに役立てられます。地震への理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。

パターン1.本震-余震型

本震-余震型は、大地震の後に規模の小さい地震(余震)が続くパターンです。3つのパターンの中で一番多く、余震の回数は時間の経過とともに少なくなる傾向にあります。

本震の揺れによって地殻が大きく変動し、その影響が周辺に波及することで余震が起こります。過去の事例では、1995年の阪神淡路大震災が典型例です。

パターン2.前震-本震-余震型

前震-本震-余震型は、本震の前に比較的小さな地震(前震)が発生し、続いて本震と余震が発生するパターンです。代表例は2016年の熊本地震で、4月14日にM6.5の前震が起こり、2日後の4月16日にM7.3の本震が発生しました。

本震の後は多数の余震があり、九州地方の広範囲で揺れが続きました。また、2011年の東日本大震災も、この型に該当する可能性があると指摘されています。

パターン3.群発的な地震活動型

このパターンでは、一定期間に地震の発生が活発化したり落ち着いたりを繰り返します。明確な本震や前震がなく、活動のピークや収束時期を事前に特定するのは困難です。

発生した地震がどの型に当てはまるかは、地震活動が終息して初めて判断できます。いずれのパターンでも、発生直後は揺れやすい状態が続くため、しばらくの間は警戒が必要です。

【事例で学ぶ】過去の大地震では余震はいつまで続いた?

震災

ここでは、過去に発生した地震で余震がどのくらい続いたのかについて紹介します。実際の事例を知ることで、余震の発生期間や回数の傾向がわかり、今後の備えや心構えに役立てられるでしょう。

1995年:阪神淡路大震災

1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災は、最大震度7を記録し、兵庫県を中心に甚大な被害をもたらしました。発生当日には最大M5.4の余震が起こり、その後もM5.0以上の地震が計7回記録されています。

年月が経つにつれて余震活動は減少したものの、ときおりM4程度の地震が発生しています。地震によって、家屋の倒壊や火災、インフラの寸断などで多くの人々が生活の基盤を失い、深刻な影響が続きました。阪神淡路大震災の震度や被害は、以下の記事でも詳しく解説しています。

【あわせて読みたい】阪神・淡路大震災の震度7とは?全国各地の震度・被害の分布図や防災対策を紹介

2011年:東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、M9.0を記録しました。これは、日本国内の観測史上最大規模であり、1900年以降の世界でも4番目に大きな地震です。岩手県・宮城県・福島県には大津波が襲い、甚大な被害をもたらしました。

過去の地震と比較して余震活動も活発であり、2011年4月7日に宮城県沖を震源として震度6強の余震が発生しました。余震の回数は徐々に減少しているものの、本震から1年以上経過しても余震が続いています。東日本大震災の震度や被害を詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

【あわせて読みたい】東日本大震災の震度はどれくらい?人的被害や津波による被害も詳しく解説

2024年:能登半島地震

2024年1月1日に石川県能登地方を震源とするM7.6の地震が発生し、石川県輪島市や志賀町で震度7を記録しました。この地震により、石川県を中心に家屋の倒壊や火災、ライフラインの停止など深刻な被害が生じ、生活への影響が長期的に続きました。

2024年の1年間で発生した余震は、震度6弱が2回、震度5強が9回、震度5弱が8回です。震度1以上の地震の合計は2,123回に達しており、本震から時間が経過した後も繰り返し余震が続いています。

出典:「令和6年能登半島地震」の最大震度別地震回数表|気象庁

地震から身を守るためにできる5つの対策

避難グッズ

地震はいつどこで発生するか予測が難しく、被害を最小限に抑えるには日頃からの備えが欠かせません。ここでは、自分や家族の命を守るために、すぐに実践できる5つの具体的な対策を紹介します。

1. 家の中の安全対策をする

地震対策例

地震による被害を減らすには、まず家の中の安全対策を整えることが重要です。実際に大地震を経験した方からは、収納棚の耐震固定などの転倒防止対策が大切だという声が寄せられています。

