災害時、自宅や避難所での生活が困難な場合に、車中泊で避難生活を送らざるをえないケースがあります。車中泊での避難には、プライバシーを確保しやすいことや、ペットと一緒にいられるというメリットがあります。一方で、体調管理や必要な物資・情報の収集を自分でおこなう必要がある点には注意が必要です。
この記事では、車中泊避難のメリットや注意点を解説します。また、車中泊避難で必要なもののチェックリストも用意しています。
この記事を読めば、災害時に自分と家族の身を守るための具体的な備えがわかるでしょう。災害時の車中泊避難について疑問や不安がある方は、ぜひ最後までお読みください。
- 車中泊避難とは?
- 災害時における車中泊の生活
- 睡眠・休息のとり方
- 水分補給・食事の方法
- トイレ・衛生管理
- 車中泊避難のメリット3つ
- メリット1. プライバシー空間を確保できる
- メリット2. ペットと一緒に避難できる
- メリット3. 感染症の拡大リスクを抑えられる
- 車中泊避難の注意点5つ
- 注意点1. エコノミークラス症候群のリスクを避ける
- 注意点2. 一酸化炭素中毒に注意する
- 注意点3. 防犯対策を徹底する
- 注意点4. 食料や情報が得にくい可能性を理解しておく
- 注意点5. ガソリンは満タンにしておく
- 車中泊避難に必要なものチェックリスト
- 必須アイテム
- あると快適なアイテム
- ペット連れに必要なアイテム
- 車中泊避難を想定している方は必要なものを備えよう
車中泊避難とは?

車中泊避難とは、災害時に自宅での生活が困難になった際、自家用車を一時的な避難場所として利用することです。指定された避難所ではなく車内で過ごす方法で、単に避難時の移動手段として車を使うことではありません。
政府は、プライバシーを確保したい、ペットと一緒にいたいなど、さまざまな理由から車中泊避難を選ばざるをえない人が一定数いると考えています。
災害時における車中泊の生活
災害時に車中で生活するには、いくつかの工夫が必要です。ここでは「睡眠」「食事」「衛生面」の3つの観点から、具体的な方法を解説します。
睡眠・休息のとり方
車中泊で質の高い睡眠を確保するには、シートを倒してできるだけフラットな寝床を作るのがポイントです。段差が体に当たると睡眠を妨げるだけでなく、エコノミークラス症候群のリスクも高まります。
キャンプ向けの車やミニバンなど、座席がフルフラットになる車種は、災害時の車中泊にも適しています。フルフラットにならない車でも、ベッドキットを使うことで適切な寝床を作れるでしょう。
水分補給・食事の方法
避難生活中は、脱水症状を防ぐためにこまめな水分補給が欠かせません。日頃からの備えとして、車内に水を備蓄しておきましょう。
また食事についても、火や水を使わずに食べられる缶詰やレトルト食品、栄養補助食品などの非常食をあらかじめ車に備蓄しておきます。その際は、車内の温度変化で品質が変わりにくいものを選びましょう。コンビニやスーパーが営業していれば、避難中の食料調達も可能です。
しかし、災害の規模によっては物資が不足するケースも考えられます。状況によっては、避難所で食料の配給を受けられる場合もあるため、自治体の情報を確認するのも大切です。
トイレ・衛生管理
車中泊避難では携帯トイレや簡易トイレの準備が必須です。災害時には水道が止まり、公共のトイレが使えなくなる場合があります。
使用後のゴミは密閉できる袋に入れて保管し、悪臭や感染症を防ぎ、衛生的に管理することが重要です。水が自由に使えない状況では、手指の清潔を保つためにアルコール消毒スプレーやウェットティッシュが役立ちます。
自治体によっては車中泊用の避難場所に仮設トイレやマンホールトイレが設置される場合もあるため、どこで利用できるか情報を集めましょう。
車中泊避難のメリット3つ

車中泊で避難するメリットは、以下の3つです。
ここからは、それぞれのメリットを解説します。
メリット1. プライバシー空間を確保できる
車中泊避難の最大のメリットは、プライベートな空間を確保できる点です。
多くの人が集まる避難所では、周囲の目が気になったり、音や光がストレスになったりする場合があります。その点、車内であれば家族だけの空間で落ち着いて過ごせます。
他人の目を気にせず着替えや休息ができるため、精神的な負担を大きく軽減できるでしょう。
メリット2. ペットと一緒に避難できる
車中泊であれば、大切なペットと一緒に避難生活を送れます。避難所では、衛生面や安全面への配慮から、ペットの飼養スペースを屋外に設ける場合があります。また、ペットの種類や数によっては、避難所では受け入れてもらえません。
ペットを飼っている家庭にとって、同行避難は大きな課題です。慣れない環境で不安を感じるペットにとっても、飼い主のそばにいられることは大きな安心につながります。
メリット3. 感染症の拡大リスクを抑えられる
車中泊避難では、他者との物理的な距離を保ち、接触を最小限に抑えることが可能です。
避難所のような人が密集する環境では、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症が拡大しやすいというリスクが指摘されています。家族単位で過ごすことで、外部からの感染源を遮断しやすく、より安全な環境を維持できます。
車中泊避難の注意点5つ

メリットがある一方、車中泊避難には以下のような注意点もあります。
ここからは、それぞれの注意点を解説します。
注意点1. エコノミークラス症候群のリスクを避ける
車内で長時間同じ姿勢で過ごすと、エコノミークラス症候群を引き起こすリスクがあります。
エコノミークラス症候群とは、長時間同じ姿勢で座っていることによって血液の流れが悪くなり、血栓が形成される病気です。血栓が肺に達すると、肺塞栓症という深刻な状態に陥ることもあります。
予防のためには、少なくとも1時間に1回は車から出て軽いストレッチや散歩をする必要があります。また、足首を動かす運動をこまめにおこなったり、十分に水分を摂ったりすることも重要です。
注意点2. 一酸化炭素中毒に注意する
冷暖房目的でエンジンをかけたまま眠ると、排気ガスに含まれる一酸化炭素が車内に流れ、中毒を起こす危険があります。一酸化炭素は無色無臭のため、気づかないうちに意識を失い、最悪の場合は命を落とす危険があります。
特に、雪でマフラーが塞がれると排気ガスが逆流しやすくなるため危険です。暖を取る際はエンジンを切り、寝袋や毛布などの防寒具を活用し、換気をしましょう。夏場でも車庫や小屋など空気がこもりやすい場所でエンジンをかけたままにすると、一酸化炭素中毒のリスクがあります。
注意点3. 防犯対策を徹底する
災害時の混乱に乗じて、車上荒らしなどの犯罪が発生する可能性があります。車中泊をする際は、必ずドアをロックし、貴重品は外から見えない場所に保管してください。カーテンやサンシェードで車内の様子を隠すことも有効です。
特に夜間は、できるだけ人目のある明るい場所に駐車し、単独での行動は避けるようにしましょう。自治体が指定するRVパークなど、公的に認められた場所を利用するのも一つの手です。
注意点4. 食料や情報が得にくい可能性を理解しておく
避難所は、支援物資や炊き出し、災害に関する最新情報などを入手しやすい環境です。しかし、車中泊の場合は、自ら積極的に情報を集めなければなりません。
その際スマートフォンのバッテリーが切れると、情報収集が困難になります。モバイルバッテリーを用意し、ラジオなども活用して、自治体からの公式情報を常に確認できるようにしておきましょう。
注意点5. ガソリンは満タンにしておく
いつでも移動や車中泊避難ができるように、ガソリンは常に満タンに近い状態を保つよう心がけましょう。
車は生活空間であると同時に、情報収集や空調のための電源でもあります。災害時にはガソリンスタンドが閉鎖されたり、長蛇の列ができたりすることが予想されます。
日頃から、燃料メーターが半分になったら給油する習慣をつけておくと安心です。
車中泊避難に必要なものチェックリスト
| 必須アイテム | ||
| チェック | アイテム | 説明 |
| □ | 寝袋・マット | 冬場を想定した保温性の高い寝袋 シートの段差を埋めるマット |
| □ | 毛布 | 防寒対策のほか、クッション代わりにも使用可能 複数枚あると便利 |
| □ | 着替え | 下着、普段着 エコノミークラス症候群予防のための着圧ソックスも推奨 |
| □ | 携帯トイレ | 断水時に備え、最低3日分、できれば1週間分を用意 |
| □ | 衛生用品 | 除菌シート、ウェットティッシュ、歯ブラシなど |
| □ | ラップ | 食器に被せて洗い物を削減 |
| □ | 照明器具 | LEDランタンやヘッドランプ、予備電池など |
| □ | 電源 | スマートフォンの充電用、大容量モバイルバッテリー、シガーソケット充電器など |
| □ | 給水タンク | 折りたたみ式が省スペースでおすすめ 給水所で水を受け取る際に役立つ |
| □ | クーラーボックス | 食材の保冷、椅子やテーブルとしても使えるタイプが便利 |
| □ | テープ・ひも | 車内に張って洗濯物を干したり、目隠しにしたりと多用途に使える |
| □ | 水 | 飲料水と生活用水を分けて準備 1人1日3リットルが目安 |
| □ | 非常食 | 加熱不要のレトルト食品、缶詰、栄養補助食品など 最低3日分を備蓄 |
| あると快適なアイテム | ||
| チェック | アイテム | 説明 |
| □ | レジャーシート | 車外での休憩や、荷物の汚れ防止に使用 |
| □ | マルチツールナイフ | さまざまな場面で役立つ |
| □ | ミニテーブル | 食事や作業の際に、安定したスペースを確保 |
| □ | 車内加湿器 | 冬場の乾燥対策に USBで使える小型タイプが便利 |
| □ | テント | 車と連結できるタイプで居住スペースの拡張が可能 |
| ペット連れに必要なアイテム | ||