家具はなるべく少なくし、避難経路やドアを塞がない配置を意識しましょう。特に、大型家具や家電はL字金具や突っ張り棒で固定し、落下の危険があるものも位置を見直します。イスやテーブルは滑り止めを設置することで移動や転倒を防止できます。日常的に室内の安全状態を点検し、必要に応じて改善しましょう。

2. 避難場所・避難経路を把握する

地震や津波の危険がある場合に速やかに避難できるように、事前に避難場所と経路を把握しておきましょう。ハザードマップを活用すれば、自宅周辺の災害リスクの確認や、どこに避難すべきかが明確にわかります。

家族とも情報を共有し、緊急時に迷わず避難できる体制を整えておくことが大切です。実際に避難ルートを歩いて確認しておくと、より安心して行動できます。

3. 生活必需品を備蓄する

ライフラインが止まっても一定期間は自力で生活できるように、生活必需品を備蓄しておきましょう。災害経験者からは「飲料水や食料品をもっと備えておけばよかった」という声が多く挙がっています。

最低でも3日分、可能なら1週間分を目安に、飲料水や保存食、下着・衣類、衛生用品、カセットコンロなどを用意しましょう。さらに、避難が必要な場合に備えて非常用持ち出し袋も準備し、取り出しやすい場所に保管します。備蓄は家族構成や季節に応じて定期的に見直すことがポイントです。

4. 緊急時の連絡手段を共有する

家族が別々の場所にいる際に地震が起きても連絡が取れるように、複数の連絡手段を決めておきましょう。災害時は被災地への電話が集中し、通信回線がつながりにくくなる可能性があります。

連絡手段は携帯電話だけではなく、災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板を活用するのがおすすめです。SNSやメールも代替手段として活用できます。複数の手段を準備しておくことで、緊急時の安否確認や情報共有をスムーズにおこなえるでしょう。

5. 防災訓練に参加する

災害時に落ち着いて行動するためには、実際に行動に移してみることが大切です。まずは災害時の状況を想定し、自分が取るべき行動をイメージトレーニングします。

そのうえで、地域や学校、職場でおこなわれる防災訓練には積極的に参加し、避難経路や安全確保の方法を体で覚えましょう。実際に動くことで、いざというときに迷わず行動できます。

余震に関するよくある質問

最後に、余震に関するよくある質問に回答します。地震・余震の大きさや発生した際に取るべき行動について、より詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

余震が本震よりも大きいことはある?

余震が本震よりも大きくなることはあります。代表例が2016年の熊本地震で、4月14日にM6.5の地震が発生し、益城町で震度7を観測しました。しかし、その2日後の4月16日には、さらに大きなM7.3の地震が起こり、益城町と西原村で震度7を観測しています。

また、三陸沖や択捉沖の一部では、同規模の地震が立て続けに発生しやすい傾向があります。このように、本震の後にさらに大きな地震が発生する可能性もあるため、しばらくは同程度以上の揺れに警戒しましょう。

出典:平成28年(2016年)熊本地震 ~The 2016 Kumamoto Earthquake~|気象庁

地震が発生したときはどんな行動をとればいい?

地震発生時は、自分の身を守る行動を最優先にしましょう。室内では慌てず、頑丈なテーブルの下に身を隠し、頭を守りながら揺れが収まるのを待ちます。トイレや浴室で揺れに遭った場合は、閉じ込めを防ぐためにドアを開け、頭を保護しながら安全を確保します。

屋外にいるときは、カバンなどで頭を覆い、しゃがんで揺れが収まるのを待ったうえで、安全な場所に避難することが大切です。状況によって行動は異なるため、事前にシミュレーションして備えておきましょう。

正しい知識と行動で、災害への備えを万全に!

本記事では、余震がいつまで続くのかを過去の地震事例とともに解説しました。大地震の後は2~3日間に大きな地震が起こりやすく、1週間程度は最大限の警戒が必要です。その後は発生する頻度は減少傾向にあるものの、揺れが起きる可能性はあるため油断はできません。

地震から身を守るには、家の中の安全対策をおこない、避難が必要な際にすぐ動ける準備を整えておくことが大切です。さらに、家族で避難経路や連絡手段を確認し合い、災害に備える体制を日頃から万全にしておきましょう。