| チェック | アイテム | 説明 |
| □ | ペットフード・水 | 普段食べ慣れているフードと水を最低1週間分用意 |
| □ | 常備薬・健康手帳 | 持病の薬や療法食は多めに準備 健康手帳のコピーも必須 |
| □ | トイレ用品 | ペットシーツ、猫砂、ウンチ袋など 消臭スプレーやおむつもあると衛生的 |
| □ | ケージ・キャリー | 車内での安全確保と、ペットが落ち着ける場所として必要 |
| □ | リード・首輪 | 迷子札を装着し、車外に出る際は必ず装着 |
| □ | 温度管理グッズ | 季節に応じた暑さ・寒さ対策グッズ 夏は冷却マット、冬は毛布など |
| □ | 衛生用品 | 体を拭くボディシートや、車内の抜け毛を掃除する粘着クリーナーなど |
いざというときに備えて、車中泊避難に必要なものをリストアップしました。防災リュックとは別に、車専用の防災グッズとして揃えておきましょう。
必須アイテム
| チェック | アイテム | 説明 |
| □ | 寝袋・マット | 冬場を想定した保温性の高い寝袋 シートの段差を埋めるマット |
| □ | 毛布 | 防寒対策のほか、クッション代わりにも使用可能 複数枚あると便利 |
| □ | 着替え | 下着、普段着 エコノミークラス症候群予防のための着圧ソックスも推奨 |
| □ | 携帯トイレ | 断水時に備え、最低3日分、できれば1週間分を用意 |
| □ | 衛生用品 | 除菌シート、ウェットティッシュ、歯ブラシなど |
| □ | ラップ | 食器に被せて洗い物を削減 |
| □ | 照明器具 | LEDランタンやヘッドランプ、予備電池など |
| □ | 電源 | スマートフォンの充電用、大容量モバイルバッテリー、シガーソケット充電器など |
| □ | 給水タンク | 折りたたみ式が省スペースでおすすめ 給水所で水を受け取る際に役立つ |
| □ | クーラーボックス | 食材の保冷、椅子やテーブルとしても使えるタイプが便利 |
| □ | テープ・ひも | 車内に張って洗濯物を干したり、目隠しにしたりと多用途に使える |
| □ | 水 | 飲料水と生活用水を分けて準備 1人1日3リットルが目安 |
| □ | 非常食 | 加熱不要のレトルト食品、缶詰、栄養補助食品など 最低3日分を備蓄 |
上記の必須アイテムは、生命維持に直結する重要なものです。特に、衛生用品や数日分の食料と水は、優先的に準備しておきましょう。
車に常備しておくと、災害時にも慌てずに行動できます。
あると快適なアイテム
| チェック | アイテム | 説明 |
| □ | レジャーシート | 車外での休憩や、荷物の汚れ防止に使用 |
| □ | マルチツールナイフ | さまざまな場面で役立つ |
| □ | ミニテーブル | 食事や作業の際に、安定したスペースを確保 |
| □ | 車内加湿器 | 冬場の乾燥対策に USBで使える小型タイプが便利 |
| □ | テント | 車と連結できるタイプで居住スペースの拡張が可能 |
必須アイテムに加えて上記のグッズがあると、避難生活の質が向上します。
食事・休憩時の快適さは、長期化する避難生活でのストレスを軽減するために重要です。可能な範囲で備えると、心身の健康維持に役立つでしょう。
ペット連れに必要なアイテム
| チェック | アイテム | 説明 |
| □ | ペットフード・水 | 普段食べ慣れているフードと水を最低1週間分用意 |
| □ | 常備薬・健康手帳 | 持病の薬や療法食は多めに準備 健康手帳のコピーも必須 |
| □ | トイレ用品 | ペットシーツ、猫砂、ウンチ袋など 消臭スプレーやおむつもあると衛生的 |
| □ | ケージ・キャリー | 車内での安全確保と、ペットが落ち着ける場所として必要 |
| □ | リード・首輪 | 迷子札を装着し、車外に出る際は必ず装着 |
| □ | 温度管理グッズ | 季節に応じた暑さ・寒さ対策グッズ 夏は冷却マット、冬は毛布など |
| □ | 衛生用品 | 体を拭くボディシートや、車内の抜け毛を掃除する粘着クリーナーなど |
慣れない環境でのストレスを少しでも和らげるため、普段のフードやおもちゃ、安心できるケージなどを用意しておきましょう。ペットの情報や常備薬も、すぐに持ち出せるようにまとめておくことが大切です。
車中泊避難を想定している方は必要なものを備えよう
車中泊避難は、プライバシーを確保し、避難所での感染症リスクを抑えられます。また、ペットを飼っている方でも、ペットと同行できるのは大きなメリットです。
その一方で、エコノミークラス症候群や一酸化炭素中毒など、命に関わるリスクも伴います。安全な避難生活を送るためには、定期的な運動や換気を心がけるなどの注意点を守ることが不可欠です。
快適な睡眠環境の確保や衛生管理など、事前の準備と工夫が重要になります。この記事で紹介したチェックリストを参考に、ご自身の状況に合わせて必要なものを準備し、いざというときに備えてください。




